@      量子力学においての質問です。量子もつれという量子力学的性質がありますが、一対の粒子はどうやって作るのですか?ここが全くわかりません。どなたか教えてください。2016/07/15 22:2

ベストアンサーに選ばれた回答

色々な作り方があります。
例えば、パウリの排他律を使う方法。フェルミ粒子である電子は、

「同じ場所に、同じスピン状態の電子は、存在できない」という原理があります。

なので、実際に半導体などの小さな「箱」のなかに電子を2つ入れてやると、どちらかがアップ状態、どちらかがダウン状態というもつれ状態が生まれます。

また、非線形結晶という特殊な結晶に光子を入れると、運動量が保存された(運動量がもつれた)光子が2つ出てきます。

本などで「粒子を2つに分割します」的な説明が出てきたら、実際には、この方法が想定されているのだと思います。

他にも、物質スピンの場合は、2つの原子のスピン同士が磁石としてお互いに影響を与える超微細相互作用による共鳴スペクトルのシフトを利用したりします。

文字では、イマイチ分かりにくいですが、実際にやることは、原子に当てるレーザーなどの周波数を微調整することで、原子の1つのスピンにだけアクセスしたり、2つの原子らのスピンをもつれさせたり、という、制御ができます。

エンタングルメント抽出実験、Nature誌に掲載!

 私たちは「エンタングルメント抽出実験」に世界で初めて成功しました。 これは「2ペアから1ペアの抽出」という最小単位とは言え「複数ペアの一括処理により小数ペアを抽出する」初めての実験になります。この成果はNature誌に掲載されました:
T. Yamamoto, M. Koashi, S. K. Ozdemir, and N. Imoto:
"Experimental extraction of an entangled photon pair from two identically decohered pairs"
Nature 421(January 23, 2003)

ここではその内容について解説します。

  • エンタングルメントとは

    (エンタングルメントを知っている方はここを飛ばしてください。)
     エンタングルメントとは、 二つ以上の離れた系の間に見られる量子力学特有の相関です。 夫婦が一人ずつ東京と大阪に旅行したとき、 大阪に行ったのが女と観測されれば、 東京に行ったのは男と瞬時にわかります。 これも相関ですが、 二人がどちらに行くか決めて別れた時点でコトは終わっていたのです。 これは古典的相関と呼ばれます。 ところが量子論では二つの粒子が別れた後も見えない赤い糸で結ばっていることがあります。 たとえばベル状態と呼ばれる二つの光子は片方が偏光メガネを通過すればもう片方は通過しないという相関がありますが、 これだけなら古典相関です。 でも大阪で誰かが全然別の偏光フィルタで篩いにかけるという操作をすると、 東京の光子はその篩いを通らない性質を持つように変わります。 これをもっと進めて組合せ事象を吟味すると、 個々の確率分布や合成確率分布などで説明できない事象、 つまりどう考えても後ろで赤い糸で結ばっているとしか考えざるを得ない事象が出てきます(ベル不等式の破れなど)。 これはエンタングルメントが古典論で説明できない一例です。 その赤い糸の強さがエンタングルメントの強さになりますが、 いろいろな定義があって理論上の統一を見ていません。 でも大ざっぱに言って0%がエンタングルメント無し、100%が完全なエンタングルメントを表すように作られています。 
     何かをするときエネルギーが必要なように、 また何か秩序立った構造を作ろうとするときエントロピーの捨て場所が必要なように、 量子情報処理をするときにはエンタングルした粒子ペアをたくさん準備して、 それをリソースとして使います。 すなわちエンタングルメントは量子コンピューティング(用語集*1参照)・量子暗号(*2)・量子テレポーテーション(*3)など量子情報処理(*4)を成り立たせる根源的概念です。
     一度作ったエンタングルメントが簡単に壊れなければ話は楽なのですが、 エンタングルメントは外界の雑音の影響を受けやすいのです。 光子を光ファイバーで遠くに運んでいる間に、 あるいは情報をメモリーに保持している間に弱まって行きます。 一度弱まったエンタングルメントは、 ペアを成す二つの粒子を再び同一地点に持ってこない限り、 回復することはできなくなります。 つまり減る一方です。 しかしこのようなペアがたくさんあると、 それらを一括操作(*5)することによって、 エンタングルメントを回復した少数のペアを抽出することが理論上可能です。 大阪に来た粒子達を一堂に集め、 東京は東京で一堂に集め、 東京-大阪間の電話連絡は許すとすると、 そこからエンタングルメントが回復した粒子ペア(東京-大阪にまたがる一対の粒子ペア)が何対か得られます。 これがエンタングルメントの蒸留です。 このようにエンタングルメント蒸留はより大規模な量子情報処理実現のために不可欠な応用技術ですが、 後述するように、 より原理的意味もあります。
     

  • 成果の概要

     理想的なエンタングルメント蒸留では、 不完全なペアが独立に多数準備されても成立します。 ですから揺らぎが非常に速い雑音の影響でそれぞれのペアが事実上独立にエンタングルメント劣化を来しても、 蒸留できます。 しかし信号に比べて雑音の揺らぎの方が遅いことも非常に多くあります。 光ファイバーに光子を次々と通す場合はその典型です。 この場合もそれぞれの光子ペアがエンタングルメントを失うことには変わりありませんが、 受けた雑音はペアごとに同じものです。 この場合の蒸留の方が一般の蒸留より易しそうですが、 これまではこれすらも実現していませんでした。

     この「遅い雑音によりエンタングルメントを消失したペア群から完全なエンタングルメントを抽出」するような光回路を私たちは2001年に提案しました(Phys. Rev. A64, 012304, 2001)。 今回の成果はその実証実験を行ったもので、 複数ペアを一括操作したエンタングルメント操作実験としては世界初のものです。
     実験では偏光がエンタングルした光子ペア二対(全部で四個の光子)をパラメトリック下方変換により同時発生し、位相雑音を付加することにより個々のペアにおけるエンタングルメントがほぼゼロになったことを測定により確認した上で、提案した「エンタングルメントを抽出する光回路」に通して混合し、二つの光子の偏光を観測することにより一対の光子ペアを残し、そのペアのエンタングルメントが大きく増強されていることを実験的に確認しました。