この銀河系は、100億年前の「大衝突」によって発生した: 2つの論文から明らかに
銀河系の歴史を解明できる可能性を秘めた事象が、 論文で発表され、話題になっている。
銀河系が、 およそ 、 百億年前に、 別の小型銀河との大規模な衝突に見舞われた証拠と見られるものだ。
ガイア宇宙望遠鏡の観測結果に基づくもので、 高解像度で、 多次元の「銀河系地図」を作成する、 などして、 太古に生まれた銀河の内側を解き明かそうとしている。
TEXT BY RAMIN SKIBBA
TRANSLATION BY MINORU KAWAHARA/GALILEO

ネパール東部にあるアマ・ダブラム山の上空に浮かぶ天の川銀河(銀河系)。PHOTO: WEERAKARN SATITNIRAMAI/GETTY IMAGES
銀河系(天の川銀河、太陽系が属する銀河)は、 成長・形成の過程にあった、 およそ、 百億年前に、 別の小型銀河との大規模な衝突に見舞われた、 と考えられている。
この宇宙的な大異変は、銀河系の構造を恒久的に変化させた。 銀河系中心核にある、超大質量な、 ブラックホールから、 旋回しながら、 外へ伸びる、 複数の分厚い、 “ 渦巻き腕ら ” 、 を形成したのだ。
最近に、発表された、 2件の論文ら ( 1件は、 6月に発表、 もう1件は、まだ、 査読審査中 )、 では、 この衝突への証拠と見られる事象が、とりあげられている。 これまでには、 解明されていなかったものだ。
「 これは、大きな前進です 」 、 と述べるのは、 今回の研究には参加していない、 ウィスコンシン大学の、 天体物理学者な、 エレナ・ドンギア女史だ。 「 今回の研究が興味深い理由は、 銀河系の歴史の詳細をついに解明できるからです 」 。
衝突の痕跡を探る天文学者たちは、 銀河への考古学者のような姿勢で、研究に取り組む必要がある。 衝突の発生から、非常に長い年月を経ているからだ。
現在にまで残る情報らの色々な発生源らを慎重に取捨選択して、入手可能な証拠と一致するストーリーを組み立てなければならない。
衝突によって宇宙にまき散らされた星々
論文を発表した、 2つの研究チームは、どちらも、 欧州宇宙機関 ( ESA ) 、 の、 宇宙望遠鏡な、 「 ガイア Gaia ≒ 大地 」 、 の観測データを利用した。
ガイア宇宙望遠鏡は、 これまでに、 膨大な数の恒星の性質に関する、極めて多様なデータらを集めてきた。
恒星の位置や運動に関する、データらだけでなく、恒星の多くについては、 輝度や温度、に、 年齢、や、組成、 などの、 データらも収集している。
両チームとも、 基本的には、 解像度が高く、 多次元の銀河系地図を作成し、 これを、特殊な古い恒星を見つけるために利用した。
その恒星とは、太古に起きた衝突から、合体に至る記憶を保持する、と、みられるものだ。
コロンビア大学の天体物理学者な、キャスリン・ジョンストン女史は、 「 ガイアの観測結果のおかげで、これまでは、 銀河の中に在る事は、 解っていたものの、確認できなかったものを見られるようになりました 」 、 と述べる。
大規模衝突を示唆する手がかりは、これまでにも見つかっていたが、 どれも、決定的な証拠を示すものではなかった。
特異な恒星が、 明確に区別できる、 一つのまとまりで存在しているのなら、 それらが、 別のどこかからやってきた、「侵入者」である証拠、 と考えられる。
しかし、 そのような証拠は、存在しない。
太古の衝突により、 銀河の構造が激変した結果にて、 手がかりとなる星々が、銀河系の全体にまき散らされたらしい。
「 衝突の残骸は、いたる所にあります。 地球は、 現在は、 基本的に、その残骸に取り囲まれているのです 」 、 と語るのは、ケンブリッジ大学の天文学者な、ヴァシリー・ベロクロフ氏だ。 同氏は、 『英国王立天文学会月報』のオンライン版に、 6月2日付けで論文を発表した、 研究チームを率いていた。
「金属」の存在量比が銀河の歴史の手がかりとなる
