染色体 画像は「Wikimedia Commons」より
人の性別を決定しているのは、 細胞の中にある性染色体で、 男性なら、 XとYの、 染色体 、 が並び ( XY ) 、 女性は、 X染色体が、 2つが、並んでいる状態 ( XX ) 、で、 Y染色体が、 無い、 ことは、 ご存知の方も多いだろう。
これは、 現代の遺伝学の基本中の基本なのだが、 実は、 女性の中にも、 血液細胞や、 生殖細胞の一部に、 Y染色体を持っている人が、 けっこうな割合でいる、 ことが、 徐々にわかってきている。 これは、どういうことなのか。
近年の研究によって、 これは、
「 マイクロキメリズム microchimerism 」 、 と呼ばれる、 状態であることが、 わかり、
男児を出産した経験をもつ母親に起り得る、 現象である、 と説明されている。
胎内に、 XYの性染色体らを持つ、 男児を懐妊してある場合に、 その事で、 母体の側に、 男児の、 Y染色体が移行した例があり、 その結果にて、 女性でありながら、 Y染色体を持ったまま、 その後の一生を送ることになるのだ。
妊娠中に、 母子は、 お互いの遺伝子に影響を与え合っており、 男児の側に母の遺伝子が移ってくることもある。
少し前まで、 この、マイクロキメリズム現象によって、 Y染色体を持つことになった女性は、 男児の出産経験のある女性に限られる、 と、 考えられてきた。
が、 更に、 サンプリング調査を重ねていくと、 男児を出産した経験がない女性の、 血液細胞からも、 Y染色体が発見されてくるようになったのだ。
■性交で、 Y染色体を獲得!?
2千4年に、 この謎に迫るべく、 アメリカの、 「フレッドハッチンソンがん研究センター」で、 男児出産経験のない、 百20人の女性たちを対象に、 調査が行なわれた。 被験者の女性たちの血液細胞を調べてみると、 男児の出産経験がない、 にもかかわらず、 21 % 、の、 女性が、 Y染色体を持っていることが、 わかったのだ。
因果関係を分かりやすくするために、 この、 21%の女性たち、 を、 4種類に分類してみると、 さらに興味深い傾向が分かったのだ。
その、4分類と、 Y染色体を保有する割合が、 下記だ ( 3%の女性は、分類不可能のようだ )。
A= 女児のみ出産した女性: 8% 。
B= 自然流産の経験のある女性: 22% 。
C= 人工流産 ( 人工妊娠中絶 ) の経験がある女性: 57% 。
D= 妊娠をしたことがない女性: 10 % 。
流産の場合には、 胎児の性別が、 不明 ( あるいは、 確認しない ) であることが、 多い、 と思われるために、 B、と、 C、は、 男児を懐妊していたかもしれず、 その分を、 Y染色体の保有率が高いのは、 納得がいく。
しかし、 なぜ、 C、 と、 B、 に、 これほどの差があるのかは、 よく分からない。
注目すべき事は、 マイクロキメリズム現象を引き起こす、 要素が、 全く、無い、にも関わらずに、 Y染色体を保有している、 A、と、D、 だろう。 A、 と、 D、 が、 Y染色体を獲得するには、 以下のことが考えられる、 という。
1. 気づかないで、 流産した男児から、 Y染色体を獲得 ( 該当していた場合 ) 。
2. 双子 ( 多胎児 ) 、 の男の兄弟から、 Y染色体を獲得 ( 異性を含む多胎児の場合 ) 。
3. 兄から、 母体を経由して、 兄に由来の、 Y染色体を獲得 ( 兄がいる場合 ) 。
4.男性との性交で、 Y染色体を獲得
「4. 男性との性交で、 Y染色体を獲得 」 、 という、 可能性が指摘されたのは、 興味深い。
妊娠に到らなくとも、 性交によって、 相手の男性の、 Y染色体を獲得するかもしれない 、 というのだ。
とすれば、 その後に、 別の男性と結婚して、 授かった子どもに、 前に性交した男性の影響が及ぶことも有り得る、 ということになる。
■「ウイルス進化論」とは
画像は「Wikipedia」より
ある個体の遺伝子情報の伝承は、 直に、 我が子を生むことだけにはとどまらない、 という、 考え方も、 前から注目されている。
人を含む生物らは、 ウイルスを媒介にして、 遺伝子らを交流させ、お互いに影響を与え合い、 一部の遺伝子情報を書き換えているというのだ。
生物の進化が、 ウイルスの感染によっても、 起きていると考えるのが、 「ウイルス進化論」だ。
ウイルスが、 媒介になりうるのなら、 妊娠には到らないにしても、 濃厚な粘膜の接触 (!) 、 を伴う、 性交 、 が、 遺伝子レベルの影響を及ぼさないはずがないと考えるのは、 真っ当なことかもしれない。
生殖行為を行なわなくても、 何らかの形で、 自己の遺伝子を後世に残せる可能性がある。
最愛の人とゴールインする夢を果たせずに、 結婚生活を送る、 より、 性的倫理性の無い、 精神性の、 女性にとっても、 夢が広がるものになりそうだ。
過去に愛した人の“遺伝情報”らが、 我が身に、 消えることなく、 刻みつけられており、 授かった我が子に影響を与え得る、からだ。
( 原文= 仲田しんじ 記者 )
参考:「Before It's News」、「Jena Pincott」ほか