今月 読んだのは…
特殊設定・ミステリー
「 クローズドサスペンスヘブン 」 五条紀夫
ミステリー風?(不条理?)群像 サスペンス・ドラマ
「 予告された殺人の記録 」 G・ガルシア=マルケス
“ヘンな死体” 本格ミステリーの短篇集
「 死体で遊ぶな大人たち 」 倉知淳
本格ミステリー、“AI探偵”シリーズ4作目
「 VR浮遊館の謎 」 早坂吝
の4冊。
ミステリー減らす、と言いながら 3冊も 読んじゃった…。
( 個人的には 4冊とも ミステリーだったしな… )
来月は ちゃんと ホラー系も 読みます…。
まずは “みんな死んでる”・ミステリーと ミステリー風の2冊。
「 クローズドサスペンスヘブン 」
五条紀夫
特殊設定・ミステリー。
鏡の前で “首を斬られた” 男…が 目を覚ますと、そこは 砂浜で 記憶を失っていた。
林の中には「 館 」があり、男は そこにいた 5人の男女から、
自分たちにも 記憶はないが 何者かに殺されていて、この小島は「 天国 」だと聞かされる。
さらに この「 天国屋敷 」は 皆の願望によって創られた場所で、現実世界で 亡くなったのと 同じ「 館 」でもあるという。
「 殺人事件の 真相を知りたい 」という「 願望 」を 叶えれば ここから解放されると 推測した6人は 自分たちを殺した犯人を捜し始めることに。
毎朝届く「 現実世界で起きた 殺人事件 」の記事が書かれた
「 新聞 」によると 犯人が 5人を殺して その後 自殺したらしいのだが……。
作品の「 設定 」が独特? で 気になっていた作家。
「 ミステリー色 」が強そうで 一番 面白そうにも 思えた 本書が借りられたので 読んでみました。
ミステリー的には「 クローズド・サークル 」と よくある設定
だけど、
「 主要人物が 全員 死んでいて 」舞台も「 死後の世界 」という「 特殊設定 」になってます。
作中では 便宜的に「 天国 」と言っているけど どちらかと言えば、キリスト教の「 煉獄 」の方に 近いのかな。
本作では「 願望を叶える 」、煉獄は「 罪の浄化 」と 意味合いは まったく 違いますけど。
内容は「 登場人物 ほぼ6人 」「 トボけた 掛け合い(笑い)」
「 小島での生活 」…と 小規模で「 舞台 」を思わせる 雰囲気。
ちなみに、刊行が「 新潮文庫 Nex 」という事で「 ライト系 」寄りだと思っていたんですが そういう事もなかったです。
上記したように「 ミステリー色が 強そう 」とは思ったものの、
実は そっちの方は ほとんど 期待していなかったんですよね。
しかし、読んでみると これが 結構「 本格 」。
「 話の展開 」≒「 謎 」なので 詳しく書きませんが、
毎朝届く「 現実世界の事件の情報 」が書かれた「 新聞 」や
6人 それぞれが違う「 島に来た タイミング 」など 気になる
事柄が多いし、
「 手掛かり 」関係も わかり易かったり、意外性があったりと
いろいろで ミステリーとして読んでいて 楽しいんですよね。
あと、主人公の男・ヒゲオ( ヒゲが生えているから )が積極的に推理する「 多重推理 」の要素も 好みでしたよ。
設定を活かした「 真相 」も 納得感があったので 個人的には
「 本格 」としての 評価は まあまあ高め。
ドラマ面も「 死 」と「 生前の願望 」と 少々重めで、シリアスな面も あったりするんだけど、
クスっと 笑えるところもあるので( 人によるが )湿っぽさを
あまり感じないのも 良かったですね。
しかも、ボリューム感がある割に ページ数「 約260ページ 」と 少な目なのも 好印象。
という事で「 特殊設定・ミステリー 」が好きなら そう大きくは
ハズさないかと。
ページ数も多くないので「 エンタメ・ミステリー 」として 気軽に オススメも 出来そうです。
「 予告された殺人の記録 」
G・ガルシア=マルケス
ミステリー風・群像ドラマ。
町をあげての 盛大な婚礼の翌朝に起きた、サンティアゴ・ナサールの殺害事件。
「 サンティアゴ が殺される 」ことを 町の多くの人々が 知っていたにも関わらず なぜ、止められなかったのか……。
新しい「 文庫版 」のヤツがなかったので 順番としては 先に
