J・ライトマン 初 監督作の 社会派コメディ 「 サンキュー・スモーキング 」 | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

「 サンキュー・スモーキング 」 (米・2005)

タバコ業界のロビイスト を描いた 社会派・ブラック・コメディ 作品 で、

ジェイソン・ライトマン 初監督作。

 

WOWOW と TSUTAYA の 「 発掘良品 」 コラボ。

 

 

ロビイスト映画と 言えば、『 女神の見えざる手 』(16年)が ありましたが、個人的には 今作。

 

もう一度 観たいと 思っていたんですよね。

 

 

主人公・ニック 役、アーロン・エッカート

ポリー 役、マリア・ベロ

ボビー 役、デヴィッド・ケックナー

 

息子・ジョーイ 役、キャメロン・ブライト

フィニスター上院議員 役、ウィリアム・H・メイシー

BR 役、J・K・シモンズ

 

業界の大物・キャプテン 役、ロバート・デュヴァル

エージェント・ジェフ 役、ロブ・ロウ

記者・ヘザー 役、ケイティ・ホームズ

 

 

と、結構 豪華な 俳優陣。

 

 

主人公・ニック は タバコ業界の ロビイスト集団、

「 タバコ研究アカデミー 」の 広報部長で スポークスマン。

 

序盤から 討論番組で ニック健康福祉省の役人 を指し、

「 予算が 増えるから ガンの子供の死を望んでる 」 と、

 

意地の悪い言葉 で “口撃” するという、ディベートの国 アメリカっぽい場面で 引き込まれますね。

 

 

ニック は “仕事内容を説明する” 学校の授業 でも 子供たちに

 

「 意見を鵜呑みにするな 」「 大事なのは自分で考えること 」

良い事を 言うんですが、

 

それらは レトリック詭弁 としても 作用するのが 興味深い。

 

でも、ニック と 息子・ジョーイの 模擬討論での 「 テーマのすり替え 」なんかは、最近よく 見るので ゲンナリ…。

 

 

ニック の上司、BR「 未成年者は 金脈 」 と、かなり

欲深い んですけど、

 

嫌タバコ派・フィニスター上院議員 も、

 

「 ガンの子供は 哀れでなくては・・・( 討論番組には )車イス や

喋れない ガンの子供を 連れてこい 」 と、こちらも まあまあ ヒドイ。

 

 

その フィニスター議員タバコへの心象を悪くする ため、

パッケージに 「 ドクロ・マーク 」 を載せようと 動いたり、

 

タバコ業界も 売り上げアップ のため、

映画で 俳優に タバコを吸わせようと、エージェント会社に 話を

持ち掛けたりと、「 イメージ戦 」 の展開が 楽しいですね。

 

でも、影響を 受けやすい 「 人の心 」 を思うと、複雑な気分に なるな~。

 

でも この作品、タバコの話( 映画 ) なのに 喫煙場面が無いんです。

( 実物のタバコも 出てこない? )

 

ニックが タバコを吸おうとする描写も あるのですが、中身が カラ で

吸えなかったりと、

 

今の 「 映画と喫煙 の関係 」 を揶揄したような、メタな ジョーク

なっているんですよ。 ( 多分 )

 

 

「 タバコ 」 ニック「 銃器業界 」ボビー「 酒業界 」ポリー の 3人の集まり、

「 モッズ特捜隊 」( “死の商人” )の 掛け合い も、

 

“対策”“年間の死者数” の話が シニカルで ブラックな 笑いで

楽しい。

 

あと、この 3人の友情も 結構 感動的?なんですよね。

 

 

後半、落ち込む ニックに 息子・ジョーイ

 

「 嫌われるのが仕事でしょ? 」「 パパは 情報操作の王 」

「 ロビイストはいつも正しい 」 と、

 

奮起を促す 場面も 皮肉まじり だけど 感動的で、

 

「( 元妻の恋人 )ブラッドは 父親じゃない。 父親はパパ 」 にも

少し グッと きます。 ( 実は 「 親子モノ 」 でもある )

 

ここで ( 多分 )重要なのが、息子父親をマネて、

言葉で 「 ニックの心を 動かした( 変えた )」 こと。

 

( “情報( 言葉 )を操る者” も また、操られるのだ )

 

良くも 悪くも ( 良い方にも 悪い方にも )人の心は 動かす事が出来る

んですね。

 

 

最後の 「 タバコの箱に ドクロ・マーク 」の意見を 聞く 公聴会で、

 

ニック が あえて 聴衆に 「 タバコが無害だと思う方はいますか 」

訊くことで

“行き過ぎた 過激な表現” が 浮き彫りになる ところも 上手いな。

 

( 一応 書いておくと、私は タバコは 吸いません。 肺気胸にも

罹ったし。 あと、警告パッケージ も 「 悪趣味好き 」 なので 無問題 )

 

結局、「 情報(操作)に 惑わされるず、自分で考えろ 」ってこと

だと 思いますが、

時に 情報は 恣意的 だし、人も 信じたいモノを 信じるからな…。

 

 

ニック 役の A・エッカート は、軽快な喋り と 詭弁が 圧巻で

ムカつくけど、気持ち良さも 感じるんですよね。

 

BR 役の J・K・シモンズ は 会社の利益優先な イヤな奴 を

いつもの演技(?)で 好演。

でも 終盤の ビックリ顔が 一番 面白かったな。

 

 

息子・ジョーイ 役の C・ブライト は、

父を尊敬する までの 心の変遷の 表現 が上手かったし、

母親を 議論で 打ち負かす場面は 名演でした。

 

 

「 モッズ特捜隊 」の ポリー 役の M・ベロ と、

ボビー 役の D・ケックナー は、

“深刻な話題を 軽く 扱う 非情な人間” を ユーモラスに 演じていて、

嫌なヤツら だけど 面白いんだな~。

 

 

フィニスター議員 役の W・H・メイシー は、

討論番組で やり込められた 福祉省の役人 を ネチネチ責める場面が最高。

 

記者・ヘザー 役の K・ホームズ は、

ちょいエロ で 狡猾( ズルい…)、最後は情けない という、

個人的には オイシイ役に思えて、かなり 良かったな~。

 

 

社会派な 内容ですが 軽快に 話は進むし、上映時間も 93分 と

短めで 観やすい 作品かな。

私は ブラックな 笑いが 好きなので かなり 楽しめましたね。