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berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

残りの「 本格ミステリー 」2冊。

 

 

 

「 むかしむかしあるところに、

死体があっても めでたしめでたし。」

 

青柳碧人

 

 

「 昔話 +( 本格 )ミステリー 」の短篇集、第3弾。

 

「 帯 」によると「 最終巻 」らしいです。

 

全5作ですが、最後の2作は 一応「 連作 」になってます。


 

 

「 こぶとり奇譚 」

 

に「 頬のコブ 」を取られた 葱作( ねぎさく )、

その「 コブ 」を に付けられ「 頬のコブ 」が 左右で 2つになった 芋作( いもさく )…という「 こぶとりじじい 」の話がある村。

17日の夜中、家に押し入った人物により 豆左衛門 が殺される。

 

そこにいた 妻の ささげ は 暗闇のため 押し入った下手人を見ては いなかったが、

 

18日の夕方、山から下りてきた 葱之進( ねぎのしん )の

「 頬のコブの傷 」を見た ささげが「 下手人の “頬のコブ” を

引っ掻いた 」事を 思い出したため、葱之進が 捕らえられる事に。

 

葱之進は「 傷の付いたコブは 芋三郎(いもさぶろう)のコブ 」で、本当の下手人は 芋三郎だと 主張するが……。

 

 

殺人事件に 鬼の特殊能力「 体の一部 もぎ取り & 取り付け 」が関わってくる内容。

 

もとの話を 活かした「 ミステリー設定 」も すごく良かったし、「 トリック 」や それを絡めた「 真相 」も かなり好き。

 

「 伏線 」も ちゃんとあり 完成度が高いと思いましたね。

 

 

 

「 陰陽師、耳なし芳一 に出会う。」

 

阿弥陀寺。

 

夜中に通ってくる 平家の亡霊から 逃れるため 和尚から

“霊から見えなくなる”「 経文 」を体に記してもらい「 離れ 」に「 閂 」を掛けて 閉じこもった 盲目の 芳一

 

だが「 経文 」を記忘れた「 両耳 」を 亡霊に もぎ取られてしまう…。

京を追われた 陰陽師の 蘆屋( あしや )一族

 

の不吉な夢を見た 16歳の 蘆屋桃花(・ももか )は、

継承を拒んだ 兄、蟹彦( かにひこ )に 会いに行く。

 

そのに 何事もないと思われた 矢先、阿弥陀寺の「 離れ 」で 犬六を 殺したとして 蟹彦が捕まってしまう。

 

現場の「 離れ 」には「 犬六の死体 」と、両耳を 千切られて

気を失っていた 芳一 がおり、「 屋根板 」が 一枚、外れてはいたものの、内側から「 閂 」が掛かっていた……。

 

 

「 探偵 」役の 陰陽師が「 式神 」を使って 捜査する…という、

コミック的な内容。

 

陰陽師の 桃花や 各「 式神 」の キャラ立ちも なかなか良く、

「 シリーズ 」で読みたくなる話でした。

 

「ミステリー」としても、

 

「 目撃者が 亡霊 」、「 死体に 経文を書いても 効果なし 」、

「 亡霊は 壁を すり抜けられるが、物体( 両耳 )はムリ 」

 

と 心をくすぐられる内容で 楽しく読める作品でした。

 

 

 

「 女か、雀か、虎か、」

 

男グセが 悪い女性が殺される。

助けた スズメに懐かれ チイコと 名付けた 作兵衛(さくべえ)だったが、それを よく思わない 妻の千代(ちよ)が ノリを食べた チイコの舌を切って 追い出してしまう。

 

午吉から聞いた「 雀のお宿 」に たどり着いた 作兵衛は そこで女児姿のスズメたちと出会い、舌を切られた 女児姿チイコ とも再会する。

 

宿から去る時に 作兵衛スズメたちから お礼として「 女 」・「 雀 」・「 虎 」が それぞれ描かれた、小・中・大と 大きさが異なる 三つの「つづら」から ひとつを 選ぶように言われる。

 

作兵衛は「 …の つづら 」を選び……。

 

 

「 三つの つづら 」、それぞれ 3パターンで 描かれる内容は

「 ミステリー 」といよりも「 サスペンス 」( 奇妙な味 系 )を 強く感じます。

 

そもそも リドル・ストーリー『 女か虎か 』が モチーフという事で 他の作品と 毛色が チョット違う内容なんですよね。

 

一応「 本格 」要素も ありますし、こういう話も キライじゃないので 結構 楽しめたけど、

 

「 本格 」を期待してた 身としては「 題材 」が 面白そうなだけに 少々残念でもありました。

 

 

 

「 三年安楽椅子太郎 」

 

元日の朝に 起きた「 厠( かわや )の爆発による 男性の死亡 」事件。

 

爆死した男の「 家 」には 六地蔵から延びる「 引きずった跡 」があり、くだんの「 厠 」には 六地蔵の中で 一番小さい地蔵が 残されていた。

 

