読書2 SF短篇集 「 SF ショートストーリー 異次元編 」 | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

今月 読書 残り。

 

 

「 SFショートストーリー 傑作セレクション 異次元編 」

 

平井和正、 今日泊亜蘭、 眉村卓、 筒井康隆、 星新一

編 : 日下三蔵

 

 

読みやすい ジュニア向け( 内容は普通 )の SF・アンソロジー、

『 異次元編 』

 

全5作品です。

 

今回で 「 第1弾 」全4冊 読了。

 

「 第2弾 」も 面白そうなので( 飛ばして 読みそうになった… ) 続けて読む予定です。

 

 

 

「 次元を駈ける恋 」 平井和正

 

婚約者を事故で失い 絶望し、悲嘆に暮れる

 

そんなの前に “自分” が 現れ、には「 多元宇宙 」( 平行世界 )を 移動する 「 時空転位 能力 」( 時間も遡れる )が ある事を 知らされる。

 

婚約者を 手に入れるため、 その能力を使うが……

 

という、「 パラレルワールド・ラブストーリー 」※な 内容(?)。

 

 

〔 ※ 東野圭吾 『 パラレルワールド・ラブストーリー 』

巻末の 「 編者解説 」でも 紹介されていた。

 

映画化もされた作品 だけど、個人的には いろいろと 言いたい事が

ある作品 だったな 〕

 

 

『 時間編 』で 読んだ 平井和正 『 人の心はタイムマシン 』
ロマンチック過ぎて あまりノレませんでしたが、

 

こちらは 「 想い( 愛 )の強さ 」が 「 時空転位 能力 」の

発現、発動に 説得力を持たせていて スッと 話に 入り込めましたし、

 

その「 話 」自体も 「 平行世界 」にも “自分”がいる事から生じる

「 問題 」や、それに直面した 「 男の心情 」など 「 人間ドラマ 」として 楽しく 読めましたね。

 

特に 後半の 「 婚約者の 悲しい事実 」から

「 個人では どうにもできない 悲劇( 歴史 )」を知る 展開は

やるせなかったな。

 

そんな の「 想いの強さ 」と共に、「 SF的・哲学的な疑問 」を 問う

ような 「 最後の独白 」も 心に響きましたね。

 

 

 

「 ケンの行った昏い国 」 今日泊亜蘭( きょうどまり・あらん )

 

著者は 「 日本SF界の最長老 」と呼ばれていた SF作家です。

 

 

「 組 」の命令で 古い友だちを 拳銃で撃ち、崖に落とした やくざ の

ケン

ケンは 「 組 」に帰るため バスに乗るが……

 

オチは 読めますが、“日本らしい”「 報い 」の結末は 新鮮でしたね。

 

昔のヤクザらしい、ケンの “我が物顔”な 振る舞いや 言動も 結構

面白く 読めたかな。

 

 

 

「 潮( うしお )の匂い 」 眉村卓

 

夏、息子を持つ 中年の男

 

ふと、今の生活に 疑問を持ったは 「 息子の自転車 」で 少年の頃 行った 浜辺を 目指すが……

 

という、「 中年の危機 」+「 郷愁 」 みたいな 「 幻想譚 」

 

「 日々の疲れ 」「 ないがしろ気味な 家族 」からの 現実逃避と

いえそうな 「 自転車での遠征 」からは 悲哀を ひしひしと 感じるんですが、

 

「 中年の( 一時の )青春模様 」として 清々しい気持ちで 読めましたね。  ( 心は 少し 肌寒いけど… )

 

よくよく考えれば 妻子を捨ててるんですけど、

時代を超えた 「 解離性遁走 」と 考えれば、結構 腑に落ちるかも…?

 

( それはそれで 悲しいな… )

 

 

 

「 聖母子 」 筒井康隆

 

赤ん坊 用に 「 一匹だけ “白い布” で作られた 」、

“シンバルを持つ サル”の オモチャを買った

 

数週間後、が家に帰ると、妻子はいなくなっていた。

は 数日前、「 赤ん坊の右腕が “消える” 」場面に 出くわしたのを

思い出す……

 

という、「 “消える” 空間( 世界 )」 から 妻子を取り戻そうとするの焦燥感と 奮闘を 描いた 「 異世界 恐怖譚 」。

 

「 空間から 聞こえる 赤ん坊の 泣き声 や、サルの シンバル音 」

「 ゆらぎ、半透明に 見える 妻 」 など、

 

「 異世界( 異空間 )」らしい 「 恐怖 」が味わえる 作品 でしたね。

 

「 妻子救出 」の顛末も 衝撃的 なんですが、

 

最後の 「 男の 赤ん坊への “思い” 」や、

前半の 「 男の心情 」を 考えれば、「 イヤ~な 深読み 」ができ、

何とも 暗澹たる気持ちに なりましたよ…。

 

あの「 母子の姿 」を思えば 「 慈愛 」を感じさせる タイトルも 皮肉に

感じますね。

 

 

 

「 殉教 」 星新一

 

「 “死後の世界” と 通信できる機械 」を発明したが 人を集め

「 公開実験 」を催す。

は その機械で 亡き妻と 会話をするが……

 

 

「 科学と 宗教の敗北 ( 無意味 )」から 「 生きる意味とは 」を問う、

「 哲学的な 」内容の ブラック・コメディ。

 

淡々と 「 ○○ 」が 続いていく 展開・描写は ある意味 ヤバいんだけど、ちゃんと 「 生きる事 」に 繋がっているんで 無問題 ですよ。

 

まあ、個人的には 「 “人死に” が出まくる 」 楽しい作品としても 読んでましたけど…。

 

 

 

という事で、どの作品も 楽しめましたが 「 次元を駈ける恋 」

「 聖母子 」「 殉教 」は 好みの内容で 特に 面白かったですね。