ベロクロフの研究チームは、 多数の恒星らを発見した。 それらは、 銀河系の回転とともに移動しているわけではなく、 銀河系の中心から周辺部に至る、 「半径」上を移動しており、 中心に近づいたり、遠ざかったりしている。
また、これらの恒星らは、 金属が豊富だ。
ここでいう、 金属とは、 天文学者によれば、 「 水素、 ヘリウム、 リチウムより重い、 元素 」 、らを指す。
金属量が多い恒星らは、 星の世代交代が、 より、 多く重ねられた後に形成された、 可能性が、高い。
これらは、 銀河系に衝突した、 太古の銀河の末裔の星々であり、 それらの軌道は、 いまだに、宇宙をかき乱した太古の銀河の、ほかとは違う軌道を反映している、 という。
「 池に、 小石を投げ入れると、 しばらくの間は、 さざ波が立ち続けます。 同様に、 銀河系の円盤が揺さぶられると、 それが、 数十億年前の事であっても、反応が静まるのに、しばらく時間を要する可能性があるのです 」 、 と、 コロンビア大学のジョンストン氏は説明する。
ベロクロフのチームは、 色々な衝突筋書きらを、 モデル化した。
大規模衝突が起きずに、 平穏だった可能性に基づいた歴史なども検討した。 その結果にて、 今日に観測されるような、多数の星々は、 小型の、 「 矮小 銀河 」 、 の衝突によって生じた可能性がある、ことが、わかった。
オランダ・フローニンゲン大学の天文学者な、 アミナ・ヘルミ氏が率いる、 もう一つの研究チームは、 星々の化学的性質を、より詳細に分析した。
この研究は、 ガイア宇宙望遠鏡から得た、 より、新しくて、大規模な、データ群に基づいたものだ。
超新星爆発で生成される、 鉄 Fe 、 と、 大質量で、 短命な恒星によって生成される、 マグネシウム Mg ≒ 筋肉をゆるめる働きや、 インスリンが、 細胞たちの各々へ、 血の糖を送り届けてやる時々に、 細胞の中に、 在って、 その血の糖を、 細胞の中へと、 引き入れる働きをする、 マグネシウム Mg 、 を、 不足させる事は、 突然死を招く、 原因にも成る 、 などの、 元素との存在量比は、 今日までにいたる銀河の歴史に関する手がかりをもたらす。
ヘルミ氏と研究チームは、 このデータを用いて、銀河系の内部には、 太古の銀河衝突の残骸に関する、手がかりが含まれている、との結論を下した。
チームは、銀河系に衝突してきた、この古代銀河を、「ガイア・エンケラドス」、と命名した。
銀河系を構成する2つの「渦巻き円盤」
銀河衝突に関する、今回の論文は、 銀河系の構造に関する、長年の疑問を解決する一助になるかもしれない。 銀河系の星々で構成される、 「 渦巻き円盤 」 、 は、 実際には、 2つの領域らからなる。
星たちが密集した、 “薄い領域”を、 星たちが散在する、 “厚い領域”が包み込んでいるのだ。この厚い円盤が、 どのようにして、生じたかについては、 まだ、よく、わかっていない。
これらの星々は、 おそらく、 別の銀河に由来するものか、あるいは、もともとは、 薄い円盤由来の恒星で、 互いの相互作用によって、 徐々に、外側に移動してきた可能性がある。
ベロクロフとヘルミ氏の両チームによる研究は、 ガイア・エンケラドスの衝突が、薄い円盤の星々を、 厚い円盤の中に、 はじき出した、 という説を示唆するものだ。
「 このような衝突が、 初期の銀河系に起きたとすると、 この衝突は、 恒星で形成される、 円盤を損ない、 破壊します。 そして、かなり離れた領域にまで、 恒星をはじき飛ばすでしょう 」 、 と、 ベロクロフ氏は述べる。
コロンビア大学のジョンストン氏は言う。
「 衝突の衝撃が、 それだけで、 どれほどに、 重大だったかについては、わかりませんが、 ( 厚い領域を形成した可能性のある ) 、 原因らの一つは、 今回の研究で、突き止められました。 本当に興味深い事は、 円盤内を入念に調査し、衝突の痕跡をたどり、 残響として、 いまだに続いている、 直接的な影響性らを、 さらに多く発見できるかどうかについて、確かめることです 」 。