超高齢化社会を迎え、 これまで以上に、 認知症患者の増加が深刻な問題となっている。 加齢による脳の衰えは、避けられない物なのか。
しかし、 最新の研究は、 我々に、 明るい希望を与えてくれるようだ。 齢を重ねてからでも、 脳細胞は、 新しく作られている、 というのだ。
■79歳でも、 脳の海馬で、 新たな細胞が生産される ;
“人生 百年 時代 ” を迎えて、 高齢者の認知機能の維持がら 目下の大きな課題となっている。
その鍵を握るのが、新たな脳細胞の生成能力だ。 多くの哺乳類員らにおいては、 生涯にわたって、 新たな脳細胞を作り続けているとする、 研究が報告されているのだが、 はたして、これは、 人間にもあてはまるのか?
つい先月にも、 米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームが、 権威ある学術誌の、 「 Nature 」 、 に発表した研究で、
人の脳内で、 記憶や、学習をつかさどる部位である、 海馬では、 およそ、 13歳で、 神経細胞の生産が止まる、 可能性が高い、 ことを指摘している。
海馬を構成する、 大半の細胞は、 ほとんどが、 胎児期から、1歳前後までに生産され、 7歳を越えると、 その生産能力が急激に低下し、
18歳以降は、 若い神経細胞や、 分裂する神経前駆細胞などは、 ほとんど、生産されない、 と、 報告している。
青い部分が「海馬」 画像は「Wikipedia」より
これが、 正しいとすれば、 今日の超高齢化社会にとっては、 きわめて暗い影を投げかけるものになる。
脳機能、と、 認知機能の面からは、 18歳以降は、 衰える一方であることになるからだ。
しかし、 先日の4月5日に、 前出の、 「 Nature 」 、 の研究論文とは、 “真逆” 、 ともいえる結論を報告している、 研究が、 幹細胞専門誌の、「 Cell Stem Cell 」 、 に発表された。
18歳以降である所か、 老齢期になっても、 脳の海馬では、 新たな細胞が生産されている、 というのだ。
米コロンビア大学の研究チームは、 病歴のない、 14歳から、 79歳までの、 28人の脳の検体を詳しく分析したところ、 認知機能や、 感情に関わる、 海馬の部分から、 未成熟の神経細胞が多く見つかった、 ことを報告している。
最高齢な、 79歳の高齢者の脳でも、 新たな細胞が“芽生えている、 ”事が、 確認されたのだ。
脳の検体は、 いずれも、 生前は、健康であった人の脳で、 つまり、 不幸にも、不運な死を迎えてしまった人々だ。
老齢を迎えても、 新たな脳細胞が生産できるのだとすれば、 認知症が改善できる可能性をはらむことになり、 超高齢化を迎えた、 今日の社会において、 明るい話題になる。
■一方で、 高齢者たちにおいては、 新たな脳内血管が、あまり作られない ;
研究チームは、 高齢者の脳の新たな神経細胞の生産を確認したばかりでなく、 脳内のいくつかの領域らの血管の状態も、調べている。
その分析によれば、 その領域らで、 脳神経系が良い状態に保たれている限りにおいては、 海馬の大きさは、 生涯を通じて、 変わらず、 新たな細胞も作られ続ける、 ということだ。
「 我々は、 高齢者であっても、 若者のように、 前駆細胞から、 海馬の、 新しい神経細胞を何千も作る能力が、 同じようにあることを発見しました 」 、 と、 研究を主導した、 マウラ・ボルドリーニ博士は、語る。
画像は「Wikipedia」より
しかしながら、 脳の状態が、 若年層と高齢者で、 まったく、 同じ、 ということはなく、
高齢者たちおいては、 新たな血管が、 あまり、 作られず、 新しい神経細胞の接続能力が低い、 可能性が考えられる、 ということだ。
つまり、 高齢になっても、 新たな脳神経細胞は、 作られるものの、 神経同士の接続が、余り、 円滑でなくなってくるのかもしれない、 という事だ。
加齢による、 認知機能の低下は、 神経細胞が、 生産されなくなるからではなく、 神経の接続能力が、 徐々に弱まることで、 もたらされるのではないか、 と説明している。
どうして、 カリフォルニア大学の研究と、今回の、 コロンビア大学の研究が、 “真逆” 、 といえるものになっているのか?。
それは、 コロンビア大学の研究では、 細胞だけでなく、 脳内の血管の状態も、考慮に入れたからであることが、 指摘されている。
( 原文 ≒ 仲田しんじ 記者 )。