嘆息の母 VS アメリカ娘 「 サスペリア 」(1977年) | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

「 サスペリア 」(伊・1977)

 

ダリオ・アルジェント監督の 「 魔女・ホラー 」 で、

 

脚本は アルジェントダリア・ニコロディ

 

いろいろ省略。 ( オチ にも 触れてます )

 

今さらな感じだけど、一応 「 ホラー・ブログ 」なんで…。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  タイトル。  

 

ド・クインシー『 Suspiria de Profundis 』(『 深き淵よりの嘆息 』)からで、意味は ラテン語由来で「 嘆息 」〕

 

 

 

初見時は 有名作品って事で ハードルを上げ過ぎてしまい、

魔女が あっけなかった 」ってのもあり、感想としては “まあまあ”※

 

2、3回目の鑑賞も “普通” と、そんなに 変わらず。

 

 

〔 ※ 感想 “まあまあ”

ミステリー好きなので 『 ~PART2 』(75年)とかの方が面白かった。

 

というか 『 サスペリア 』 と、

「 ED曲 」以外は “ダメダメだった” 『 インフェルノ 』(80年) 以外は

概ね 楽しめたんですよね。

 

その 『 インフェルノ 』は、観るたびに 少しづつ 楽しさ( 可笑しさ )が

わかってきて、今は 好きな作品です 〕

 

 

“4回目” の 今回は、

『 リメイク版 』を 観る前に 一応… 」って事で 「 復習 」鑑賞。

 

そんな 鑑賞でしたが 自分でも ビックリ、かなり 楽しく 観れました。

 

その要因は 「 デジタル画質 」だったから。

 

今までの

ボヤっとした 「 アナログ画質 」( これはこれで 「 味 」があるが ) から、

 

“クッキリ、微細で 鮮やか” な 「 デジタル画質 」に変わった事で

 

「 特異な映像 」( 美術・意匠、 色彩表現、 残酷描写 )が 今までよりも

刺激的、魅惑的に 感じたし、

 

「 怪しげな空気 」も 強く 伝わってきたんですよね。

 

さらに 「 シャープな映像 」「 ゴブリンの音楽 」も ぴったり合致し、

その事で “心地良さ”“気持ち良さ” も 感じられました。

 

 

ここから 「 画像 」。

 

( 見慣れたヤツ ばっかりなので 「 本 」に書いてあった 「 小ネタ 」を

書いときます )

 

 

〔 『 サスペリア 』

冒頭の 空港に貼られた 「 Black Forest 」のポスター ( 左側 ) 〕

 

「 ブラック・フォレスト 」( シュヴァルツヴァルト “黒い森” )は

ドイツの 森林地帯( 観光名所 )。

 

( 戦車アニメ 『 ガールズ&パンツァー 』、「 黒森峰学園 」の 元ネタ

らしい )

 

なんか 不気味だけど 「 観光ポスター 」なんですね。

 

あと、初っ端から 「 赤 」かったな。

 

 

〔 『 サスペリア 』  空港の出口に向かう スージー

 

スージージェシカ・ハーパー )を 見つめる 左の女性

ダリア・ニコロディ

 

脚本を書いた ダリア「 スージーを自演するつもりだった 」事を思うと、 この「 ダリアの視線 ( 睨み?)」が 意味深に見える。

 

その ダリア・ニコロディ は 去年 亡くなってしまいましたね…。

 

 

〔 『 サスペリア 』  タクシー場面 〕

 

たびたび出て来る 後ろの 白服の男は 警官。

 

この頃は「  ドイツ赤軍 」( バーダーマインホフ )による テロが

起こっており、その警戒のため。

 

『 リメイク版 』では 「 ドイツ赤軍 」が 重要な要素でした。

 

 

〔 『 サスペリア 』  タクシー内、映り込んだ 顔( 左下 )。

有名ですが 一応 〕

 

 

〔 『 サスペリア 』  “鎌を持つ手” の影( 木の後ろには タクシー ) 〕

 

「 林を走る タクシー 」に 重なるように 木に映る 「 “鎌を持つ手”の影 」は 禍々しく、「 惨劇の予兆 」を 覚えます。

 

