「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」 津川氏への反論。

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津川友介氏は、
「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」東洋経済新報社 (2018/4/13)
の著者でカリフォルニア大学ロサンゼルス校助教授です。
著書やマスコミの記事をみると、津川氏は
「茶色い炭水化物(全粒粉や玄米)」は健康に良くて、
「白い炭水化物(白米や白いパン)」は健康に良くないと断定しておられます。

実は、いまでこそ、「糖質制限食」のパイオニアとして有名な高雄病院ですが
もともとは、「玄米魚菜食」を推奨していました。
こちらは1984年からですが、病院給食として玄米を提供したのは、
高雄病院が日本初だったと思います。
ちなみにやはり日本で初めて病院で「糖質制限食」を導入したのが1999年ですから、
玄米魚菜食のほうがはるかに早いですね。

ですから、津川友介氏の推奨する「茶色い炭水化物」については
1984年から現在まで34年間、高雄病院給食メニューにあるわけで、
その効能については、勿論理解しています。
従って、津川氏の見解には、ある程度は賛成なのですが、
無根拠な糖質制限食批判にはきっちり反論します。

まずは、私自身が、玄米魚菜食を34歳(1984年)から続けていて
52歳(2002年)で糖尿病を発症したことを、お伝えしておきます。
この事実は、エビデンスとは言えませんが、あまり嬉しい事実ではありません。
一つ言えることは、玄米魚菜食を18年間続けていた江部康二は
晴れて?52歳にして糖尿人になったということですね。
つまり少なくとも私に関しては、
玄米食(茶色い炭水化物)に糖尿病発症予防効果はなかったのです。

そして、ここからが、本番ですが、
「糖尿病を発症した人においては
玄米を一人前だろうが白米を一人前だろうが、所詮は食後血糖値のピークは
200mg/dlを超えてくるので、糖尿病合併症を予防することは困難」
なのです。
例えば、私は炊いた玄米を茶碗1杯食べると
ピークの血糖値は220mg/dlで、白米だと240mg/dlです。
差はありますが、糖尿病合併症予防の観点からは無意味です。
国際糖尿病連合は、合併症やがん予防のためには食後1時間か2時間血糖値が
160mg/dl未満であることを推奨しています。

次に、津川氏は
「茶色い炭水化物(全粒粉や玄米)」は健康に良くて、
「白い炭水化物(白米や白いパン)」は健康に良くないと断定しておられます。

しかし、津川氏に根本的に欠落しているのが
「高インスリン血症」「食後高血糖」の概念です。
「高インスリン血症」と「食後高血糖」は、活性酸素を発生させます。

「高インスリン血症」と「食後高血糖」が、
発ガンリスクや肥満・メタボなど様々な生活習慣病リスクとなることには
国際糖尿病連合・2007年「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
国際糖尿病連合・2011年「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
など多くのエビデンスがあります。
国際糖尿病連合によれば、上述のように食後血糖値は、
160mg/dl未満が目標です。

そして、『食後、直接、血糖値の上昇を生じるのは
糖質摂取時だけ』
であり、脂質・蛋白質では生じません。
これは、エビデンス以前の生理学的事実です。

糖尿人が白米を1人前摂取したときに生じる「食後高血糖」
玄米を1人前摂取した時にも必ず生じます。
つまり「健康なイメージのある玄米も糖尿人には、危険な食材」ということです。

全粒粉のパンも同様です。
糖尿人が食べれば、「白い炭水化物」も「茶色い炭水化物」も、
共に必ず「食後高血糖」を生じるというのは「生理学的事実」ですので
論争の余地はありません。

また、耐糖能が正常でインスリン分泌能力が充分ある人が
穀物を摂取すれば、精製されていようと未精製であろうと必ず、
インスリンが大量に追加分泌されるので、「酸化ストレス」となり
発ガンリスクや肥満・メタボなど様々な生活習慣病リスクとなるということです。


江部康二 医師 。