「 歓びの毒牙(きば)」(イタリア・西独/1970)
ダリオ・アルジェント監督の サスペンス作品。
脚本家だった アルジェントが 自身が書いた この脚本を気に
入り 自ら監督する事にした、監督デビュー作でもあります。
女性ばかりを狙った「 連続殺人 」が 起こっている イタリアの ローマ。
よくやく まとまった お金が手に入り 帰国できるようになった アメリカ人の作家:サム・ダルマス は アパート への帰路、
「 美術ギャラリー 」内で 女性と “黒ずくめ” の 2人の人物が
「 もみ合う 」現場を目撃する。
その直後、女性は腹を刺され、黒ずくめは逃走、助けに向かった サムも「 2重トビラ の 出入口 」に閉じ込められてしまう。
その後 警察が到着、その女性・モニカは 一命を取り留めたが、サムは 目撃者だとして 帰国を止められてしまう事に。
「 2人の もみ合い 」に 漠然とした 違和感を覚えた サムは
警察に協力、独自に調査もする事に……。
久しぶりに鑑賞。
「 ホラー 」のイメージが 強い ダリオ・アルジェントですが、
どちらかといえば「 ミステリー 」寄りの人で、本作も
ホラー要素としては「 薄め 」の内容となってます。
なので、前に取り上げた 監督2作目『 わたしは目撃者 』
(71年)に「 ホラー要素 」を感じさせる「 殺人場面 」や
「 描写 」が あった事を考えると、
本作は チョット物足りない感じも あるんですよね。
しかし「 サスペンス 」に関しては じっくり感(ねっとり感?)は 少なめ ながらも 雰囲気は なかなか イイし、
「 偏執的な犯人 」の場面や「 カメラ・ワーク 」を使った
「 演出 」や「 構図 」※も 巧みで ミステリー気分を 上げてくれます。
〔 ※「 撮影 」は『 地獄の黙示録 』(79年)などの
ヴィットリオ・ストラーロ。
個人的には 本作の後の作品、
幻想ドラマ『 暗殺のオペラ 』(69年)の「 映像 」も 好き 〕
特に 事の切っ掛けになる「 2人の もみ合い 」場面。
主人公・サム 同様、視聴者にも モヤモヤが残る カメラの
「 構図 」や「 距離感 」、「 カット割り 」が 素晴らしく、
ここだけでも 結構 満足感があるんですよね。
「 話 」( アイデア元の「 原作 」がある )の方も “捻り” があって 面白いんですが、
中盤頃の「 殺し屋 」のところは「 浮き気味 」で まとまりに
欠けてしまっているのが 少し残念。
ここも 黒ずくめが 追いかけて来てほしかったな。
犯人以外の人物が 出てくると あの「 真相 」も少し ボヤけますしね。
あと「 もみ合い当事者 」の モニカや 彼女の夫・アルベルトの「 掘り下げ 」が ないため「 ドラマ 」的に “深み” がないし、
ラストの「 あっさり決着 」※あたりも 惜しいところ。
〔 ※ 事件の「 決着 」
何か思うところがあったのか、次作『 わたしは目撃者 』の
犯人は「 まあまあ 凄惨な最後 」を 遂げており、
その次の『 4匹の蠅 』(71年)の最後に 至っては “魅せる” 最後だった 〕
ここから「 画像 」。
ネタバレあり。
〔『 歓びの毒牙 』 タイトル 〕
原題は『 水晶の羽を持つ鳥 』。
「 動物三部作 」の 一作目にあたり、
「 猫 」(『わたしは目撃者』)、「 ハエ 」(『 4匹の蠅 』)と 続くんですけど、
どうも「 ハエ 」って しっくりこないんですよね…。
〔『 歓びの毒牙 』 冒頭の「 計画 」〕
「 黒手袋 」の人物。
「 ターゲット選別 」も “最初” 以外は テキトーだったな。
〔『 歓びの毒牙 』
主人公・作家の サム( 左 )と カルロ 〕
アメリカから イタリアに来たものの 成果がなかった 作家の
サム。
鳥に詳しい?カルロ との仕事で ようやく 国に帰れる事に。
〔『 歓びの毒牙 』 「 もみ合い 」目撃1 〕
サムは アパートへの帰路、「 美術ギャラリー 」の前で
「 2人の もみ合い 」を目撃。
「 下の画像 」、イイ構図だな。
〔『 歓びの毒牙 』 「 もみ合い 」目撃2 〕
どうやら「 ギャラリー内 」で 女性と 黒ずくめの人物 が
もみ合っているらしいが…
「 下の画像 」、最初「 手前の女性 」に ピントが合っていて、
その後に「 奥のサム 」に ピントが合う…という 遠近感のある演出。
ハッキリ見えない もどかしい「 構図 」に モヤる楽しさよ。
〔『 歓びの毒牙 』 「 もみ合い 」目撃3 〕
