☆     WIRED  ;

DNAに刻印される「運動の記憶」

我々の、 タンパク質から成る、 遺伝子の本体な、  DNA     ≒     デオキシリボ 核酸    、には、  環境からの刺激らに対応するために、 特定の遺伝子を使うかどうかを判断する、 「エピジェネティクス」、 と呼ばれる仕組みがある。

 遺伝情報らの発現のスイッチは、 

 メチル化         ≒        炭素 C 、 の、  1個、 と、   水素  H 、 の、  3個 、 とから成る、     メチル基  、   が、    別の分子  、らと、   結び付いたり、   置き換わったりする事     、または、    脱メチル化       ≒

  メチル基が、  ある分子から、 去る事     、  

 と呼ばれる、   化学修飾を経る、

  ことによって、  DNA 、の、  そのものを変化させることなく、   遺伝情報らを、  オンにしたり、  オフにしたりする     ≒     

  特定の、 タンパク質らを成す事へ、 遺伝情報らを実現したり、   しなかったりする     。

  一般的に、  DNAメチル化は、 特定の遺伝子発現を、   オフ  (  抑制  ) にする方向に、 働き、

  逆に、 脱メチル化は、 遺伝子発現を、オンにする、   と、  いわれている。

英国のキール大学、リバプール・ジョン・ムアーズ大学、ノーザンブリア大学、および、 マンチェスター・メトロポリタン大学の共同研究では、

最新のゲノムワイド解析技術を用いて、     筋 力トレーニングが引き起こす、 エピジェネティックな変化について調査した。

   彼らは、  ヒトDNAにおける、 85万以上のCpGサイト

 (    DNAを構成する、 4種の塩基のうち、    シトシンの次に、 グアニンが現れる、 配列のこと    )  、   を分析し、 筋力トレーニングの前後における、 エピジェネティックな変化を比較した。

実験ではまず、筋力トレーニングをしたことのない男性被験者の、  8人 (   平均年齢   27.6歳  )  、   を対象に、   筋肉への生検を行った。

   その後に、   週3回で、  7週間のレジスタンス運動  (    筋に負荷をかけたトレーニング    )、     7週間の休養、           そして、   再び、   週3回で、    7週間のレジスタンス運動を行ってもらい、     各期間の終わりに、 骨密度検査、大腿四頭筋の強度測定、そして、 遺伝子の変化を測定するための筋肉生検を実施した。

筋肉は、    休養後のレジスタンス運動で、  さらに増強する

実験の結果、 被験者たちが、 最初の7週間で得た筋肉は、 その後の7週間の休養のあいだに実験前の状態に戻ってしまっていた。

  筋力トレーニングを怠れば、筋肉は落ちてしまう。

興味深いのは、休養後に再開された7週間のトレーニングで、被験者たちの筋肉が、      最初の7週間より、  さらに大きく肥大したことだ。

  そして、 この結果を裏づけるように、 遺伝子の推致   スイチ      ≒     スイッチ    、 にも、  変化が起きていた。

筋肉の遺伝子には、 多くの遺伝子が、        メチル化されて、  遺伝子発現が、   オフ 、 になっている部分   (   高メチル化   )  ,  と、

  ほとんどが、  メチル化されておらず、

  遺伝子発現が、  オンになっている部分

(   低メチル化  )   ,   がある。

   驚くことに、   最初の筋力トレーニング後に、 被験者たちの筋肉の遺伝子には、      低メチル化した領域が頻発していた。

  さらに、  休養後の再トレーニング期間で、   筋肥大が最大となったときに、 遺伝子の低メチル化も、 最も頻繁にみられた。

「    われわれは、  この実験で、 筋肉が再成長するときに、   過去の運動で記憶された、  エピジェネティックな情報らが、  筋肉の遺伝子らを、さらに、 低メチル化させる、  こ  とを実証しました    」   、 と、 研究チームは、 説明している

    「    注目すべきは、    筋肉が落ちたときも、  これらな、 遺伝子らは、  低メチル化の状態を維持することです。        しかし、 これが、  のちの運動に応答して、     より、 大きな筋肉の成長を促す、  “スイッチ”となり、筋肥大と関連しているのです。これは過去の筋肉成長が、エピジェネティクスとして記憶されているのを示しているのです」

いわゆる、  「  マッスル・メモリー  」 、 が、 事実として、  遺伝子レベルで存在することを示す、 この結果は、      アスリートのトレーニング方法や、 けが、 からの回復方法に、 影響を及ぼすことだろう。

 研究を率いた、 キール大学の、    アダム・シャープルス博士も、 次のように説明している。

「    例えば、     あるアスリートが、  筋肉をつけたあとで、 負傷により、  筋肉が落ちてしまったとしましょう。        そのときに、   どの遺伝子が、 筋肉記憶を担うのか、 が、 わかっていれば、  のちの回復に役立つことになります。     そのためにも、 異なる運動プログラムが、 どのように、  筋肉記憶の遺伝子を活性化させるのか、  それを理解するための研究が、必要です   」 。

 また、   ドーピング違反をしたアスリートの謹慎期間が、 適切なのかどうかにも、疑問を投げかける。

 今回の実験では、   7週間の休養を経ても、 筋肉記憶が活性化することが実証された。

 パフォーマンス向上薬の使用により、 増強した筋肉は、 たとえ、  謹慎期間を経たとしても、 以前の成長を、 「記憶している」、 可能性がある。

研究チームは、 薬物による筋力増強が、  運動によるものと同様に、  遺伝子に記憶されるのかを突き止めるため、  さらなる研究を進める予定だ、 という。