このことについては、 私のブログでも、 数年前に、 指摘しておりますが、 そこでは、 妊婦さんと、 「 妊娠脂肪肝 ( Acute fatty liver of pregnancy : AFLP 」 、 の存在については、 考慮していなかったので、 記事として、 上げさせていただきました。
妊娠中、普通に糖質(60%)を食べさせると危険な人も
私の記事をずっと読んでくださっている方の中には、 逆に、 妊娠中に、 糖質を、 日本人の平均摂取量である、
55 ~ 60 % 、を、 食べさせると、 体調を壊す、
場合によっては、 母子ともに、 危険な状況 ( 高アンモニア血症 ) 、 に陥る可能性の方々が、 いらっしゃることにも、 思い当たると思います。
これは、「 シトリン欠損症 」 という、 糖質代謝に問題が起こる体質の方々です。
日本人では、 ホモ変異の方は、
1万7千人に、 1人の割合で発生しますので、 ヘテロ変異の方は、
65人に、 1人は、 いらっしゃることになります。
シトリン欠損症の、ヘテロ変異の方も、 無症状の保因者であると思われます。
この方々は、 普通の生活では、 何の問題も起きません。
ホモ変異の方々は、 肉や、豆を好み、 米や砂糖、 などの、 糖質を回避する、 偏食傾向が明らかですが、
ヘテロ変異の方々の偏食の傾向は、 特に報告されていません。
しかし、 ヘテロ変異の方の妊娠中にも、 やはり、 赤ちゃんと胎盤の分の、 栄養ら、への、代謝の負荷が増大しますので、 そのような時に、 糖質を沢山を食べさせるのは、良いことではないと思われます。
また、 赤ちゃんが、 ホモ変異であった場合、 糖質の負荷は、大変に危険です。
現代の医学や栄養学では、 妊娠中に、 カロリーへの摂取量を上げるように、
それも、 60 % 、程度か、 それ以上の、 カロリーは、 炭水化物から摂るように指導されてしまいます。
これは、 65人に、 1人の、妊婦さんにとっては、 危険な栄養指導になる可能性がある、 という訳です ( 理論上です )。
もしも、 あなたが、 糖質制限、あるいは、 低糖質の食事の方が、 好きで、 妊娠中の栄養指導で、 白米を山盛りで食べさせられて、体調が悪くなったのであれば、 糖質を代謝する機能が、 低い体質である、可能性があります。
自己防衛のために、 そのような、 糖質が過多の食事は、断るべきだと思いますし、 医療側も、 この可能性を考慮した上で、 個別に、栄養指導をするべきである、 と、 私は思います。
「 お腹の赤ちゃんのために、 山盛りの白米のどんぶりご飯を食え 」 、 と強制することは、あってはなりません。
つわりは重い人も軽い人も……なぜ違う?
妊娠のたびごとに、 重い、 つわり ( 妊娠悪阻 ) 、 に苦しむ人もいれば、 妊娠のたびごとに、 つわりが、重かったり、 軽かったり、 極端に変わる人もいます。
また、 何度を妊娠しても、つわりに、 まったく、無縁の人もいます。
私も、かつては、 産婦人科専門医でしたから、 これらの現象は知っているものの、 「 なぜ、そうなるか? 」 、 の説明は、 できないままでいました。
つわりへの原因が、 妊婦さんの脂肪酸代謝経路の酵素遺伝子のヘテロ変異の有無に影響されるのであれば、 人によって、 また、 妊娠のたびごとに、 つわりの症状に、強弱があることは、説明がつきます。
遺伝子変異がある人は、 つわり症状が、強くなる、と思われます。
お腹の赤ちゃんに、遺伝子変異がないか、ヘテロ変異があるか、ホモ変異があるか、あるいは、 複数の酵素らでの、 ヘテロ変異重複 ( 父から、 別の脂質代謝酵素の、ヘテロ変異を受け継いだ場合 ) 、 があるか、 などの、
胎児・胎盤要因も、 母親の肝機能への負担に関わり、 つわりの重さに影響する可能性があります。
そう考えると、 妊娠のたびごとに、 様々な、つわりの症状がある、というのも、 納得できるように思えます。
逆に言えば、 私が、 ここで、 以前に、 仮説として提示した、「妊娠悪阻・つわりとは、 妊娠中に、 胎児・胎盤系の、 脂肪酸への代謝が、 エネルギー代謝が、 主体になることで発生する、 一時的な症状ではないか?」、という考え方も、確からしい、 ということになります。
以上、既存の知識と、それを基にした仮説の上の話です、たいへんに、わかりにくかったかもしれません。
しかし、 「 妊娠中に、 いきなり厳しい糖質制限をする事は、危険かもしれない 」、それと同時に、 「 妊娠中に、 糖質摂取量をいきなり増やすことも、危険かもしれない 」 、 ということのみ、 認識していただけたらと思います。
( 文=吉田尚弘 医師 )