残りの 一冊。
「 SFショートストーリー 傑作セレクション 宇宙篇 」
著: 小松左京、 眉村卓、 石原藤夫、 筒井康隆
光瀬龍、 星新一
編: 日下三蔵
「 ジュニア向け 」( 内容は普通 )の「 SFアンソロジー 」
第二弾( 全4冊 )の、テーマ「 宇宙篇 」。
全6作品 収録。
「 宇宙鉱山 」 小松左京
一方向に流れる「 宇宙の塵 」の正体を探りに行った 巡察艇。
だが、“ほとんど 鉄の粒子” である「 宇宙塵 」の影響により
巡察艇の「 機器機能の 低下・停止 」が 起こる事態に……。
「 大小の隕石 」も混じる「 宇宙塵 」からの脱出と、
その「 正体 」に迫る話。
序盤から「 鉄粒子 」の影響による「 レーダーの故障 」や
「 徐々に 重くなる 巡察艇 」など、巡察艇が ジワジワと
「 鉄の塵 」に蝕まれていく 緊迫感のある展開でしたね。
あと、「 宇宙塵 」の 意外性のある正体( 目的、仕組み )も
ダイナミックで 良かったな。
( タイトルでなんとなく…だが )
「 時間と泥 」 眉村卓
外から来た 病原菌により「 思考部分 」と「 自律・本能部分 」を繋ぐ神経が 切断されてしまった種族、カポンガ。
「 思考は出来る 」が、体は「 本能のまま かってに動く 」状況により「 高度な文明 」は崩壊していた。
そんな「 強い絶望 」を感じている カポンガたちの星に 人間が訪れる……。
「 “思考” と “体” の分離 」という、なんとも もどかしい事態に 陥った 種族の話です。
なかなかの「 やるせない設定 」ですが、
さらに「 考えたところで どうにもできない 」という
絶望感も 加わるので、読んでいて 虚しさが 募るんですよ。
人間が「 星 」に 来てからも イヤな予感しかしないし…。
ですが、「 外から来た 病原菌 」により 文明が崩壊した種族が、同じく「 外から来た 人間 」により…という、
「 自然の 気まぐれ 」を思わせる顛末は 微かな希望がありましたね。
まあ、その前の「 大暴れ 」の描写が 一番好きですが。
「 バイナリー惑星 」 石原藤夫
バイナリー惑星に住む、バイナリー星人は「 分裂生殖 」する
らしい。
その情報を確かめるため「 惑星コンサルタント 」の調査員、
ヒノと シオダの 2人は 調査に向かう。
「 球体の胴体 」に「 頭 」が 1~3個ある バイナリー星人
は、敵意はないが 何故か「 言行不一致 」なところがあり、
「 頭 」の数も 減ったり 増えたりしているらしく……。
「 本格ミステリー 」的な趣のある、「 生物SF モノ 」。
初っ端から「 バイナリー星人の 頭がなくなる 」という “事件”
が起きるんですよ。
個人的には その バイナリー星人の「 数が増減する 頭 」や、
「 言行不一致な 行動 」の「 謎 」が気になり、グイグイ引き込まれましたね。
その「 真相 」も「 納得度 」が高く、ミステリー的な満足感も
かなりありました。
まあ、こちらもまた「 やるせない話 」では ありましたけど…。
ちなみに 本作は、
「 惑星コンサルタントの調査員 ヒノと シオダが、
その星ならではの 現象や 謎を解く… 」
という「 惑星 」シリーズ の一篇のようです。
「 星は生きている 」 筒井康隆
タイトルそのままな、ショートショート。
「 大惨事オチ 」かと思いきや……。
「 宇宙救助隊 二一八〇年 」 光瀬龍
木星の衛星「 ガニメデ 」に降りようとしていた、
貨物船・ブルーリンクス号で 爆発事故が発生、三隻の工作船が 救援に向かう。
だが、そこに 第二の事故が発生、ブルーリンクス号は 工作船を引き連れ 推進を開始する事態に。
そんな ブルーリンクス号の情報を キャッチした 宇宙救助隊は
救助に向かう……。
という、宇宙版『 サンダーバード 』みたいな話。
ただ、明るめ(?)な『 サンダーバード 』とは異なり、
こちらの 隊員たちは 皆…という、「 ハード寄り 」な設定
なんですよね。
あと、結構「 人死に 」も多かったし。
「 プロフェッショナル もの 」として 面白いんだけど、
状況や 状態が 掴みづらかったな。
「 処刑 」 星新一
「 機械の暮らし 」についていけず 殺人を犯し、その刑罰として
「 火星に流刑 」された男。
その時に 渡されたのは「 ボタンを押すと 水が出てくる 」
銀の玉 だったが、その「 玉 」は
「 ボタンを押すと 爆発するかもしれない… 」という
「 処刑の道具 」でもあった……。
大気中の水分を集め「 水 」にする※「 銀の玉 」の設定が
面白く、
それが「 喉の渇き(生)」と「 爆発の恐怖(死)」の天秤
として 二重に 男 を苦しめる…という「 残酷な刑罰 」になっているってのが 上手かったですね。
( ※「 大気中から水を得る 」話は『 空想科学読本 』の
「 ウルトラ水流 」の回でも やってたな )
「 あらすじ 」だけ読むと、「 残酷な処刑方法 」だけの話に
思えますが、
テーマ的には「 メメントモリ 」( 死を思え )や、
その逆の「 アンチ・メメントモリ 」( 死を気にするな )と、哲学手な内容になってます。
〔 “どちら”を 思い浮かべるか( 重視するか )は 人による 〕
インパクト自体は そんなに ありませんでしたが、
「 タイトル の イメージ 」とは異なり「 前向きな話 」で、
味わい深く 読めましたね。
という事で 個人的には
「 SF 」+「 ミステリー 要素 」という 好みの内容だった、
『 バイナリー惑星 』が 大収穫。
ファンには 人気作らしい『 処刑 』も 読めてよかったです。