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berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

残りの「 本格 」2冊。

 

 

 

「 星くずの殺人 」  桃野雑派

 

「 特殊“舞台” 」系・本格ミステリー。

 

 

抽選で選ばれた 6人が参加する、

格安( 3000万円 )民間宇宙旅行の モニター・ツアー。

 

飛行機型( 水平離陸 )の宇宙船は 無事に 宇宙ホテル

「 星くず 」に到着。

 

データを まとめていた 副機長の 土師穂希( はせ ほまれ )は 作業から帰ってこない 機長の 伊藤を心配、「 無重力 エリア 」の倉庫に 捜しに行き、そこで 伊藤の「 首吊り遺体 」を発見

する。

 

土師は「 無重力では 首吊りは出来ない 」と 会社に 訴えるが

ツアーは 続行される事になり……。

 

 

 

前作の「 南宋時代の中国 」を舞台にした

武侠( 特殊設定 )・本格ミステリー『 老虎残夢 』は、

 

「 設定 」は 面白かったものの 終盤の流れの “コレジャナイ感”が強くて、個人的には 少々残念な作品でした。

 

 

本作は 前作から ガラッと趣を変え、

「 宇宙の施設 」を舞台にした「 本格ミステリー 」です。

 

なかなか 魅力的な 舞台設定だし、「 無重力の首吊り 」という

「 謎 」にも 興味を そそられましたね。

 

ちなみに、端折りましたが「 地上と 連絡が取れなくなる 」

など、すこし「 クローズドサークル 」っぽい展開になります。

 

( 脱出しようと思えば 出来る )

 

 

「 話 」自体は 前半も 若干「 重め 」だったからか、

中盤の「 重い話 」に チョット辟易しましたね。

 

あと、あそこは ミステリー的に「 殺される 」展開の方が

よかったな。

 

終盤も もっと エンタメ的な 盛り上がりを見せて ほしかったですね。

 

まあ、この感想は 本作の前に読んだ

『 世界で一番、みじかい小説 』が「 意外と 重かった 」事の

影響も ありますけど。

 

( 個人的に「 読む順番 」「 観る順番 」は 結構 重要 )

 

 

あと、唯一の 無料参加者、高校生の 真田周( さなだ あまね )の キャラも、上滑り気味の性格で しっくりこなかったです。

 

というか、全体的に「 著者の言いたい事 」が 強く出すぎなんですよね。

 

私も 著者と 近い年代なので 言いたい事も わかりますが…。

 

ちなみに 表紙の女性が 真田周 です。

 

( なので てっきり探偵役かと 思っていたら、違った… )

 

 

「 本格 」としては「 伏線・手掛かり 」は ちゃんとあったけど「 人によって 本格度に 差が出やすい 」タイプかな。

 

個人的には「 たぶん アレかな?」くらいまでは わかりましたよ。

 

まあ、そこから先の「 真相 」には 繋がりませんでしたけど…。

 

その「 真相 」は「 トリック 」関係も 結構イイんですが、

やっぱり「 動機 」が 白眉でしたね。

 

個人的には「 徹底的に ヤル 」展開で 読みたかったけど、

著者の人柄を 考えれば しょうがないのかもしれません。

 

あと、よくよく考えれば 時間的に 少々 厳しめかも…とも

思いましたが、

 

それでも 総じて「 納得感 」はあり 面白く 読めました。

 

 

内容とは 直接 関係はありませんが、

宇宙って「 ストロベリーの匂い 」※みたいですよ。

 

( ※ 作中。 ネット調べだと「 ラズベリー 」)

 

あと、作中に「 地球 平面説 」( フラットアース )を 信じている人※ が出てくるんですが、

 

( ※ フラットアーサー

個人的にも 数か月前に たまたま 知った )

 

実際に「 地球が平面 」、「 球体を疑っている 」人が 結構いるみたいなんですよね。

 

( しかも 近年 増えてるらしい )

 

一部の「 キリスト教 原理主義者 」にとっては 都合がよさそうなので、そこから そう考えているかと 思っていたんですが、

 

そうじゃない人も 結構 いるみたいで、いろいろと 心配です…。

 

 

 

「 名探偵のはらわた 」  白井智之

 

連作短篇・本格ミステリー。

 

一応「 特殊設定 」※でもあります。

 

( ※ 本当は コレは書かない方がいいんだけど、

ネット・レビューで コレに ケチをつけられていたので… )

 

 

『 名探偵のいけにえ 』の前に 読んでおこうと 3か月弱くらい前に「 文庫版 」を購入、ようやく 読みました。

 

 

「 本格ミステリー 」が好きな方は「 著者名 」と共に

その傾向「 グロ・ア〇ル・監禁・その他… 」の事も聞いているかと思いますが(?)、

 

本作は なんと「 グロ・ア〇ル 」どころか「 監禁 」すら

“ない”、たいへん 手に取りやすい 作品になってるんですよ。

 

話題になった「 姉妹編 」らしい『 名探偵のいけにえ 』

ついては “ない”傾向と 聞いていて、

 

