残りの「 ノンフィクション 」。
「 未解決殺人クラブ
市民探偵たちの執念と正義の実録集 」
著:ニコラ・ストウ
訳:村井理子
ノンフィクション本は 年末に 1冊だけ 読んでいたけど、
読みたいのが 増えてきたんで このタイミングで 1冊。
一応、年末に もう1冊読む予定。
『 FBI心理分析官 異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 』
『 FBI マインドハンター 』
と「 犯罪( 猟奇殺人 )モノ 」( ド定番 )から読み始めた
ノンフィク本。
近年は『 毒薬の手帖 』、『 世にも奇妙な人体実験の歴史 』、『 蚊が歴史を作った 』等々、学術系?が メインだったけど※
久しぶりに「 犯罪モノ 」に カムバック。
( ※ 犯罪+科学の『 科学捜査ケースファイル 』が転機。
一応 全部「 人が死ぬ話が多い 」という共通点がある。
ちなみに『 ~ 人体実験の歴史 』は、
タイトルは「 サブカル系 」っぽいけど、中身は 真面目です )
で 本書はというと、
「 一般の人々、“市民探偵たち” が 警察を支援した事件や
身元不明者の “人物特定” に協力した話を紹介する 」
みたいなのが 主な内容。
テーマは「 市民探偵 」なので「 副題 」の方が しっくりきますね。
原題も
『 THE REAL-LIFE MURDER CLUB
CITIZENS SOLVIG TRUE CRIMES 』
ですし。
扱う話としては「 フィクションの素人探偵 」みたいな、
“動き回る捜査” を想像していたんですが、
実際は「 ネットによる情報収集 」「 データベース検索 」や
「 データ分析 」なんかが ほとんどで、
「 犯人捜し 」よりも「 身元不明者の人物特定 」の方が多かったですね。
あと、市民探偵グループが 捜査の邪魔してるんじゃないかとも 思ってたんですが、
「 気になる情報は 警察に知らせる 」が徹底されていて
( あくまで 情報提供者という立場 )ちょっと感心。
警察が 市民探偵を頼るところからも※ 警察の リソース不足
( 人員、お金、時間、PC )が 透けて見えます。
DNAに関しては その質や 保存状態も大切※で、状態が良いと 4番目、5番目の “いとこ” を通じて 鑑定できるようです。
( ※「血液」の他、治療跡のない「 大臼歯 」が いいらしい )
個人的に 期待していたのが、ネットで見つけた ノンフィク本、
『 黄金州の殺人鬼 凶悪犯を追い詰めた執念の捜査録 』
の「 黄金州の殺人鬼 」の話でしたが、これも 現実的な結末
でしたね。
その代わり 別の「 残酷な事件 」が 予想をはるかに超える
「 壮絶さ 」だったので そっち面でも 満足出来ました。
多く紹介されている「 身元不明者の身元が判明する 」
( 名前を取り戻す、家族の元に帰る )
エピソードが やるせなくも 感動的なんですが、
「 事件 」の方が 面白かったので そっちの方を ちょっと紹介。
1章「 なぜ彼女を殺したの?」
人違いで ギャングに殺された女性。
その女性の母親が SNSで「 偽プロフィール 」を作り
それを使って 情報収集、犯人を捕まえようとする…
という、他のとは ちょっと 毛色が違う内容。
犯人の男に 一旦 逃げられるも その男が フェイスブックに
「 偽名アカウント 」を作った事で メキシコにいる事が判明、
男の知人から「 居場所の情報提供 」※を受け メキシコ州警察が 男を逮捕し、身柄を アメリカへ……
( ※ 正確な住所がないと 政府から令状がでない )
という、なんとも マヌケな顛末。
気を抜いて アカウントを作っちゃうところに SNS社会を感じますね。
3章「 私の初めての『 事件解決 』」
2001年 2月、南北戦争のコレクター、グレッグが 行方不明に。
グレッグの コレクションの 一部が オークション・カタログに
掲載された事から グレッグの親友、デブルインと 彼の彼女、ジュリーが逮捕される。
