人体の多くの重要なタンパク質は、正しく働くために、
鉄 - 硫黄クラスター、鉄と硫黄原子でできた、小さな構造を必要とする。
アメリカ国立がん研究所(NCI)、アメリカ国立衛生研究所(NIH)、および、          ケンタッキー大学の研究者は、
   鉄硫黄クラスターの形成の中断が、
 特定の細胞に、   脂肪小滴の蓄積をもたらす可能性があることを発見した。

これらの発見は、Journal of Biological Chemistry  、の、     2018年5月25日号に掲載されており、
  非アルコール性  脂肪肝   疾患、や、    腎明細胞癌のような状態の生化学的原因に関する手がかりを提供する。

この記事は、     「    哺乳動物細胞における、      代謝  再  プログラミング 、    および、 脂質液滴の形成における、    鉄-硫黄クラスターの急性喪失(Acute loss of Iron–Sulfur Clusters Results in Metabolic Reprogramming and Generation of Lipid Droplets in Mammalian Cells.)」、   と題されている。

     「    鉄-硫黄クラスターは、  繊細で、    細胞内の損傷を受けやすい   」  、   と、  新しい研究を率いたポスドクのDaniel Crooks博士は語った。
「     この理由から、  私たちの体内の細胞は、      常に、    新しい、   鉄-硫黄クラスターを構築している   」    、    Crooks博士は、 NIH傘下機関の国立小児保健発達研究所(Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development:NICHD)のTracey Rouault博士のラボで、鉄-硫黄クラスターを形成する酵素の研究を開始した。

   ☆      北海道大学   (  北大  )  、   と、   産業技術総合研究所    (   産総研   )   、  は、     

   2千17年の、  4月25日に、     ミトコンドリアの機能に関与する、    硫黄を修飾する、      タンパク質から成る、   酵素   コウソ  、 が、 酸素に接すると、  崩壊する、   不安定な鉄硫黄クラスターを用いて機能することを同定した、   と発表した。

     同成果は、   北大大学院先端生命科学研究院 田中良和准教授    (   研究当時、   現東北大学大学院生命科学研究科教授   )  、      産総研創薬基盤研究部門 鴫直樹主任研究員らの研究グループによるもので、4月24日付の米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載された。

    細胞のエネルギーを生産する細胞小器官である、   ミトコンドリアの活動は、    転移  RNA 、  の、    硫黄への修飾と関連が深いことが、   近年に報告されており、       ミトコンドリアの機能を制御する、    新たな経路が予想されていた。

  硫黄修飾の一種である、  2-チオウリジン修飾は、  真核生物において、   ミトコンドリアの機能に深く関与していることが、 知られているが、  その制御機構の詳細については、  不明な点が、 多く残されている。

    同研究グループは、  今回に、     好熱性真正細菌に由来する、    2-チオウリジン合成酵素「TtuA」の構造機能解析を実施。

   この酵素が、 酸素に接すると崩壊する、 不安定な「  鉄硫黄クラスター  」、  という、   因子を用いて、 硫黄を転移することを突き止めた。

    これまで、    細胞質中の、    2-チオウリジン生合成機構が明らかにされてこなかったのは、      従来の実験が、  大気環境の下で行われていたことから、   この鉄硫黄クラスターが崩壊していたためであった、 と、  考えられる、   という。

   また、   同研究グループは、    複合体構造解析の結果から、  TtuA  、が、     鉄硫黄クラスターを、  あたかも、  タンパク質の一部のように用いて、      硫黄を転移する、   という、       これまで知られていない、  硫黄修飾メカニズムを用いることを提唱した。

      同研究グループは、     今回の成果について、    ミトコンドリアによる、  エネルギー生産の制御機構を解明するための、 重要な手がかりを与えるもの、    と説明している。

(左)硫黄修飾酵素TtuAと硫黄供給タンパク質、鉄硫黄クラスターの複合体の構造モデル(右)TtuA活性部位中の鉄硫黄クラスターの拡大図。茶色が鉄原子、黄色が硫黄原子。鉄硫黄クラスターの4つの鉄原子のひとつがTtuAとは結合せず、不安定な構造を取っている。矢印は活性部位へ露出している鉄原子 (出所:北大Webサイト)