ミステリー2冊「 オーブランの少女 」「 殲滅特区の静寂 」 | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

今月 読んだのは、

 

 

ミステリー短篇集

「 オーブランの少女 」  深緑野分

 

 

怪獣+ミステリー の 連作短篇

「 殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官 」  大倉崇裕

 

 

SF系・本格ミステリー

「 四元館の殺人 探偵AI の リアルディープ・ラーニング 」

早坂吝

 

 

競作モノ・本格ミステリー

「 あなたへの挑戦状 」  阿津川辰海、 斜線堂有紀

 

 

の4冊。

 

 

まず最初の2冊から。

 

 

「 オーブランの少女 」  深緑野分

 

ミステリー短篇集。

 

全5編。

 

 

前から「 リスト入り 」していた作品。

 

実は『 カミサマはそういない 』に 手が伸びそうだったんですが グッとこらえました。

 

ちなみに 著者作品といえば『 戦場のコックたち 』が 思い浮かびますが、そちらは あまり 興味がない感じですね。

 

 

 

「 オーブランの少女 」

 

“片足がない”姉“声が出せない”妹の 老姉妹が 管理する、

美しい庭園「 オーブラン 」。

 

その庭の、施錠され 立ち入る事が出来ない「 奥の庭 」で

その管理人の が 滅多打ちで 撲殺される 事件が起きる。

 

その傍に 立っていた 犯人の老婆は ○○されていたらしい事が

わかり…。

 

その後 しばらくし、自ら命を絶った が 少女に 託した

「 手記 」には 驚くべき出来事が 記されていた…

病気を抱える少女 が 療養のため連れてこられた、外界から

閉ざされ、皆「 花の名前 」が 付けられている サナトリウム。

 

厳格な暮らしをしている 少女たちだけの そのサナトリウムで

ある日、「 毒 」によるものと思われる「 少女 死亡事件 」が

起きる……。

 

 

「 管理人・ 撲殺 事件 」と「 ○○されていた? 犯人 」、

冒頭の 二つの “残酷”な出来事から 興味を そそられる展開。

 

続く「 サナトリウム の 出来事 」( 手記 )に関しても

「 色の違う 手首のリボン 」などの「 サナトリウムの謎 」や、

 

「 動機が 分からない 毒殺 」と いろいろと 気になる描写・展開を見せていて 面白く読めました。

 

ただ、後半は「 急ぎ足 」の感があり じっくりと雰囲気を味わえなかったのは 残念かな。

 

あと、ちゃんと「 本格 」でも ありましたが、

個人的には そっちよりも「 サスペンス 」の方が 強い 印象を

持ちましたね。

 

 

 

「 仮面 」

 

ヴィクトリア朝 時代( らしい )の ロンドン。

 

貧乏医師の アトキンソンは、往診している 夫妻の「 使用人 」で “醜い顔”の少女・アミラ の “美しい” 妹、リリューシカ

心を 奪われる。

 

姉妹と 度々会い 親しくなった頃、アトキンソンアミラから “ある手伝い” を頼まれるが……

 

 

コチラは『 オーブラン 』と比べると だいぶ オーソドックスな内容。

 

「 時代背景 」は なかなか 興味深くて 面白く 読めたけど、

「 展開 」は 読めるし、「 真相 」関係も 弱くて 普通な感じでしたね。

 

特に 個人的には アミラの事が 描かれていなかったところが

不満だったな。

 

 

 

「 大雨とサラダ 」

 

平凡な 安食堂。

 

外は「 暴風雨 」のため 客は 常連の男 ひとり。

開店を 悔やむ 店主だったが そこに 少女が来店する。

 

「 トマトのサラダ 」を注文した その 少女に ふと、見覚えを

感じた 店主は……。

 

 

「 大衆食堂 」を 舞台にした 人間ドラマ・サスペンス。

 

常連なのに 今だ 素性が よくわからない

わざわざ 嵐の日に 食堂を 訪れた 少女

 

ミステリアスな 客二人に対する 店主の「 推測 」心情描写が

愉しい作品。

 

何気ない描写や 事柄が 意外な真相を形作る 構成も 良かったですね。

 

地味な作品ですが「 納得感 」が高く 一番 面白かったです。

 

 

 

「 片思い 」

 

大正・昭和あたりの「 寄宿制の女学校 」を 舞台にした、

 

資産家で 女生徒に 人気のある 水野さんと 同室になっている

薫子の視点で 語られる「 少女・友情譚 」。

 

まさか アレを持ってくるとは…。

もう少し「 手がかり 」があれば もっと 驚けたような気が。

 

 

 

「 氷の皇国 」

 

夏に白夜が起こる地域( 北欧 )の 潟湖(せきこ)で発見された「 大昔の 首無し死体 」。

その死体について 老吟遊詩人が 語り始める。

横暴気味な 皇女が 執着している 元近衛兵の ヘイザル

ヘイザルの娘で「 城 」の配膳係をしている エルダ皇女

ある策略に 嵌ってしまい……。

 

 

後半に「 裁判 」っぽい展開になる話。

個人的には 一番「 本格 」らしい 作品に思えましたね。

 

ただ、「 事件 」に 深く関係すると思っていた「 2つの階段 」や「 階段の 色とりどりの ランプ 」の 絡みが 少なかったのは少々 拍子抜け。

 

