褐色脂肪による、 熱の産生は、
筋肉の震え ( シヴァリング ) 、 と並ぶ、
体温への調節の、主な方法だ。
ところが、 『 Nature 』 誌に、 新しく発表された研究によると、
コハク酸塩を利用した、 もう一つの方法が、 発見された、 という。
発見したのは、 米ハーヴァード大学
医学大学院の、細胞生物学助教授で、 ボストンにある、 ダナ・ファーバー癌研究所の癌生物学助教授である、 エドワード・シュシャーニ氏が率いる研究チームだ。
「 これらな、細胞たちがもつ、 治療での効果を活性化させる方法は、 驚くほど、 手軽で、 扱いやすいものです 」 、 と、 シュシャーニ氏は説明している。
鍵を握る活性酸素の存在
コハク酸塩 、 とは、
褐色脂肪に見られるような、 ミトコンドリア内で、 産生されるもので、
トリカルボン酸回路、 との、 中間生成物だ。
トリカルボン酸回路は、 「 TCA サイクル 」、 「 クエン酸回路 」、 「 クレブス回路 」 、 とも呼ばれ、
細胞に、 化学エネルギーを生み出す、 反応を意味する。
自動車や電子機器に用いる、 ポリマーの生成などの、 工業分野で用いられている。
ほかにも、 食品の人工調味料や、 pH 調整剤 、 に利用されることもある。
「 この分子の面白いところは、 その手軽さにあります 」 、と、 シュシャーニ氏は言う。
「 サイズが、 とても小さく、 少額で、 すぐに入手できて、非常に、安上がりなんです 」 。
シュシャーニの研究チームは、
熱産生の間に、 どのような、 代謝物質、が、 褐色脂肪細胞のなかに、 現れるかを、 マウスを使って分析した。
TCA サイクル 、 で生成される、 さまざまな化学物質ら、 などが、 これに当たる。
その結果にて、 細胞内には、 特に、
低温の環境下で、
多くの、 コハク酸塩、 が、 見られる、 ことが、 わかった。
加えて、 体内を流れる、 血液から、 コハク酸塩分子、を、さらに集める、という、 驚きの能力があることも発見した。
さらに、細胞は、 コハク酸塩を利用して、 電子強盗を働く、 活性酸素、な、 分子 ( ROS ) 、 を代謝・産生する、 ことも、できる。
これは、 本来なら、 奇妙なことだ。
通常は、 活性酸素のような、 電子強盗な、 「 フリーラジカル ( 遊離基 」 、 は、 細胞損傷を引き起こす、 原因であり、 証拠だ、と、 考えられている。
しかし、 実際には、
電子強盗な、 活性酸素、が、 この反応の、 カギ 、 を握っている。
熱産生反応の間に、
活性酸素分子が存在する、 という、
思いがけない発見が、 シュシャーニの研究チームの新発見に導いたのだ。
要するに、 今回の研究が提示する核心な事は、 褐色脂肪細胞における、
熱産生の活性化について、新たな発見があった、 ということだ。
「 細胞に、 スイッチを入れるための、
いわゆる、 標準的なメカニズムと、
今回に発見した、 メカニズムとは、 完全に、 別物です。
つまり、 細胞に手を加える際に、 われわれが考える、 通常の方法は、 この分子には、 全く、 作用しない、 ということです 」 、 と、 シュシャーニ氏は説明する。
また、論文では、 コハク酸塩をさらに増やせば、 この反応を促進できる、と、 述べている。
ところが、 シュシャーニの研究チームは、 当初は、 あまり気乗りしなかった、 という。
「 一般的に、 コハク酸塩は、 TCA サイクル、 への導入には、 望ましい分子だ、 とは、 見なされていません。
その理由は、どんな関連性があるか、 が、 まだ、 不明瞭だからです。
しかし、 われわれの最初の発見のおかげで、ここまでたどり着くことができました 」 。
肥満や糖尿病予防に役立つ可能性も
研究の次の段階として、 この仮説を検証する、 マウスを使った実験が行われた。
マウスには、 カロリーの、 60 パーセントが、 脂肪分、 という、 高脂肪質の餌と、 コハク酸ナトリウム 、 を含んだ、 飲み水が、 与えられた。
この結果について、 論文には、
「 強濃度に依存した抑制と、4週間にわたる高脂肪食による、 体重増加の反転 」 、 と、 示されている。
別の言い方をすれば、 シュシャーニ氏が指摘するように、 コハク酸塩 、 は、
「 脂肪の大幅な減少、 ならびに、
肥満や糖尿病指数の上昇を防ぐ、 という点において、 目覚ましい効果があった 」 、 という。