今月の読書は…
ホラー・( 本格 )ミステリー
「 Another 2001 」 綾辻行人
ライト系・本格ミステリー
「 猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条 」 北山猛邦
本格ミステリー 中編集
「 そして名探偵は生まれた 」 歌野晶午
ライト系・本格ミステリー
「 溺れる犬は棒で叩け 」 汀こるもの
と、「 積読 」処理もあって、全て 「 ミステリー 」になってしまった…。
「 Another 2001 」 綾辻行人
ホラー( 特殊設定 )系・ミステリー 『 Another 』 と、
その「 番外編 」的な 『 Another エピソードS 』の続編。
『 Another 』は まあまあ 覚えていますが、イマイチだった
『 ~ エピソードS 』の方は ほとんど 覚えてませんね。
( 読んでいるうちに なんとなく 思い出しましたが )
ちなみに 『 Another 』は 「 アニメ 」&「 実写映画 」になってます。
( 「 映画 」の方は 観た )
ページ数が 「 800ページ弱 」と かなり多いんですが、
前作を 読んでいるからか、読み進め易かったです。
ですが、遅筆の筆者の 「 執筆の苦しみ 」も 感じられて(?)、
そっちの面で チョットしんどいところも あったかな。
「 夜見山 北中学 」の 三年三組には、過去の 三組生徒たち の
“ある行動” により、〈 もう1人のクラスメイト 〉が出現する 「 現象 」が起こる「 年 」があった。
その「 現象 」が 毎月もたらす
「 クラスメイトと その関係者の “死” 」( 災厄 )を 回避するため
現象がある年、 三組では ある対策を とっているが…
というのが 基本設定。
〈 もう1人の クラスメイト 〉の出現に合わせて
「 記憶、記録の 改ざんと 改変 」が 「 広範囲に及ぶ 」設定には
ちょっと 引っ掛かりを 覚えていたんですが、
途中から 著者の『 深泥丘奇談 』 ならぬ、「 夜見山奇談 」と 考える
ようにしたので そんなに 気にならなくなりました。
物語は 『 Another 』から 3年後( 2001年 )が舞台。
主人公は 三組の少年・想( そう )と、3年前 「 災厄 」を 生き残った
見崎鳴( みさき・めい )で、
「〈 もう1人の クラスメイト 〉は誰か 」というのが 「( 本格 )ミステリー 」要素になってます。
前半は 「 主人公 周りの 説明 」&「 災厄と その対策 」で 少々 退屈。
( まあ、“いろいろとある” んですけどね )
中盤頃から 「 災厄 」が起こり( 人が次々 死んでいって ) 盛り上がってくるんですが、
「 分かりやすい描写 」の おかげもあって、結構 「 推測&推理 通り 」の展開でした。
ですが 後半で 「 なぜ 」が 浮かんでくる展開に 突入。
そう、後半からが「 本番 」なんですよ。
「 気づいたところ 」も ありましたが、多くの「 情報( 伏線 )」は ほとんど まとめられないまま でしたね。
終盤は それら「 情報 」と 「 違和感 」の正体が わかり スッキリ。
あと、「 記憶の改ざん 」設定 からは “アンフェアな感じ” を 受けるかと
思いますが、
そこらへんも 上手い事 “フェア”に 持っていっていましたね。
中盤までは 少し危惧を抱いていましたが、
読み終わって 見れば 「 ホラー系・本格ミステリー 」として とても満足
できました。
なので 『 Another 』が 楽しめた人なら、本作も 楽しめそうですね。
「 猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条 」
北山猛邦
本格ミステリー。
「 猫柳十一弦 」( 「 探偵助手 」?)シリーズの 2作目。
古本で 『 1作目 』と一緒に 購入しましたが、ネットでの評判が
良くなくて、イマイチ読みたい気分に ならなかったんですよね。
ですが 長編だった『 Another 』の後に ちょうどいいかなと思い
読んでみました。
「 成人までに 結婚しなければ いけない 因習 」が残る 稲木村。
その村の 名家「 後鑑家 」( のちかがみ・)の四女、千莉( ちり )に
用意された「 結婚話 」を 阻止する計画に、
「 探偵助手 学部 」の学生、君橋君人( きみはし・きみと )と
月々守( つきづき・まもる )は 協力する事に。
“ある方法” により 解決したかと 思われたが、かつて 姉たちにも
届けられた 「 脅迫状 」と、後鑑家にあった 「 龍姫拷問 屏風 」 から、
2人のゼミ教官、猫柳十一弦は 殺人が起こると 推測する…
探偵・猫柳十一弦( ねこやなぎ・じゅういちげん 女性 )は、
「 事件を 事前に防ぐため 」に 推理・行動 するという、
ちょっぴり「 アンチ本格 」漂う 探偵です。
「 共感性の高さ 」と 「 被害者を出したくない 」という 想い から来る
猫柳の「 苦悩 」が 少し辛く ( そして 面倒くさく )も あるんですが、
作品の雰囲気 としては 「 ライト寄り 」( 軽め )。
「 人物の掛け合い 」も楽しく 読みやすいです。
「 ミステリー 」の内容 としては 「 四姉妹 “屏風見立て” 殺人 」を
「 隠密裏に 防ぐ」というもの。
「 トリック 」自体は 「 面白い仕掛け 」は あったものの 少々強引で、
「 本格度 」としても 低いんですが、
「 事件を 事前に 防ぐ 」という設定を 考えれば 個人的に 納得は
できました。
という事で 予想より「 ミステリー 」として 楽しく 読めていたんですが、
「 真相 」も チョット無理があるんですよね。
せめて 「 捻った 」展開があれば よかったんだけど…。
( いろいろ推測したけど、結局 “そのまま”な 感じでした )
まあ、「 本格 」としては 弱かったけど、「 ライト・ミステリー 」としては
普通に 楽しめたかな。