『 リメイク版 』「 湾曲フック 」は、この「 鎌 」からの イメージ かな。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  フライブルクの 「 バレエ学園 」 入口 〕

 

外観は フライブルクの「 鯨屋敷 」が モデル。

( 主な ロケは ミュンヘン だけど )

 

 

〔 『 サスペリア 』

水たまりに 「 “逆さ”に映る 寮 」と、その水たまりに入った

女学生・パットの足 〕

 

 

この後「 寮 」で起こる 「 パットの惨殺 」を 考えれば、

 

この「 水たまり 」( 鏡、 “逆さ”の寮 )が「 異世界 」への「 入り口 」の

ようにも 感じます。

 

あと、「 元々は 子供が 主人公だった 」※事を 考えれば

「 鏡 」から 『 鏡の国のアリス』なんかも 想起しますね。

 

 〔 ※ 子供が主人公

製作者( ダリオ父 )、映画会社が 猛反対したため、成人に 引き上げた。

ドアノブが 高い位置にあるのは その名残。

 

子供が 主人公だったなら 「 暗黒童話・ホラー 」になっていた?〕

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  「 寮 」の内部。

 

上画像の「 階段 」は どっちが “本物”か わからない。

この学園では 「 真実 」は 隠されているのだ 〕

 

 

「 美術 」は ユダヤ人の ジュゼッペ・バッサン

 

彼は 『 ~ PART2 』『 インフェルノ 』『 シャドー 』(82年)にも 参加してますね。  ( あと 『 人喰族 』(81年)なんかも… )

 

脚本の ダリア・ニコロディユダヤ系って事で、

装飾には 「 ユダヤ起源のシンボル 」が ちりばめられている らしい。

 

そんな ビジュアルを 「 映像 」として 見事に収めた 「 撮影監督 」は

ルチアーノ・トヴァリ。 ( 『 シャドー 』にも 参加 )

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  エレベーターの内部 〕

 

イスが見えるが、ヘレナ・マルコス用?( 伏線?)

 

 

〔 『 サスペリア 』  エッシャー 「 壁紙 」 〕

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  女学生・パットがいる部屋を覗く “謎の眼” と、

彼女を 襲う “毛むくじゃらの腕”

 

暗闇を模した 「 黒い布 」が見える。

 

記憶では もう少し 毛が多いと思ってたけど、意外と 少なかった…。

 

 

〔 『 サスペリア 』  「 パット殺害 」時の 殺人者の「 爪 」。

 

上の「 爪 」は 黒いが、下の「 爪 」は 装飾されている 〕

 

 

面白いのが 殺人者「 爪 」

 

最初は 「 普通の爪 」っぽいが( 監督かな? )、場面によっては

「 装飾された 爪 」「 黒い爪 」に なっているんですよ。

 

「 複数人 」って事?

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  パット 首吊り 〕

 

「 顔アップ 」に しようかと 思ったけど、「 ホラー映え 」しないので、

結局 定番に…。

 

 

〔 『 サスペリア 』

アップで映される、パットから したたり落ちて出来た「 血溜まり 」 〕

 

「 血溜まり 」の右側が 「 箒に乗った 魔女 」に 見える。

 

 

〔 『 サスペリア 』  「 とばっちりを受けた 学友 」 と、

その死体と 「 魔女 血溜まり 」が 一緒に 映された 不吉な「 カット 」 〕

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  名物、「 三角・フラッシュ 」 〕

 

何が光っているのか よくわからないけど、少年の「 笑み 」は不気味。

 

この「 フラッシュ 」は、アート系エロ・ホラー 『 煽情 』(09年)

オマージュ されていましたね。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  副校長・ブランク夫人スージー

 

ちなみに 副校長・ブランク役、ジョーン・ベネットが 主演の

『 扉の陰の秘密 』( 47年 フリッツ・ラング監督 は、

 

夫の「 入ってはならぬ( 秘密の )部屋 」を 巡る サスペンスで、
「 花 」も キー・アイテム になってます。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  盲目のピアニスト・ダニエルが 休んでいる 酒場 〕

 

ミュンヘンにある このビアホール、「 ホフブロイハウス 」 は、

 

1920年に 「 ナチス党大会 」が行われ

「 25カ条綱領 」反ユダヤ など )が承認された、いわくつきの場所。

 

