近年、オペラ(ミュージカル等も含むオペラ/音楽劇)文化は日本の社会にもそれなりに根付き、オペラ愛好家も増加の一途をたどっているように思われます。ただ学術分野での研究に限れば、必ずしもそれにふさわしい進展をみせていないという現状があります。そもそも総合舞台メディアであるオペラを学術研究の対象に扱うこと自体に困難が伴ううえに、ヨーロッパ文化圏外で生まれ育った人間にとっては、さらに語学をはじめ多くの乗り越えるべき壁が待ち受けています。
 一方で最近、そうした状況に風穴を開けるべく、地味ながらも徐々にさまざまな努力が積み重ねられつつあるようにも思われます。そのことはたとえば、演劇学会の本体や西洋比較演劇研究会部門でここ数年来、オペラ/音楽劇をテーマに掲げたシンポジウムや研究発表が増加傾向にあることにもみられます。私たちもそうした上昇気流に乗り、オペラ研究のさらなる進展と多様化(将来的には「オペラ学」の確立)に貢献すべく、新たに「オペラ学研究会」を立ち上げることにしました。
 この研究会は、学術研究を基本に据えながら、オペラの実践現場との交流を深め、また研究成果を一般社会に還元していくことを目的とし、そのために研究者や学生にとどまらず、歌手をはじめ舞台制作の現場で活躍する人々や一般の愛好家にも開かれた、裾野の広い研究を目指していきたく思っています。(代表:森佳子)

 

オペラ学研究会 問い合わせ先

operagaku-kikaku@list.waseda.jp