しかし「 グレッグの遺体が無い 」ため、このままでは
アイオワ州で初めての「 遺体のない裁判 」が開かれる事に。
一方、4月に トラックの駐車場で発見された バケツ。
その中には「 コンクリートで固められた 腐敗臭を放つ頭蓋骨 」があった。
法医学彫刻家により「 復元 」された その「 顔 」を見た
市民探偵のエレンは、「 行方不明者 検索サイト 」で その顔を見た覚えがある事に気付く。
エレンは 何千もの 行方不明の男性を精査、ついに グレッグの顔を見つける。
捜査機関を支援している「 DOEネットワーク 」経由で 警察に情報が行き、歯科記録から その首が グレッグだと判明。
裁判により デブルインは 仮釈放なしの 終身刑に。
ちなみに ジェリーは 司法取引により 殺害に関しては不問、
偽証罪で 5年の実刑。
グレッグの遺体は バラバラにされ、渓谷に捨てられていたんですが、ここまで やっておいて 何故か「 首 」だけは
「 バケツに入れて コンクリートで固め 駐車場に遺棄 」と
雑な扱いなんですよね。
この「 雑な思考 」が 逆に怖いな。
5章「 マザーロード 」
6章「 捕らえられた 黄金州の殺人鬼 」
…は、上で紹介した「 黄金州の殺人鬼 」の話。
70年代から 80年代に カリフォルニア州( 黄金州※ )を
恐怖に陥れた 強姦魔・殺人鬼。
( ※ 黄金州 = ゴールデン・ステート
「 金 」が発見されたことで 付けられたようだ )
当初は 2つの場所での犯行だったため それぞれ別人とされ、
「 イーストエリア・レイピスト 」=「 EAR 」、
「 オリジナル・ナイト・ストーカー 」=「 ONS 」
と、ふたつの名前があったが、2001年 DNA鑑定によって
同一人物だと判明した事で 2つを併せて「 EARONS 」
( イーロンズ )と 呼ばれる事に。
ポール・ハインズと ミシェル・マクナマラの 市民探偵は
「 地理的プロファイリング 」を用いて データ分析をし、
独自に「 リスト 」を作成してたが、
2016年に ミシェルが 複数の処方薬による 過剰摂取で
急死してしまう。
ミシェルが残した 膨大なファイルを精査して 本にしたのが、
先に紹介した『 黄金州の殺人鬼 凶悪犯を~ 』。
2018年、本の宣伝していた ポールの元に、黄金州の殺人鬼が特定され 逮捕されたとの 情報が飛び込んでくる。
その殺人鬼、ジョセフ・ディアンジェロ は 元警官であり、
父親であり、祖父でもある人物であった。
その逮捕の経緯は…
2018年、 犯罪科学研究所の協力を得て 黄金州の殺人鬼の
被害者から採取された「 精液 」の分析により、
殺人鬼の「 DNAの完全なプロファイル 」に成功。
そのデータを「 GEDmatch 」( 商用データベース。DNAを登録する事で 親族を捜すことが出来る )に登録、
別のシステムにより 黄金州の殺人鬼が「 青い瞳 」らしい事も
判明。
「 家系図 」を遡って 20人程度の “はとこ”、“みいとこ” を
発見、それと 万引きで免職された警官の「 新聞記事 」から、
捜査官の「 6人の容疑者リスト 」のひとりで 唯一「 青い瞳 」を持つ ジョセフの名前が浮かぶ。
ゴミ箱から ジョセフの DNAを採取、黄金州の殺人鬼と
プロフィールが 一致する事を確認、逮捕に至る…
と、DNA様様な 結末。
ちなみに ミシェルと ポールが作った「 リスト 」には ジョセフは載っていなかった、という 少々 ニガい結末でもあります。
次のヤツは 上記した「 壮絶( 異常 )な事件 」なので
要注意。
9章「『 猫いじめに 断固NO!: 虐待動画の犯人を追え 』」
10章「 ルカ・マグノッタの仮面を剥ぐ 」
この事件は「 ネトフリ 」の「 ドキュメンタリー作品 」
( 3時間 )として製作されており、
9章の章題は その邦題を そのまま使用してます。
( 原題は『 Don't. Fuck. With. Cats. 』)