( 「 WIKI 」によると 2000人の聴衆が 集まったらしい )

 

 

〔 『 サスペリア 』  ダニエルが通る 「 ケーニヒス広場 」 〕

 

この 「 ケーニヒス広場 」「 ナチス党本部 」として使用された

「 褐色館 」が隣接していた。

 

( 「 WIKI 」によると 「 褐色館 」は 連合軍の空襲により ほぼ全壊 )

 

ちなみに 左の建物が 「 古代美術博物館 」で、

右の建物が “大きな門” 「 プロピュライオン 」です。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  盲導犬に 首を噛まれる ダニエル

 

この前の場面では

建物の屋根に飾られた 「 鷲の像 」が映った後、“何か”が上空から

ダニエルに 向っていってました。

 

そもそもが「 鷲 」モチーフの 「 ドイツの国章 」ですが、ナチスでも

使われた事を 鑑みれば

ここは 「 障害者を虐殺していた ナチス 」の暗喩にも 思えます。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  名物?「 褌 」水着

 

この「 プール 」は ミュンヘンにある 市民プール 「 フォルクスバード 」

 

 

〔 『 サスペリア 』  身の危険を 察知し、部屋から逃げた サラ

 

後ろには「 眼 」だけが 浮かんでいる ( うっすら 人型が見えるけど )〕

 

 

これより前の場面、

「 教師の足音を 数えればいい 」事を知った サラ「 アリアドネ 」と 呟いているんですよね。

 

「 新盤BD 」では ちゃんと 字幕で 「 “アリアドネの糸” を辿るみたい 」に 変わっているようです。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  名物?「 ワイヤー部屋 」 〕

 

この後の 「 サラの 喉が 斬られる 」 クローズアップ場面では

白魚が 使われたみたい。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  急遽出演を 打診された ウド・キア

 

撮影場所は ミュンヘンの 「 BMW社ビル 」

『 ローラー・ボール 』(75年)の撮影でも 使われてます。

 

ちなみに ウド・キアサラ役の ステファニア・カッシーニ

『 処女の生血 』(74年)※で 共演。

 

 

〔 ※ 『 処女の生血 』

吸血鬼の悲哀を描いた 「 ホラー・コメディ 」 で、

監修は アンディ・ウォーホル

 

侯爵役で ヴィットリオ・デ・シーカ村人役で ロマン・ポランスキー

出てます 〕

 

 

ちなみに この後 話を聞く ミリウス教授役の ルドルフ・シュンドラー

『 エクソシスト 』(73年)の 使用人・カール役の人。

 

 

〔 『 サスペリア 』  外で光る 「 眼 」 〕

 

ここは 「 雰囲気たっぷり 」で 盛り上がったけど、

この後の 「 スージー 対 コウモリ 」は 「 凡戦 」だったな…。

 

逆に 見どころ ですけどね。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  応接間 1。 「 ドアノブの位置 」が高い 〕

 

「 ドア 」の模様は 遠近法を用いた様な デザイン。

 

「 ドアノブ 」の箇所も 「 小さいドア 」のように 見えるため、

“奥に続く”ように 感じますね。

 

この部屋にある 「 絵が描いてある 衝立 」

画家・ビアズリー『 サロメ 』オスカー・ワイルド )の挿絵。

 

サロメ「 踊りの褒美 」として 「 洗礼者・ヨハネの首 」を 所望

しましたが、

 

それを 思えば 「 ダンサー」スージー魔女「 首 」を刺していたのが 皮肉に 感じます。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  応接間 2 〕

 

多くの「 偽 」( 幻惑 )の「 入り口 」が描かれた 「 壁の絵 」。

 

その「 幻 」を打ち破るのは…

 

 

〔 『 サスペリア 』  鏡に映った 「 アイリスの花 」 〕

 

『 ~ PART2 』同様、「 真実を映す鏡 」主人公を 真相に 導く。

 

 

〔 『 サスペリア 』  鏡に映る タナー先生( アリダ・ヴァリ )。

彼女は 『 インフェルノ 』にも 出演 〕

 

 

「 真実を映す鏡 」といえば、

「 真っ赤な 壁紙 」“邪悪さ” を感じさせる( 「 サロメの衝立 」だし )、

この「 鏡に映る タナー先生 」の描写も ありましたね。

 