女性は 刺され、黒ずくめは 左のドアから逃走、
助けに行った サムも「 出入口 」に閉じ込められてしまう。
あと、ここにある「 オブジェ 」が「 不気味なデザイン 」で
結構 面白かったり。
〔『 歓びの毒牙 』 サムと モロシーニ警部 〕
救急と警察が 到着、刺された女性も 命は無事のようだ。
サムは 警部・モロシーニ に 事情を説明。
〔『 歓びの毒牙 』 夫:アルベルト・ラニエリ 登場 〕
刺された女性、モニカの夫で、
「 ギャラリーのオーナー 」でもある アルベルトも到着。
〔『 歓びの毒牙 』 サムの「 違和感 」〕
サムは「 もみ合い」に 違和感を感じたが、それが何なのかは
わからない、思い出せない。
〔『 歓びの毒牙 』 黒ずくめが残した?「 黒手袋 」〕
現場には「 黒手袋 」が。
〔『 歓びの毒牙 』 イタリア震撼、未解決 連続殺人3件 〕
ここでは「 女性ばかりを狙った 連続殺人 」が起こっている
らしく、サムも 目撃者として 帰国が 出来なくなってしまう。
〔『 歓びの毒牙 』
危機一髪の サム( 倒れてる方 )と 逃げる 襲撃者 〕
しかも サムは 何者かに 命を狙われてしまう。
〔『 歓びの毒牙 』 「 黒手袋 」の検査結果 〕
現場に残されていた「 黒手袋 」からは「 高級葉巻の灰 」が
検出され、さらに 犯人は「 左利き 」かも…との推測がされる。
〔『 歓びの毒牙 』 古物商オーナー と サム 〕
「 連続殺人 」に 興味を覚えた サムは 独自に調査を開始、
モニカの アパートを訪ねて 夫のアルベルトに会う。
特に情報は得られなかったが、アルベルトは 左利きのようで…
次に サムは「 連続殺人 」の 最初の被害者が 務めていた
「 古物商 」を訪問、殺された日に 彼女が売った「 絵 」の
サンプルを借りる。
〔『 歓びの毒牙 』
サムが 部屋の壁に張った、最初の被害者が売った「 絵 」〕
その「 絵 」は「 少女が男に刺される 」内容で…
〔『 歓びの毒牙 』 「 絵 」を見つめる 黒ずくめ 〕
…と モノクロの「 絵 」に 少しずつ色が付きはじめ、カメラが
徐々に引くと そこが「 黒ずくめの部屋 」に切り替わっていた。
「 絵 」の購入者は 黒ずくめ だった…を シームレスに描く
演出。
ここの、「 絵 」が モノクロ から カラーに変わる「 演出 」が
素晴らしくてね。
〔『 歓びの毒牙 』 次の被害者、タバコを吸う女性 〕
再び 黒ずくめが動き出す。
〔『 歓びの毒牙 』 「 タバコ女性 殺害 」場面1 〕
ここ「 タバコ女性の 出入口への視線 」→「 タバコを消す 」→
「 視線を 出入口に戻すと 人影が… 」は ワンカット撮影。
タバコ女性の「 視点 」が 臨場感を醸し出していて 結構な
「 震えるぞハート 」場面。
〔『 歓びの毒牙 』 「 タバコ女性 殺害 」場面2 〕
だた「 殺害 」自体は 抑え目の演出でしたけどね。
〔『 歓びの毒牙 』 思い出せない モニカ 〕
サムは モニカに会いに ギャラリーに行くが 収穫はなし。
その時、ギャラリーには「 大きな 壁状のオブジェ 」が 運び
込まれていた。
〔『 歓びの毒牙 』 「 エレベーター 」殺人1 〕
黒ずくめは 再び 凶行に。
女性が エレベーターに乗ろうとすると、後ろから 黒ずくめに
押し込まれ…
〔『 歓びの毒牙 』 「 エレベーター殺人 」2 〕
カミソリで スパッ、スパッ、スパッと 切り刻まれてしまう。
「 エレベーターでの カミソリ殺人 」といえば デ・パルマ の
『 殺しのドレス 』(80年)が 思い出されますが それよりも 早いんですよね。
ほぼ「 アップ 」なので「 画的 」には チョット単調ですが、
( カットのリズム重視? )押さえておきたい「 殺害場面 」となってます。
〔『 歓びの毒牙 』
黒ずくめからの電話から聞こえる「 きしむ音 」〕
少し前、黒ずくめから 警部に「 挑戦するような電話 」があったが、サムにも「 警告の電話 」がくる。
その電話は「 録音 」していたので 音声を分析、その結果
「 謎の きしむ音 」が聞こえる事が判明。
ちなみに「 サムと 恋人・ジュリアが 男に襲われる 」と、
この後の「 その 雇われ男が 殺されているのを サムが発見 」の くだりは ばっさりカット。
〔『 歓びの毒牙 』 2つの電話は別人 〕
分析の結果、警部と サムに掛かってきた 電話の「 声 」は別人だと判明。
犯人は 2人?
