今月読書は
本格ミステリー
「 雪が白いとき、かつ そのとき限り 」 陸秋槎( りく・しゅうさ )
飛行機・アンソロジー
「 死んだら飛べる 」 編 : スティーヴン・キング
本格ミステリー
「 消失! 」 中西智明
連作短編・本格ミステリー
「 赤ずきん、旅の途中で死体を出会う 」 青柳碧人
の4冊。
まずは 「 本格ミステリー 」2冊。
「 雪が白いとき、かつ そのときに限り 」
陸秋槎( りく・しゅうさ )
本格ミステリー。
冬の夜、イジメにより 学校の「 寮 」を追い出された 女生徒。
朝、事務棟の 「 裏口の外 」( の コンクリ部分 )で、女生徒が
“刺し殺されている” と思しき 死体が 発見 される。
その「 裏口 」は 外から「 閂( かんぬき )錠 」が掛かっており、
「 裏口 」の コンクリートの周辺に 積もった雪にも 足跡がない
「 密室 状態 」だったため 「 自殺 」とされた…。
┋
寮委員の顧千千( こ・せんせん )から 5年前の「 イジメ自殺の噂 」の広がりの相談を受けた、生徒会長の馮露葵( ふう・ろき )は
真相を解明するため 調査を始めるが……
著者の 最初の長編、『 元年春之祭 』 は、
「 昔の中国が舞台 」で 「 漢字タイトル 」と “硬い” 印象を受ける作品で、
現に「 信仰 」や 「 祭儀 」の話も出てきますが、、
「 ツンデレ百合 要素 」を持つ “ライト寄り”・ミステリー でもありましたね。
本作は 打って変わって 「 現代( の中国 )の学校 」が舞台の
「 青春( 本格 )・ミステリー 」。
中国の漢字の名前は 読みにくいんですが、「 章 」や 「 節 」ごとに
フリガナが振られているし、
「 “フリガナ入り” の人物表 」も「 別紙 」であるので、そんなに
ストレスは 感じませんでした。 ( もちろん、巻頭にもあります )
「 話 」としては 前半は
馮露葵と、学校の司書で 卒業生でもある 姚漱寒( よう・そうかん )が
「 当時の関係者の 聞き取り 」をするという、「 刑事モノ 」っぽい展開。
「 青春譚 」でもあるので 必要な描写だし、
「 トリック考察 」や 「 被害者の行動から 犯人を推理する 」場面も
ありますが、個人的には 少々退屈。
「 2人の 掛け合い 」も 『 元年~ 』より 抑え目な感じだったしね。
このままだと 地味だなと 思っていたんですが、
中盤過ぎに “もう一展開”※ あって 一安心。
〔 ※ というか、裏表紙の「 内容紹介 」( あらすじ )に 書いてた…。
「 内容紹介 」は 読んだり、読まなかったりです 〕
ですが、後半の「 2つの事件を 比べた 」推理展開は かなり論理的で 興奮したけど、その後の「 真相 」には チョット 首をひねりましたね。
“あの真相”自体は 『 元年~ 』の 「 あとがき 」を 読んでるんで
まあ 良いんですが ( 某作品のアレだよね?)、
肝心の「 動機 」が “弱い” ため、納得度としては 低かったかな。
あと、好みでいえば ボリュームも もう少し欲しい。
てっきり、冒頭の「 女生徒の くだり 」が長めだったので なんかあると
思っていたけど、まあ、普通だったし。
という事で、個人的には 「 青春ミステリー 」としてみると “まあまあ” で、
「 本格ミステリー 」としては、 「 本格度 」自体は 高めではあるけれど、 “惜しい”作品でしたね。
「 消失! 」 中西智明
本格ミステリー。
ユカたちの ロックバンドが 練習場所として使っている
「 ビルの3階の部屋 」。
ユカたちは その「 隣室 」で、二カ月前から 顔を出すようになった
マリーの死体を 発見する。
しかも、そのあと “死体が消失”し、後に 犯人も “消えた”事が
わかる…
┋
帰りが遅い 裕二を捜す 裕子は 「 空き地 」で 裕二の死体を 発見。
裕子は 「 空き地 」から飛び出してきた 人物を 追いかけるが、
その人物は 「 袋小路の駐車場 」で 消えてしまう。
さらに 「 空き地 」に戻ると 裕二の死体も 消えていた…
┋
名探偵・新寺仁( にいでら・じん )は、ブティックの経営者から
姿を見せなくなった 純の捜索を依頼される。
街では 「 赤毛の持ち主 」が被害に遭う 事件が起こっており、
マリーも 赤毛であった……
かなり前( 1990年 発行 )の作品ですが、
2007年に 「 綾辻・有栖川 復刊セレクション 」の 1冊として 復刊された作品だったので チョット気になっていました。
著者の デビュー作ですが、これ一作しか 発表してないみたいですね。
「 話 」的には 「 純 の居場所捜し 」を依頼された 探偵・新寺 が
マリー、裕二の 「 死体消失 」事件にも 関わってくる…みたいな 展開。
「 ミッシング・リンク 」っぽい 始まり なんですが それは すぐ判明し、
ちょっと ガッカリ。
まあ、それは・・・なんですが、“それ” にも 早々に ピンと きちゃったんですよね。
そんな事なので 「 ミスリード 」( 描写の仕方 )を 楽しみつつ、
「 死体と 犯人の消失 」、「 犯人は誰か 」を 考えながら 読んだんですが、「 消失 」の方は 至って普通…。
それでも 「 犯人の独白 」や、「 三つの事件 」が 繋がっていく 過程、
「 裕子の暴走 」が サスペンスを 盛り上げていて、面白かったですけどね。
という事で 前半から 「 かなり油断して 読んでいた 」 わけですが、
“それ” が “目くらまし” になり 後半の「 真相 」には 仰天してしまい
ました。
てっきり メインが “それ” だと 思っていたけど、「 サブ・トリック 」
だったとはな~。
そう考えると “消失” にも 別の意味が 感じられますね。
さらに ミステリーらしい( ちょっと 時代を感じる )展開になる 終盤も
説得力は あまりなかったけど 悪くはなかったです。
( 偶然にも 先の 『 雪が白いとき、~ 』と 似た感じであった )
個人的には 「 本格ミステリー 」としても 「 サスペンス 」としても
面白く 読みましたが、
若干 「 バカミス 」っぽく感じる人もいそうなので オススメは
しにくい感じかな。 ( あと、古めの作品だし )
それでも 「 本格好き 」は 読んでおいても いいかもしれませんね。