積層セラミックコンデンサMLCCという、わずか数ミリ角の小さな電子部品がある。

電子製品の内部にあるプリント配線板の上に多量に存在する、茶色く四角いチップ部品だ。

積層セラミックコンデンサMLCCは、電気を内部に蓄積したり、放出したりすることにより

電源電圧を平滑化させたり、ノイズを除去したりすることができるため、

ハイエンド製品では決して欠くことのできない「必須部品」なのである。



実は、このMLCCは、日本が世界に誇る「核心素材」である。

トップメーカーの村田製作所は、世界シェアが約4割に達し、年間1兆個のMLCCを生産

年間売上高は約2000億円を超えるという。


高性能のMLCCになると、厚さ1ミクロンの誘導体と電極の薄層シートを

1000枚以上重ねた構造となる。これは日本企業だけが実現可能な、精密技術だ。

MLCCには、大きく分けて、高性能MLCCと、一般用MLCCとがある。

実は、一般用MLCCであれば、サムスン系のSEMCO社でも生産が可能だ。

しかし、特に車載用の高性能MLCCとなると、製品を製造し、供給できるのは、

日本の村田製作所とTDKしかない。


2社で、世界市場占有率は、ほぼ100パーセントである。

村田製作所とTDKの車載用の高性能MLCCは、世界の自動車産業市場を、

完全に掌握していると言えるのだ。

車載用のMLCCは、自動車の動力伝達系の制御にとって非常に重要で、1台あたり、

従来車で600個、中級車で1000個、高級車では2000~3000個が使用されている。

更に、EV車、自動運転支援技術(ADAS)搭載車などの次世代自動車では、

電源制御ユニットの集積化が必須となるため、車載用のMLCCの必要数は

1万個以上に達するという。

このような現状から、今後10年で需要が10倍に拡大し、供給不足が常態化する見通しである 。

村田製作所とTDKの車載用MLCC無しに自動車を作ることはほぼ不可能と言えるだろう。

日本が輸出管理強化措置を実施し、韓国を「り地域」に格下げしたため、

MLCCは戦略物資転用可能品目に指定され、輸出審査が厳格化される事になります。

車載用MLCCの入手が遅延したり、供給が絶たれることになれば、

現代(ヒュンダイ)自動車などにとっては死活問題となるでしょう。

マイナスの経済効果は、莫大になると予想されます。

こうなると、日本の輸出管理における是正要求に、韓国はなぜ、誠実に対応しないのか

不思議でなりません。些細なプライドに拘るのは、無駄なだけでなく、より大きなものを

失うことになるのが、理解できないのでしょうか?