『 族長の秋 』の方を読もうと 思っていたんですが、
図書館で 本を物色中に ページ数が少ないのに 気づいたので
古いけど※ コレでいいやと 考え直して 読むことに。
( ※ 発行は 1983年。
訳者は「 文庫版 」と同じ 野谷文昭 )
『 百年の孤独 』は、時に奇異な人々のエピソードを紡ぐ形で
「 町と 一族の崩壊 」を描いた「 叙事詩 」的な話だったけど、
こちらは「 殺人事件 」の発端から顛末までを「 聞き語り 」
( ルポタージュ )形式で描いた、ちょっと リアリズムを 感じさせる内容でしたね。
( 実際、本当にあった事件を ルポとして書こうとしたらしい )
ちなみに、本作も 多くの人物が 出て来るので 軽くメモった方がいいかも。
で、感想から書くと、読む前は 不安だったものの 無事に面白く読めましたよ。
でも『 百年の孤独 』同様に「 何が 面白かったのか 」の具体的な説明が ムズかしいんですよね。
個人的に 初めに ビビっと、ワクワクっと来たのが 多くの人が
「 殺人が起こるのを知っていた 」ところ。
それと、犯人自身が「 殺人 」を周囲に吹聴( 予告 )しているため「 この状況で 殺せるのか 」という
「 倒叙サスペンス 」が 垣間見えるところも 楽しかったな。
犯人に会った人、殺人を知った人、それぞれの動き( ドラマ )が 繋がっていく「 パズル 」のようでもあったし、
(「 逃れられない 死 」から 映画『 ファイナル・デスティネーション 』シリーズを想起したりも )
いきなり出て来る マジック・リアリズムな「 殺人の予知 」も
地味に 不穏で イイんですよね。
最後の「 殺害 」描写も 想定外に 残酷で ちょっと得した(?)気分になったりも。
あと単純に、着々と進む「 運命 」が醸し出す「 幻想怪奇 」的な雰囲気も 心地よかったな。
エピソード的には「 アンヘルの手紙 」のくだりが すごく 印象に残りましたね。
その「 顛末 」に ビックリしつつも「 手紙の扱い 」の方には
ツッコミを入れてしまいましたけど。
その他「 お金を積まれて死んじゃう 」のや「 ディビナが見た
サンティアゴ …のような者 」※も 好きだったり。
( ※ フツーに ちょっと 怖い。
アレは 無意識に出た サンティアゴへの「殺意」の表出とみた )
「 殺人 」と タイトルにあるけど 犯人は すぐに判明するし、
その「 動機 」も あっさり明かされるため ミステリー要素は
なさそうなんですが、
先に挙げた「 なぜ、殺人を止められなかったのか 」とか、
「 なぜ、サンティアゴが 死ななければならなかったのか 」
という「 不条理な謎 」みたいのは 一応 ありましたね。
その サンティアゴの「 死 」に関しては「 キリストの犠牲 」のようなもを感じて ひとり納得していたんですが、
「 訳者あとがき 」で「 サンティアゴは スケープゴートとして選ばれた 」と 似た感じ(?)のが あったので ちょっと 自信を持ちましたよ。
というか「 訳者あとがき 」で 内容を ほぼ全て 解説していて
助かりましたね。
「 考え 」が古いのは「 男性優位主義 」の話でもあったからだとの説明には 納得できたし、
それにより 男性人物たちの 行動原理も 理解 出来ましたね。
金持ち・バヤドルの「 孤独 」や「階級からのドロップアウト」との考えには まったく 思い至らなかったな。
「 金で解決 ぶぁい Yai Yai 」※で 少々傲慢な バヤドルでは あったけど、実は いろいろと 思うところがあったのかも…。
( ※『 おぼっちゃまくん 』OP曲 )
それと 犯人の動機が もっと “深い” ところにある「 男らしさ 」や「 名誉 」から来ていたという視点にも すごく納得。
時々「 “殺る気” のなさ 」が 窺えた 犯人だったけど、犯人の
心情が ちょっと クリアになった事で
ドラマ性と共に「 ミステリー性 」も 上がった気がしましたね。
そういう意味では 変化球的な「 動機 当て 」のミステリーとして 意外と 面白い作品だったのかもしれません。
そういう訳で、ページ数は 少ないし「 解説 」も 充実しているんで オススメしときます。
というか「文庫版」にも「 訳者あとがき 」載ってるんだよね?