 

ちなみに アリダが 出演した 『 かくも長き不在 』(61年)

「 ナチス( の記憶 )」が テーマで、

 

『 暗殺のオペラ 』(70年)も 「 ファシズム( の記憶 )」の話でした。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  サラの死体 〕

 

目に刺さった「 針 」が 可笑しい。

 

「 手首の杭 」は 「 キリスト磔刑 」を 思わせます。

 

アルジェント「 キリスト教徒は ある意味 悪魔と同じ 」と 言っていたとか。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』 黒の女王( 嘆息の母 )ヘレナ・マルコスの寝室 1 〕

 

この「 孔雀 」は アルジェント監督作、

『 歓びの毒牙 』(70年 「 水晶の羽をもつ鳥 」※)からの 自作品ネタ。

 

あと、本作も 『 歓び~ 』同様に 「 鳥 」が致命傷になってるんだよね。

 

 

〔 ※「 水晶の~鳥 」、 『 わたしは目撃者 』(71年 「 九尾の猫 」 )

『 4匹の蠅 』(71年)と 合わせて 「 動物 三部作 」

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  ヘレナ・マルコスの寝室 2 〕

 

マルコスの声は ダリア・ニコロディ

 

「 J・ハーパーに  役を盗られた 」 ダリアを思えば このセリフも また、

意味深。

 

左の 「 三角の中の目 」

“神の目” を意味する キリスト教の意匠「 プロビデンスの目 」

 

本作は「 眼 」の描写が 多いんですが、

 

当時の「 社会( 東西ドイツ )情勢 」から 鑑みれば 「 監視の恐怖 」が 窺えそう。

 

『 リメイク版 』では 序盤、

書籍『 フリーメイソンの秘密 』が 映ってましたね。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  襲いかかって来る サラ

 

マルコスを倒すと 何故か消失する ゾンビ・サラ

 

 

〔 『 サスペリア 』  部屋が「 赤 」に 染まる、マルコスの最後 〕

 

今は 気にならないけど、前に観た時は

一発で しとめちゃうんで あっけなく 思えたんですよね。

 

マルコス役は 90歳の老婆、レラ・スヴァスタ という方のようで、

J・ハーパーによれば、監督が見つけてきた 元娼婦 らしいです。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』  苦しむ 学園関係者 & 燃える学園 〕

 

「 最初 」も 「 終わり 」も 「 雨 」だったけど、「 赤 」くもあるんですよね。

 

 

 

〔 『 サスペリア 』

ラスト、「 ヘビのように 舌を出す スージー 」と、「 オルガのセリフ 」。

 

「 マルコスの最後 」は 赤かったが、最後は スージーも 赤に 染まる 〕

 

 

オルガ

「 スネークの “S” で名前が始まる人は ヘビの化身 」 と言っていたし、

 

ミリウス教授

「 魔女の集会 」を “ヘビ” に、その「 ヘビの頭 」を “女王” に例えて

いました。

 

なので 「 スージーが 新・黒の女王 になった? 」とか、

「 体を 乗っ取られたのかも… 」と、「 不穏が漂う ラスト 」に なって

るんですよね。

 

今回は 「 ヘビの頭 」と、先の「 アリアドネの糸 」=「 ギリシャ神話 」

から、 “脅威の再生能力を持つ” 「 ヒュドラ 」も 想起されたので、

 

一層 強く 感じられましたよ。

 

でも、個人的には 「 人間の方が 魔女よりも 邪悪 」みたいな 解釈の方が 好きかな。


そもそも ヘレナ・マルコスって、人々によって 欧州から

追放( 迫害、抑圧 )された 「 弱い存在 」※で、「 魔女 」も 元々は

人間 だし。

 

〔 ※ 「 弱い者 」を 暴力的にさせたのは 誰か。

元ネタの 「 嘆きの母 」自体も、絶望により うなだれて、ため息つく

悲しい存在だった… ( 魔女ですらない ) 〕

 

あと、ダリアと 彼女の祖母の 影響で作られた 本作 だけど、

アルジェント監督自身は 「 オカルト否定派 」みたいだしね。

 

( 「 無神論者 」でもあるらしい )