おそらく 本書も そういう傾向だとは 思ってはいましたが、

 

著者作品を 読んだ事がある身として 実際に 読んでみると チョット驚いてしまいますね。

 

( やればできる子 なのだ、と しみじみ… )

 

あと、前々から( 誰も書かないので ) 書いてますが、

 

白井智之は「 グロ 」要素がある内容が多いけど、以外にも

「 弱者視点 」の要素もある、という事も 知っておいてほしいですね。

 

まあ、大概は「 グロ 」その他で 吹き飛ばされるんですけど。

 

 

ちなみに ちょっと前に 読み終わった 短篇、

『 ラビットボールの切断 』も その傾向が 強く出ている作品でしたね。

 

コチラは「 白井智之 ほぼ “全部盛り” 」みたいな

「 サイテーな話 」( 探偵も “玉無し探偵” だったり )なので、

 

「 エロ・グロ 」がなきゃ 白井 作品じゃねえ、という方は

コチラを 読みましょう。

 

 

で、本作ですが、感想から言えば「 すごく 面白かった 」です。

 

特に 全体を通しての「 話・展開 」が すごく良かったですよ。

 

「 本格 」としては「 伏線 」関係は 良かったものの、

「 章 」によっては「 納得感 」が “低め” のもありましたけどね。

 

それでも「 最後の章 」の まとめ方が 素晴らしく、個人的には

満足感は 高かったです。

 

 

本作は「 記録 」「 4章(話)」「 顛末( エピローグ )」の

構成。

 

「 連作短篇 」ですが「 各話 」の繋がりが まあまあ強いため、 実質的に「 長篇 」みたいな感じでした。

 

 

最初の「 記録 」は、

過去に 実際にあった事件(「 津山30人殺し 」など… )を

モチーフにした( ほぼ そのままだが )「 事件 」の紹介。

 

いわゆる「 ネタふり 」みたいなヤツです。

 

 

「 神咒寺事件 」

 

78年前「 30人が殺される事件 」が起きた 岡山の

「 津ヶ山 」の村で 起こった、寺院・神咒寺( かんのうじ )の火災。

 

そこで 7人の「 焼死体 」「 意識不明者 」が発見される。

 

その村では「 連続 放火窃盗 事件 」が起こっていたが、

寺院の被害者たちも また、財布を盗られていた。

 

探偵・浦野灸( うらの きゅう )と、

彼の助手原田亘( はらだ わたる )、あだ名:はらわた

その捜査のため 村を訪れるが……。

 

 

いわゆる「 エピソード0(ゼロ)」的な「 話 」なのかな。

 

はらわた と 探偵・浦野の「 出会い エピソード 」に グッと

きましたよ。

 

ちなみに はらわた が主人公です。

 

肝心の「 本格 」としては「 論理的 」ではあったものの、

 

アレの「 動機 」の推測が “できない”っぽい感じを 受けたので

「 納得感 」は 低めに感じましたね。

 

 

 

「 八重定事件 」

 

都内で 連続して起きた「 男性の局部切断 事件 」を捜査する

探偵と “従者”・はらわた だったが……。

 

昭和11年に起こった「 八重定事件 」が 現代に…みたいな

内容。

 

以外な「 真相 」「 顛末 」ではあったけど あっさり目。

 

こちらも「 局部 」「 動機 」絡みの 推測がし難く「 納得感 」は 低めかな。

 

 

 

「 農薬コーラ事件 」

 

「 クラブ 」で起こった「 毒物混入 事件 」。

 

犯人は 犯行の前、ひとりの女性

「 カメラで その様子を撮影し 動画をアップしろ 」と 命令していた……。

 

前ふたつ は「 動機・行動 」に 少々 “難あり” でしたが、

こちらは そこらへんも しっかりしてたし、

 

犯人の「 行動原理 」も 良かったです。

 

ただ「 トリック 」は 少し 強引だったかな…。

 

 

 

「 津ヶ山事件 」

 

30人が殺された「 津ヶ山事件 」が再び…みたいな話で、ちょっと「 ホラー 」っぽいところも ありましたね。

 

舞台は 最初の「 神咒寺事件 」が起こった村で、

過去の「 津ヶ山事件 」も ガッツリと 絡んでくるなど、

 

まあまあ「 濃いめ 」の内容に なってます。

 

 

最後のコレが すごく出来がイイんですよね。

 

今までの「 細かい アレこれ 」の回収も 見事だったし、

終盤の「 探偵はらわた 」も 盛り上がりましたし。

 

「 神咒寺事件 」での あの場面が 再現されるところは チョット感動しちゃったな。

 

「 解けそう 」な感じ、「 本格度 」も高いと思いましたね。

 

 

 

こう書いてみると 最後「 4編目 」以外は “イマイチ” な印象

ですが、全体を通してみれば そんなに 悪くはないと 思います。

 

白井智之 作品として いろいろと読みやすいので オススメ…と思ったけど、オススメとなると『 名探偵のいけにえ 』の方が

いいのかな。