☆ 「 原子の結合 」 、 の謎が、 解き明かされる? ; 単一原子の化学結合の形成に、 米研究チームが成功 ;
自然界では、 互いに反発する、 ナトリウム 、 と、 セシウムの原子。 ハーヴァード大学の化学者チームが、 これらな、 単一の原子をコントロールして、 化学結合させることに成功した。
自然界にある、 最も、 基本的な化学反応の一つ、 である、 単一の化学結合の形成は、原子が結合するメカニズムへの解明に近づく、貴重な研究結果だ。
その成果が、 量子コンピューターへの応用も、期待される、 という今回の実験は、いかに行われたのか。
チームは、 原子を「罠にかけて」、 この結合を成立させる方法を編み出した。
ほかの原子をできるだけ少なくした、 真空槽に、 ナトリウム原子とセシウム原子を入れ、 レーザーを使って、 原子同士を強制的に接近させるのだ。
チームは研究結果を、 今年5月25日付けで、 『サイエンス』誌に発表した。
チームは、 2個の原子らの仲を取りもつ、 「化学結合の形成」、 という、 地球上で、 最も、基本的な作用のひとつを研究する手段を手に入れた。
炭素 C 、 水素 H 、 酸素 O 、 の、 3種類の原子の混合物が、 糖、 アルコール、 ホルムアルデヒド、の、 どれになるかは、 原子らの結びつきようにより、 決まる。
ローレンス・バークレー国立研究所の物理学者である、 ダニエル・スローター氏は、 「 単一の化学結合の形成は、 自然界に存在する、 最も基本的な化学反応の一つです 」、 と話す。 「 ある意味、 チームは、 最も、純粋な形の化学反応を起こしたのです 」 。
☆ いまだ詳細に描写できない原子の結合 ;
ニー氏のチームは、 これを成し遂げるのに、 数年を要した。 その理由は、 原子の、 2個だけの反応が、 通常の化学実験とは、 異なるからだ。 化学者は、 通常は、 粉剤や溶液を、 特定の濃度と順序で、 混合・加熱する方法で、 新たな分子をつくる。
10の、 23乗個も存在する原子が、 ランダムな衝突によって結合する、 と信じて、 この方法を取るわけだ。
通常の化学実験では、 特定の原子間の衝突が、 より起きやすくなるように反応を設計するかもしれない。 だが、 原子間の結合を、 ひとつずつ、 慎重に組み立てたりはしない。
ニー氏のチームは、 多種多様な化学物質らを大量に作ろうと試みていた訳ではなかった。 チームが目指したのは、 2個の単一原子同士、 という、 ただ一つの特定の組み合わせを構成できる、と、 証明することだったのだ。
化学結合のイメージを描くために、 原子が、 微小な原子核と、 その周囲に、 大きく広がる、 電子の雲で構成されている、 と、 想像してみよう。 実際には、 原子は、 化学の授業で遊んだ、 組み立て玩具的な模型とは、 異なるのだ。
2個の原子らが接近すると、 各原子の電子雲が、 互いに押し合って、 ときには、 この、 2個の原子が、 1個の粒子として、 ふるまい始めることがある。
これが、分子だ。
だが、 専門家らは、 いまだに、 この過程を、 細部に渡っては、 説明できないでいる。
1個の原子が、 もう1個の原子に、 少しずつ近づき、ついには、 2つが、 1つになる。 この過程がスローモーションでは、 どんな風に見えるのかを、 いまだに、 詳細には、 描写できないでいるのだ。
「 分子物理学と、 分子化学の分野で、 我々が抱いている、 夢のひとつは、 化学結合を実際に描写することです。 化学結合とは、 何かを、本当に理解する事なのです 」 、 と、 スローター氏は語る。
スローター氏は、 自身の研究では、 ニー氏の実験の逆を実行している。 分子を分離させるのだ。
「 小型の分子から始めて、 レーザーを使って、 ばらばらに分裂させたあと、 この破片を調べます 」 、と、 スローター氏は説明する。
こ うした、 「 破裂 」 現象を、 科学捜査的に調べることにより、 化学結合に関する、 知見が得られるのだ。
☆ 特殊な装置で、完全自動化された実験 ;
ニー氏のチームは、 1個の分子を作る為に、 特別な装置を製作した。
レーザー、と、 レンズ 、に、 真空槽 、や、 検出器、 および、 電線コイル 、 で構成される装置だ。 装置を完成させるには、 多数の試験が必要だった。 分子の1個の生成を可能にするには、 単一原子を移動させる方法を編み出す必要があった。 さらに、 単一原子の移動を可能にするには、 原子を捕捉する方法を編み出す必要があった。
「 単一原子を捕捉するのは、 巨視的な物体をつかむようにはいかないのです 」 、 と、 ニー氏は言う。 チームは、 まず、 小型の容器をいくつか用意して、 それぞれの容器に、 固体の、 ナトリウム、と、 セシウム、 を入れ、 高真空状態の小型試験槽の中に置いた。 この容器を加熱すると、 ナトリウム、 と、 セシウム 、の、 各原子は、 気体の状態になる。
次に、 強く集束した、 レーザーを使用して、 気体中の個々の原子を移動させていく。
基本的な仕組みとしては、 レーザーの光子が、 原子を特定の方向に少しずつ動かして、 最終的に、 試験槽の内側の、 特定のエリアに閉じ込める。 このエリアは、 原子の1個のみを保持するように設計されている。
次に、 隔離した、 ナトリウム原子の1個と、 セシウム原子の1個を互いに接近させる。 さらに、 レーザーを使って、 化学結合を形成するための追加エネルギーをいくらか、 ナトリウム 、と、 セシウム 、 に与える。 すべてを、 順を追って機能させるために、 これらをコンピューター上で自動化している。 「 すべてを正確に微調整しなくては、なりません。 詳細事項が多すぎるのです 」 、と、 ニー氏は話す。
「量子コンピューター」に応用できる可能性も
ニー氏の実験装置は、 ナトリウム・セシウム分子の生成に特化した設計になっている。 ナトリウムとセシウムを選んだ理由のひとつは、 どちらも、 比較的に、 単純な原子で、 化学反応に関与する、 自由電子を、 1個しかもたないからだ。
もうひとつの理由は、 ナトリウムとセシウムに関する、 先行した研究が、 多くある事だ。 ニー氏のチームは、 これらな、 原子らを操作するために開発された、 レーザーを、 今回の研究で利用できた。
ニー氏の技術は、 より、 複雑な原子を用いて、 別の分子をつくるように改良できるかもしれない。
例えば、 「 二酸化炭素や、 窒素ガスなどの分子をつくるために、 この技術を利用できるかもしれない 」 、 と、 スローター氏は、 考えている。 これらの分子らは、 現実の世界では、 容易に形成される。 しかし、 分子を構成する、 個々の原子は、 ナトリウムとセシウムに比べて、制御がはるかに複雑だ。
とはいえ、 現在のところでは、 ニー氏は、 ナトリウム・セシウムにこだわり続けている。 それは、 未来の技術に有用かもしれない、と、 考えているからだ。 「 この分子は、ぜひとも後押ししたい、 素晴らしい特性を、 すでに備えているのです 」 、 と、 ニー氏は、 指摘する。
ナトリウム・セシウムは、 分子を操作して、特定の配置にし、 その状態をしばらく保持させておくのが、 比較的に、 容易だ。 この分子が扱いやすい量子粒子であることが判明すれば、 話題の「量子コンピューター」の構成要素として、 有用になるかもしれない。 ナトリウムとセシウムの「相性の良さ」は、 否定できないのだ。