虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑(情報センター) | ベルリン遊歩

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前回から引き続いて「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」について取り上げたいと思います。今回の内容はコンクリートの石碑の広場の地下にある「情報センター」について。地上の広場はユダヤ人に起きた悲劇を感覚的に伝えるものに対して、地下のセンターは多くの情報により具体的なことを伝えてくれます。

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地上の広場の端には地下へと続く階段があります。その先にある「情報センター」ではユダヤ人に降りかかった悲劇を理解するに十分な資料が用意されています。情報は残念ながら、英語とドイツ語の表示のみ。もちろん言葉での情報も重要ですが、写真や映像や音声で詳しく伝えてくれるため、言葉の問題で諦める必要ありません。

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展示室は幾つかあり、それぞれにテーマが与えられています。それらの部屋の前に、時系列でナチスによる大量虐殺の歴史を説明しているところから展示は始まります。多くの痛ましい写真の横に、大きく引き延ばされた6人の顔写真があります。これは600万人の犠牲者を象徴するものだそうです。(犠牲者の数は諸説あり)

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「次元の部屋」と題されたところには日記やメモ類が展示されています。暗闇の部屋の床に浮かぶのは、迫害に怯える当時の生活を伝えるものばかり。なかには最後のメッセージを伝えるものもあります。

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展示されているメッセージ

「お父さん! 私が死ぬ前に最後の挨拶を伝えます。何としても生きたいのですが、彼らはそれを認めず、私たちは死ぬでしょう。とても死を恐れています。なぜなら、小さな子供が生きたまま穴に投げ入れられるからです。永遠にさようなら。」

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こちらの部屋は「家族の部屋」。ヨーロッパに住んでいた15家族のユダヤ人家庭を取り上げています。家族の集合写真から家族の歴史をさかのぼり、家族がその後にどうなったのかを伝えるものです。この写真の家族は当時オーストリアに住んでいたTurteltaub家。奥さんに二人の子供の4人家族は1944年にアウシュヴィッツの強制収容所に送られ、いずれもそこで亡くなっています。

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展示の中で特に印象的だったのは「名前の部屋」。暗闇の中に名前が映し出されています。これは行方不明者も含めた犠牲者のユダヤ人の名前を映し、短い略歴をナレーションで伝えるもの。犠牲者を一人づつ取り上げているため、実際に誰が亡くなり、どのような人物だったかを実感することが出来ます。どれだけの人生が戦争や迫害によって失われてしまったかを再確認させられる場所でした。

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迫害や大量虐殺で失われた多くの人々の命を、現実のものとして感じることは決して簡単ではありません。犠牲者の数を理解出来ても、その一人一人に家族があり、生活があり、人生があったことを想像するのは、とても難しいことでしょう。この「情報センター」は、まさに失われてしまった多くの生活や人生に気付かせるものとなっています。簡単に近付き難いテーマではありますが、ユダヤ人の迫害を理解するために是非とも訪れてほしい場所です。

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虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑(Denkmal für die ermordeten Juden Europas)
住所: Cora-Berliner-Straße 1, 10117 Berlin
開館時間(情報センター):
4-9月   /火-日/10-20時(最終入場19:15)
10月-3月  /火-日/10-19時 (最終入場18:15)
閉館日: 月曜日/1月1日、12月24~26日
入場料: 無料
ホームページ (英語 ): http://www.stiftung-denkmal.de/en/memorials/the-memorial-to-the-murdered-jews-of-europe/information-centre.html#c1670
パンフレット(日本語/PDFファイル):
http://www.stiftung-denkmal.de/fileadmin/user_upload/projekte/oeffentlichkeitsarbeit/pdf/Faltblaetter/StiftDenk_Holo_JAP_2013_Web.pdf
最寄り駅: 地下鉄(U55) Brandenburger Tor駅、Sバーン(S1、S2、S25)Brandenburger Tor駅



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