【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳 第6回、トリカブト
イメージ画像:「Thinkstock」より
トリカブト。 青酸カリをはるかに超える、 猛毒を含み、なおかつ、 園芸店などで普通に売られている、 という、 入手性の良さで、 我々に最も身近な猛毒といえます。
余りにも当たり前に存在する、日本を代表する毒草でありながら、 トリカブトを使った犯罪は、 滅多にないために、 本当は危なくないの? 、 なんて言われていますが、 今回は、 その毒性を掘り下げていきます。
イメージ画像:「Thinkstock」より
■矢毒で分かる文化圏
名古屋学院大学教授の民族学者、石川元助氏の著書な、 『毒矢の文化』の中で、 面白い文化圏への分類法を紹介しています。
それは、ほぼ、世界共通で、我々の祖先が、 古くから、 狩猟に使っている矢毒に注目し、 毒の種類、 つまり、 その材料となる毒物により、文化圏が分かるというもの。
狩猟と矢毒、 というのは、 切っても切り離せません。 その製法は、 乱用されない様に、 その文化圏で、 ギルド的に守られるので、そうした側面も考えると、非常に地域性が出る。
日本の本州の真ん中あたりから東北アジア、 シベリア、 や、アラスカにかけては、 トリカブト毒文化圏と呼ばれ、 寒冷地を好む、 トリカブトが、 矢毒への主原料として使われており、 園芸店で売られる時期が、 春先から初夏にかけて、 というのも、 鳥兜 トリカブト 、 が、 暑さに弱い、 高山植物であるが故です。
イメージ画像:「Thinkstock」より
■トリカブトの毒成分
そんな、 トリカブトは、 漢方では、 根塊 、を、 烏頭 ( うず ) 、や、 附子 ( ぶし ) 、 と呼び、 それが、 訛って、 ブス、ひいては、 トリカブト ≒ ブス ≒ 毒 、 という理屈で、 毒島さんは、 「 ぶすじま 」 、 と、 読むようになった、と、考えられています。
トリカブト 、 は、 色々な成分を含んでいるが、 その中でも、 有名な主成分が、 「 アコニチン 」 ≒ C34 H47 N O11 、 という、 低分子な物らである、 アルカロイド 。
アコニチンは、 代表的な神経毒で、 神経での信号らの伝達への阻害剤として機能します。
神経というのは、 乱暴に説明すると、 リン脂質らからなる、 二重膜に、 ナトリウム・チャンネル、や、 カリウム・チャンネル、に、 ナトリウム・ポンプ、や、 カリウム・ポンプ 、 という、 イオン 、 を出し入れする部品がついており、 「 分極 」 、 という、 生命維持に必要な、 電位差 、 を維持し続けています。
この電位が崩れっぱなしになると、 生命維持ができなくなって、 神経細胞たちは、 情報らを伝達をすることができずに、 その先の組織、らが、 正常に動かなくなって、 死にます。
故に、 それらな、 ポンプ、らを総動員して、 常に、 維持している位に、 大事なモノである、 というコトです。
この分極の維持は、 体内の消費カロリーの、 3割近い、 エネルギー ≒ ある一つの向きへ、 物を動かす、 物理学で言う所の、 仕事 、 を成す、 能力 、 を使っている、 と、 されており、
アコニチン 、 などの、 毒物は、 この電位の維持を破壊することで、 殺意を示すわけです。


