■タリウムの症状
タリウムの中毒は、 ゆっくり進行するのが、 特徴です。
多くの場合には、 一過性の悪心、 嘔吐、 などとともに、 神経痛や、 知覚の異常 ( 光が乱れて見えたり、 幻覚、幻聴など ) 、が生じます。
さらに、 多くの、 タリウム 、 が、体内にある場合には、 神経症状が進み、 自律神経などの、意図せずに動いているはずの神経系が、 まともに機能しなくなることで、 血圧の異常な上昇、や、 頻脈、に、 流涎 ( 唾液が止まらなくなる )、 体温の乱高下などが起こります。
イメージ画像:「Thinkstock」より
加えて、 代謝によって、 排出が間に合わないほどに、 タリウム 、 が体内にあると、 神経自体が、 死にはじめ、 死ななくても、歩行困難や、 失明、に、 永久的脱毛、 などの、 重い後遺症が残ります。
昭和の初期には、 タリウムの細胞毒性を逆手にとった、 脱毛クリーム 、 があり、 含有量が、 10 % 、 という、 恐るべき除毛クリームが売られていました。
タリウム 、は、 皮を経ての吸収性である、 経皮吸収性も高く、 毛根の細胞を速やかに殺すでしょうから、 かなり、 痛みを、 無しに ( 細かい神経も死ぬだろうし ) 、 永久脱毛ができた、 と、 思われます。
もちろん、 目的以外の所らでの脱毛が起こる、可能性もありますし、 何より、危険すぎるので、 現在は、 タリウム 、 による、 脱毛は、 行われていません。
イメージ画像:「Thinkstock」より
■カリウムと似たタリウム
タリウム 、は、 神経細胞が活動するための、 タンパク質から成る、 酵素 コウソ 系に、 特に、 ダメージを与え、 細胞を殺す毒性から、 「細胞毒」と呼ばれるカテゴリーに入ります。
カリウム 、 とは、 1文字違いなので、 間違えやすい……という訳では無いのですが、 体内での挙動が、 カリウムに近く、「トリカブトと神経毒」の回で説明したように、 神経細胞は、 カリウム 、 と密接な関係にあります。 まぁ、 大半の細胞は、 カリウム、 と、 ナトリウム 、が、 必須なんですが(笑)。
ゆえに、カリウム、 と、 元素的振る舞いようらが似ている、 タリウムは、 カリウムですよー……、 と、細胞内に入るものの、 カリウムではないので、 細胞の中で、 あれこれと、 悪さをします。
そうして、 細胞が、 じわじわと死んでから、 毒性が出るために、 急性中毒でも、 12 ~ 24時間の、 潜伏時間があり、
さらに、 解毒剤も、 「 プルシアンブルー 」 、 か、「 カリウム剤 」 、位しかありません。
医師が、 早めに、 タリウム中毒である、 と、 気がつけば、 そうした治療もできなくはないですが、 タリウム自体に、 際立った症状が少ないために、 見逃されることが、 多い訳です。
そもそも、 毒を盛る、 という、 事件が、 そんなに頻繁にあっては、 たまりませんので、 普通は、 分からなくて、当然です。
致死量は、 人間で、 10 ~ 20 mg/kg 、 と言われており、
( ○酸の部分を除いたタリウム分量として )、 1 g 程度で、 体中の、 あちこちが壊れて、 ゆっくり死に至る、 という、 極めて、 たちの悪い毒性を発揮します。
十年に、 一回位のペースで、 タリウム、を、 わざわざ選んで盛る犯罪者が登場するので、 こうした特徴な事らを、 少しでも覚えておいて、 損は、ないかもしれません。



