今回は簡略なシンポジウムの形式で行います。
研究会のメンバーにより出版された『パリ・オペラ座とグランド・オペラ』をテーマに、自由な発言をしていただき、様々な知見を深めて行きたいと考えております。本著を読んだ方も読んでいない方も、お気軽にお越しください。(森佳子)

参加ご希望の方は、以下にご連絡ください。

berlioz@gc4.so-net.ne.jp

日時:9月17日(土)20時より(Zoom開催)
タイトル:『パリ・オペラ座とグランド・オペラ』を読む
お話:和田恵里・佐藤英・永井玉藻(敬称略)

概要:


「フロマンタル・アレヴィ《ユダヤの女》とプルースト」
《ユダヤの女》はマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』において、主人公の祖父の反ユダヤ的言説と結び付けられ、また、オペラのヒロイン、ラシェルの名が小説の登場人物ラシェルと重ねられることで、小説の展開と深く関わっている。ユダヤ人の母を持つプルーストはこのオペラを引用することで、なにを暗示しようとしたのか。オペラと小説が響き合う点を明らかにしたい。(和田惠里)


今回は主にグランド・オペラがドイツ語圏の音楽文化にどのような影響を及ぼしていたか、という観点から、お話をしたいと思います。具体的には、ドイツ語圏の作曲家によるグランド・オペラ受容、ドイツ語圏の劇場における上演等がメインとなります。(佐藤英)


グランド・オペラにおけるバレエは、ジャンルの大きな特徴の一つであるが、本書でも指摘されているように、学術的な題材としてはおろか、今日のグランド・オペラ作品上演においても、バレエシーンが注目されることはほとんどない。今回のミニシンポでは、本書における第5章の内容概観とその位置付けについて確認を行い、また2019年にパリ・オペラ座で行われた企画展「グランド・オペラ」についても触れられたらと思う。(永井玉藻)


発表者プロフィール:

和田惠里 
青山学院大学教授(フランス文学).
« Proust et La Juive de Fromental Halévy : à propos des discours antisémites dans À la recherche du temps perdu », Marcel Proust 6, Minard, 2007 ; 「ユダヤ性というプリズムが映し出す世界——プルーストとユダヤ問題」, 『思想』, 岩波書店, 2013年 ; 「『失われた時を求めて』においてフランス・オペラが意味するところ」 in 『プルーストと芸術』吉川一義編, 水声社, 2022年.

佐藤英
日本大学法学部准教授。専門:近現代ドイツ語圏文化(音楽・文学)。
共編著:『キーワードで読むオペラ/音楽劇研究ハンドブック』(2017年、アルテスパブリッシング)、『オペラ/音楽劇研究の現在』(2021年、水声社)など。

永井玉藻
パリ第4大学博士課程修了、博士(音楽学)。専門は西洋音楽史(特に19~20世紀のフランス音楽、バレエ)。現在、慶應義塾大学、桐朋学園大学他非常勤講師。