〔『 歓びの毒牙 』 昔あった「 娘が襲われた事件 」〕
サムは くだんの「 絵 」を描いた 画家を訪ね、その「 絵 」が 昔 実際にあった「 娘が襲われた事件 」を 元にしていた事を
突き止める。
この後、恋人・ジュリアが 犯人に襲われるんですが、
それも 丸っと カットです。
〔『 歓びの毒牙 』
「 きしむ音 」の 正体 & 葉巻を吸う カルロ 〕
黒ずくめからの電話の「 録音テープ 」を借りていた カルロは 葉巻を吸いながら、
その「 きしむ音 」が「 ある鳥の声 」だと サムに報告する。
シベリアの鳥らしいが どうやら イタリアに 1羽 いるらしい。
〔『 歓びの毒牙 』 これが「 水晶の羽を持つ鳥 」だ!〕
…なんか、想像と違う。
〔『 歓びの毒牙 』
「 鳥 」の近くに建つ「 アルベルト・アパート 」の「 窓 」〕
サムたちは 警察と共に「 鳥 」がいる「 園 」に向かう。
その「 鳥 」の すぐ近くには アルベルト&モニカ の アパートが…。
ちなみに「 犯人へ導く 」この「 水晶の羽を持つ鳥 」は
『 サスペリア 』(77年)のラストに出てくる
「 クリスタル孔雀の置物 」※の モチーフになってます。
( ※ この「 水晶の羽 」が スージーの武器になり、惨劇の決着へと導く )
〔『 歓びの毒牙 』 そういえば 窓の近くに電話が… 〕
「 そういえば アルベルトに会った時、窓の側に電話あったな 」と 思い出す サム。
その時、アパートから悲鳴が!
こんな伏線、わからんよ…
〔『 歓びの毒牙 』 もみ合う アルベルトと モニカ 〕
〔『 歓びの毒牙 』 抵抗する アルベルト 〕
アパートには もみ合う アルベルトと モニカの姿が。
警察は モニカを保護、ジュリアと カルロと共に アパートから
避難。
〔『 歓びの毒牙 』 私がやりました 〕
抵抗した アルベルトは 窓から落下、死ぬ間際に 犯行を自供し、
さらに「 モニカは 私を止めようとした 」と付け加える。
事件は 解決した…が、モニカ、ジュリア、カルロの姿が見当たらない。
〔『 歓びの毒牙 』 「 絵 」のある部屋 〕
サムは ジュリアを捜すため ある建物の部屋に 入り込む。
その部屋には くだんの「 絵 」が 飾られていた。
そこの ベッド?の下に 拘束された ジュリアがいたが サムは
それには 気付かず。
〔『 歓びの毒牙 』 ナイフ装備・カルロ 〕
そのまま サムは ナイフを持ち イスに座る カルロを見つける。
犯人は カルロ⁉
そういえば サムの部屋で カルロは「 葉巻 」を吸ってた!
〔『 歓びの毒牙 』 死んでたカルロ と 真犯人・モニカ 〕
真犯人は カルロ…と 思いきや、カルロは 背中を刺されて
殺されており、イスの裏から モニカが 登場。
そこで サムは「 もみ合い 」目撃時に感じた「 違和感 」の正体に気づく。
〔『 歓びの毒牙 』 ナイフは モニカが持っていた 〕
「 もみ合い 」の現場で ナイフを持っていたのは 黒ずくめ =
アルベルト ではなく モニカで、
「 犯行 」を止めようと、また「 彼女を守ろう 」としていたのは アルベルトの方だった。
…つうか、カルロのくだり、いる?
〔『 歓びの毒牙 』
「 壁状のオブジェ 」の下敷きになった サム 〕
〔『 歓びの毒牙 』 モニカの逮捕 〕
最後は サクサクッと。
逃げるモニカを追う サム、そこは「 ギャラリー 」。
そこで「 壁状のオブジェ 」を倒され その下敷きになり、
手も足も出ない状態になった サム。
だったが、モニカが モタモタしてる間に 警察が来て あっさりと
モニカを 逮捕。
〔『 歓びの毒牙 』 モニカの「 行動原理 」〕
くだんの「 絵 」の元になった 少女は モニカ。
「 古物商 」で その「 絵 」を見た モニカは トラウマを発症、
有ろう事か 加害者の男の方に「 同化 」してしまい、女性たちを
襲っていたのだった…。
サムは ジュリア( 結局「 画像 」無し )と共に 帰国……終。
主人公・サムは「 目撃 」はしたものの、一番 活躍したのは
カルロ でしたね。
それなのに 一時とは言え 犯人にされてしまうのは 不憫だったな。
という事で、証拠品の「 黒手袋 」が ミスリードだけのアイテム なのは 気になりますが、
( まあ、アルジェントは いつも こんな感じだけど )
「 思い込み 」を利用した「 真相 」は 見事に決まっていて
ミステリー満足度は 結構 高かったですね。























