内容自体も そのドキュメンタリーの場面が多く使われている様なので、興味のある方は「 ネトフリ 」で観ましょう。
ちなみに タイトルに「 猫いじめ 」とありますが ハッキリ言うと「 子猫殺し 」です。
2010年、ある投稿者が アップした「 子猫殺し動画 」。
すぐさま「 正義のために バキューム・キラーを捜せ 」と
名付けられた 犯人捜しグループが「 フェイスブック 」に
立ちあげられる。
…というのが 事の発端。
市民探偵たちが かなり頑張っている話でしたが 長くなるんで
割愛し、犯人逮捕まで 超ザックリと 説明。
グループは 犯人の挑発を 受けながらも “ルカ・マグノッタ” という男の情報を得る。
「 ルカ 」を検索してみると 様々な衣装で ポーズを取っている男の「 スライド写真の動画 」があった。
さらに ルカの写真が掲載されている「 ファンサイト 」も発見。
だが、写真を細かく見ていくと その写真のほとんどが ルカの顔を当てはめた「 合成 」だと気付く。
さらに 40くらいある「 ファンサイト 」、そこに書かれた
「 ファンの褒めコメント 」や「 ウワサ話 」
(「 リバー・フェニックスの いとこ 」など )も 自作自演と
判明。
合成じゃない写真から ルカの居場所を探し当てるも すでに
ルカは おらず。
2011年、2本目の「 子猫殺し動画 」がアップされる。
「 サン紙 」の記者が ロンドンにいた ルカと面会するが ルカは
「 罠に 嵌められた 」と否定。
だが 後日、その記者は ルカから「 殺人をほのめかす 」メールを受け取る事に。
2012年、「 男とアイスピック 」という タイトルの
「 男性を殺害する動画 」がアップされる。
ルカと思われる男は 被害者を アイスピックで 99回刺し、
その後 ナイフや ノコギリで 遺体を切断。
切断された手足を使っての自慰行為、 胴体の肛門での性交も
行われたようだ。
さらに( まだあるのかよ… )「 長いバージョン 」では
「 食人行為 」も 示唆されており、
解体された遺体の 一部は 政治家や 学校に 郵送されてもいた。
( さらに 付け加えると、しばらくして 発見された遺体には
動画に映っていた 子犬の遺体もあった )
居場所は カナダの モントリオール だったが ルカは すでに国外に逃亡。
2012年 6月4日、ベルリン。
ネット・カフェを利用しにきた ルカに 従業員が気付いた事で
ルカは 逮捕される。
2週間後、カナダに移送され 第1級殺人で 終身刑に。
…という「 子猫殺し 」から まさかの「 猟奇殺人 」の展開。
( 端折ったが ルカには「 殺人鬼に憧れていた 」節もあった )
「 殺猫・殺人動画の投稿 」も さることながら、
ルカの 強烈な自己愛、ナルシシズムにも 恐怖を覚えましたね。
さらに「 バラバラ 」「 死体凌辱 」「 遺体の一部 送り付け 」
「 食人行為 」も加わり、久しぶりに 深淵を 覗き見た気持ちになりました。
「 食人 」に関しては 映画『肉』&『グリーン・インフェルノ』の記事でも 少し書きましたが、
猟奇殺人者が「 被害者を 噛んだり、食べたり 」する事って
意外と 多いんですよね。
本書でも 元・殺人課の探偵が
「 遺体をバラバラにする 殺人事件は いくつか担当しましたが、
ケースによっては 遺体を調理していました 」
って言ってましたよ。
ちなみに「 4章 」では テッド・バンディ、
「 11章 」では ジョン・ウェイン・ゲイシー が出てきます。
最後の 12章「 探偵が しくじるとき 」は
2013年の「 ボストン・マラソン爆破事件 」の話で、
多くのネット市民たち、人気ブロガー、メディアが 暴走し、
全く関係のない人物を 犯人として追ってしまう内容。
それとは別に、
「 水が茶色、味も悪い 」との苦情で ホテルの「 貯水槽 」を
確認すると そこには 死体が……
という、イヤ~な エピソードもありましたよ。
ここらへんも 書きたいけど キリがないんで 今回は ここまで。