あと、関係ないとはいえ「 死体 ミスリード 」は ダメだったな。

 

 

という事で「 時代背景 」や「 心情描写 」は なかなか良かったのですが、「 本格 」としては 少々 物足りなく感じましたね。

 

ヘンに 盛ったのよりも『 大雨とトマト 』のような

地味だけど ジワジワ来るような作品の方が 個人的には 合う

作家だと 感じでしたね。

 

 

 

 

「 殲滅特区の静寂 警視庁怪獣捜査官 」

大倉崇裕

 

SF・ミステリー。

一応、「 特殊設定 」とも 言えるのかな。

 

 

著者は ドラマ化された『 福家警部補 』シリーズ

『 警視庁いきもの係 』シリーズ の人で、

 

近年だと『 ウルトラマン 』『 コナン 』にも 参加している

みたいです。

 

ちなみに『 福家 』は観ました。

 

著者の作品は、怪獣アンソロジー『 怪獣文藝の逆襲 』

『 怪獣チェイサー 』を読んでます。 ( 内容は 忘れた )

 

 

本作は「 怪獣パニック 」+「 ミステリー 」の 連作短篇で、

全3話( +エピローグ )の構成になってます。

 

「 帯 」には「 本格ミステリ 」とありましたが、個人的には

その要素は 軽めな印象。

 

あと 勝手に「 怪獣の 襲来、性質、特質 」に

「 犯罪の トリックが 絡む 」( 怪獣を 利用する )みたい

なのを 想像していたんですが、

 

どちらかと言うと 怪獣は 事件の「 切っ掛け 」や「 背景 」の

面が 強い感じでしたね。

 

 

内容としては「 怪獣の襲来が 当たり前になった 」日本(世界)を舞台にした、「 組織もの 」になるのかな。

 

世界観、雰囲気的には『 平成ゴジラ 』の「 怪獣対策の部署 」のような、ファンタジーを残しつつも 少し リアル寄りでもある感じでしょうか。

 

基本設定としては 怪獣対策を専門とする「 怪獣省 」があり、

 

怪獣を索敵する「 索敵班 」

怪獣の進路分析・誘導・攻撃方法 の策定 をする「 予報官 」

怪獣を撃退する「 殲滅班 」

 

の「 モデルプラン 」出来上がっている 設定で、

 

予報官で 一番 権限のある「 第一 予報官 」の 岩戸正美

「 怪獣捜査官 」の 船村秀治 が 主人公となってます。

 

 

その「 怪獣省 」の権限が ものすごく強く、

 

個人的には そこらへんの( 設定的にも )「 ガチガチ 」な

ところが ミステリー的な 自由度を 若干 損なったのかなとも

感じましたね。

 

あと「 予報官 」の視点なので「 怪獣の殲滅 」場面が 少なかったのも 少々 残念。

 

 

 

「 風車は止まらなかった 」

 

静岡県 沿岸に接近する 怪獣・グランギラス

 

「 第一 予報官 」の 岩戸正美( いわと まさみ )は

グランギラスを 誘導するため ある決断をするが…。

グランギラスが 襲撃した 風力発電の「 管理村 」で

「 自然エネルギー開発企業 」の 顧問である男性の遺体が 発見

される。

 

当初、怪獣被害によるものと 思われていたが「 怪獣捜査官 」の

船村秀治( ふなむら しゅうじ ) から 顧問の男性は 人の手に

より 殺害された事を聞かされる……。

 

 

本作だけでは ないんですが 以外にも 社会派要素のある話でしたね。

 

「 犯人指摘 」の くだりは チョット強引だったかな。

 

 

 

「 殲滅特区の静寂 」

 

日本の南に現れた「 音に 敏感に 反応 」し、

「 強力な溶解液 」をまき散らす、怪獣・ラウゼンゲルン

 

予報官の 岩戸は 父島に誘導する作戦を取るが、統制官から

反対の意見が出たため 本土で「 殲滅 」する事に…

街が「 音響統制中 」( 無音 )のなか 上陸した ラウゼンゲルンだったが、途中 奇妙な反応を見せていた。

 

「 音声分析 」の結果「ある音」が発せられた事がわかり……。

 

 

「 怪獣のいる世界 」なら ありそうな話でしたね。

「 上陸場所の変更 」の くだりも 面白かったです。

 

ただ「 後半の展開 」は 好みでは なかったかな。

 

 

 

「 工神湖殺人事件 」

 

「 この国に 地底怪獣はいない 」。

 

1979年に 地底怪獣を 完全に殲滅したはずであったが、

東北の湖「 工神( こうじん )湖 」で

「 怪獣によるものと思われる 振動があった 」との情報が入る。

 

さらに 独自に調査に当たった 索敵班の調査官が 行方不明になっていた。

 

統制官から 調査を任された 予報官の 岩戸は 工神湖の 湖畔に

立つ ホテルへ赴くが そこで 殺人事件が 起こり……。

 

 

「 地底怪獣は いるのか 」の謎に

「 行方不明?事件 」と「 密室殺人 」が絡む 内容。

 

個人的には「 コレだよコレ 」であり、一番「 本格 」と思えた

作品でしたね。

 

怪獣設定を 活かした「 真相 」も 好みでした。

 

まあ、最後の登場は『 少年探偵団 』明智小五郎 みたいでしたけど…。