同じく「 引きずった跡 」があった、前日に 六地蔵に 売れ残った傘と 手ぬぐいを 被せた 丹三( たんぞう )じいさん の家の

前には「 お宝 」があり…。

おしゃべり少女の なえ は、山小屋で 安楽椅子に 座り続けている 太郎と 出会い、不可解な出来事を語って聞かせるが……。

 

 

「 傘地蔵 」に「 三年寝太郎 」、さらに「 雪女 」と なかなか ボリュームのある話ではあったけど、思ったよりは 盛り上がらなかったかな。

 

「 伏線 」も ちゃんとあったとはいえ、あの「 真相 」は ムズいような気もしたし。

 

それでも納得感は まあまあ あったので 悪くはなかったのかも。

 

 

 

「 金太郎城殺人事件 」

 

城主2人、魚井戸( うおいど )と 九本松( きゅうほんまつ )による「 知恵比べ 」が、金太郎の末裔で 城主の 坂田金柑

( さかた きんかん )の「 金太郎城 」で行われる事に。

 

それには 魚井戸城の領民、おしゃべり少女・なえも「 知恵者 」の 太郎を知る人物として 参加していた。

 

金柑の出した 知恵比べの「 謎 」とは 城に隠された「 鬼の腕 」を探し当てる事であったが、翌朝 殺されている金柑が 発見されてしまい……。

 

 

この前の話『 安楽椅子太郎 』の 続き。

 

一応「 連続殺人 」は 起こりますが、それよりも「 鬼の腕 」の在処の方が メインです。

 

「 ヒントの歌 」、「 金太郎城の 見取り図 」から導き出される「 鬼の腕 」の在処が とてもよく出来ていて、

 

「 殺人 」自体は 軽くて 物足りないものの、ヤラレタ感は

すごく ありましたね。

 

「 めでたしめでたし…? 」な オチも なかなかの味わいのある 笑えるモノで、読後感も 良かったです。

 

ただ、太郎のアレは チョット期待外れでした。

 

 

という事で、総じて 面白くは 読めましたね。

 

ですが『 一作目 』が “凄く良かった”( “ブラックさ” もイイ ) ので 若干、惜しい気持ちも 湧きました。

 

 

 

「 ヴァンプドッグは叫ばない 」  市川憂人

 

「 パラレル・ワールド的な 世界観 」の 本格ミステリー、

『 マリア & 漣 』シリーズの 第5弾。

 

 

「 厚さ 」が普通だったたので サクッと読もうと思ったら

「 上下2段組み 」でしたよ…。

 

 

 

U国の MD州で 起こった「 現金輸送車 襲撃事件 」。

 

車で逃走する 襲撃犯の捜索に駆り出されていた A州の

フラッグスタッフ署の刑事、マリア( れん )の元に

フェニックス市から 応援要請が来る。

 

そこで マリアは 20年前の「 ノド切り刻み 連続殺人 」の

犯人、“ヴァンプドッグ”(吸血犬)こと デレク・ライリー が、

 

裁判後に 身柄を拘束されていた「 国立 衛生研究所 」から脱走した事、

 

さらに ここ、フェニックス市 で「 被害者 」が出た事を知らされる…。

唯一「 輸送車の襲撃 & 逃走 」の全てを知る セオドリック

指示で しばらく フェニックス市の「 邸宅 」に 身を潜める事になった 5人の襲撃犯たち

 

だが 翌朝、市内は 何故か厳戒態勢が 敷かれており、さらに

その後 その邸宅内で「 ノドを切られた セオドリックの遺体 」が発見され……。

 

 

 

「 冒頭( プロローグ )」は デレク・ライリー 自らが 語る

「 ヴァンプドッグ事件 」の発端と その顛末。

 

その後は 著者が得意とする?「 現金輸送車の 襲撃犯たち 」と

 

マリア による ヴァンプドッグの捜査 」の 2パートが

交互に描かれる構成です。

 

 

否が応でも テンションが上がる、邸宅内での「 連続殺人 」展開

は 以外にも “まあまあ薄味”。

 

ですが「 マリア 」の「 連続 ノド切り刻み事件 」の方は

市内が 緊張が張り詰める「 厳戒態勢」って事もあって なかなか “濃かった” ですね。

 

 

薄味だった「 襲撃犯パート 」も 最後は「 驚愕の結末 」を

迎えていて、

 

それに「 ノド切り刻み 」が 繋がっていく過程も スリリングというか・・・( ネタバレ回避 )の様相を見せる 展開になり、

 

別の意味で 気分が上がりましたよ。

 

という事で 取り敢えず「 話 」が 面白かったんですが、

「 本格 」としても なかなかの出来でした。

 

 

この「 シリーズ 」の他、単体の『 揺籠のアディポクル 』

『 灰かぶりの夕海 』を 読んでいるので “そこら辺” を 留意しながら 読んではいたんですが、

 

想定外の「 真相 」、かつ「 好きなヤツ 」で 心にビビビ!※っと 来ちゃいましたよ。

 

( ※「 BS12 」の キャッチコピー )

 

 

少々引っ掛かるところも あったけど そこも ちゃんと フォローしており、納得感も まあまあ だったかな。

 

 

という事で 総評としては「 安定の面白さ 」でしたね。