暑い夏が今後も続いていくとしたら、現実問題として、子どもを外で遊ばせることはできるのだろうか。
水分補給と環境への配慮をした上で、植松さんによれば、暑さに慣れる「順化」が熱中症予防に効果があるのも事実だという。
「気温、湿度、個人差などを考慮した上での、短時間の遊びが絶対にダメとは言えないと思います。また、子供と一口に言っても年齢の幅がさまざまで、体格などによっても暑さに耐えうる能力は大きく異なります」
だからこそ、どんなときに行動を制限するべきなのか、という条件についての知ることは、子どもの安全を守ることにつながる。
「気温ばかり注目されますが、たとえば湿度による影響はかなり大きいですし、直接日光に暴露されるかどうかも影響を与えます」
熱中症リスクの判定には気温や湿度、地面や建物・体から出る輻射熱を考慮しった“Wet Bulb Globe Temperature;WBGT(湿球黒球温度)”などの指標を用いて、外での行動ができるかどうかを判断する方法もある。
環境庁の公式サイトでは、このWBGTを計算して、「危険」「厳重警戒」「警戒」「注意」の段階で日常生活・運動についての指針を示している。
この指針によれば、WBGT31℃以上で、特に子どもの場合は運動を中止するべきとある。熱中症による死亡事故は、WBGT21℃以上で発生する可能性があるとされる。
「他にも、休憩頻度と休憩時間、経口補水の頻度、休憩場所の環境整備などを考慮する必要があります」
「また、当たり前ですが、もともと具合がよくない、体調不良があって回復途中であるような場合には、屋外活動を中止または制限する必要があります」
それでも熱中症になってしまったら
熱中症の主な徴候は意識障害と高体温であるため、「一般的に考えて、熱中症でなくとも、意識がはっきりしないなどの症状があれば、ただちに救急車を呼ぶなど、緊急で医療施設にかかるべきです」と植松さん。
このとき、高体温など熱中症を疑う症状があれば、到着を待っている間も、体を冷やし続けるなどの対応が必要だという。
「太い血管のあるわきの下や首などを氷で冷やしたり、冷たい濡れタオルで拭いたり、風を送る、涼しい場所に寝かせるなどが病院に来る前の処置としてありえます」
意識障害がなく、イオン飲料などを誤嚥することなく安全に経口摂取できるのであれば、「涼しい環境に移動させ、体表冷却、経口補水を実施して、さらなる症状の悪化がないか注意しながら、経過観察することも可能」(植松さん)。
「熱中症は危険な状態ですが、適切な対処によって予防すること、軽症にとどまらせることも可能です。ぜひ、正しい認識を持っていただければ」
「万が一、熱中症になってしまったときは、当センターでは小児救急医療の最後の拠点として、365日24時間、患者の受け入れをしています。救急車を呼ぶか、直接ご来院いただくことも可能です」