本年もよろしくお願いいたします。
新しい年の門出を祝うため、1月1日にベルリン州立歌劇場でベートーベン、交響曲
第9番を鑑賞してきました。
年始にかけて多くの都市、会場で聴くことができます。
今回のコンサートはベルリン州立歌劇場のオーケストラStaatskapelle演奏、Daniel Barenboim指揮、
ソリストには同歌劇場所属のソプラノAnna Samuil、メゾソプラノはAnna Lapkovskaja、テノールは
Johan Botha、そしてバスバリトンはやはり同歌劇場の看板歌手René Papeが歌うはずが…急病で
今年所属になったばかりのTobias Schabelが代理を急遽務めたというメンバーで行なわれました。
Pape氏は前日、同コンサートでとてもすばらしい歌声を披露したと新聞に批評が載せられていた
ほどだったのですが。
観客の失望は大きく、彼が出ないことが発表されるとどよめきのようなざわつきが長く響き渡りました。
急に歌うことになったSchnabel氏は緊張でたまらなかったのではと思います。なにせ、かの有名な
「歓喜の歌」(原題:An die Freude、シラー作詞)の第一声がバスバリトンなのですから。
さて演奏はというと、いつもとは違ってオーケストラが観客より高い位置にあるため、会場の
シラー劇場のとてもよい音響設備が実感できるものでした。Barenboim氏の指揮は以前に見た時と
同じように第3楽章がとてもスローペースで、ここで心地よく眠気に誘われる方も多いのではと思う
テンポなのですが、この指揮が楽器の一つ一つの音を際立たせていてトランペット、オーボエ、
打楽器などの普段は何気なく聴いてしまうような音がしっかりと耳に届いてきました。一つ一つの楽器と
団員が一つになってこそ交響曲が存在するのだとよくわかる演奏で、第4楽章の力強い始まりが
このテンポを変えたと思いきや再び強弱を大きくつける指揮で、急速にスピードを上げるあたりでは
若干調和が乱れたような場面がいくつかありました。しかし、それでこそ人間がこのすばらしい音楽を
奏でているのだと実感できる場面でもあるのだと思いました。
第4楽章の合唱はもう、言うことなしのインパクトで終盤に向かい徐々に気持ちも高揚して行きます。
ドイツでシラー劇場と名前のついた場所で「歓喜の歌」を聴けるのですから、興奮しないわけが
ありません。ものすごいスピードでフィニッシュした直後に沸き起こった拍手の嵐とその後に始まった
すばらしい公演に対して贈られる観客が一団となった手拍子。これが本場のベートーベンの第九です。
日本人の観客も数多く見かけました。
こんな喜びにあふれるコンサートを皆さんもベルリンでご覧になりませんか。
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カーン

