☆       因果関係、 と、 相関関係 ;

    ダイヤモンド社の新刊 ;
  『  「原因と結果」の経済学   』
  (   中室牧子女史・津川友介氏著   )  、 は、
    経済学を題材にしながら、
  公衆衛生学、 臨床疫学の、
   わかりやすい解説書になっている。

     著者の一人な、 津川氏は、   現在は、
   ハーバード公衆衛生大学院の、
  リサーチ・アシスタントであり、
  聖路加国際病院での、 臨床経験もある、
  医師だ。

    この本では、  色々な例を挙げて、
  「  因果関係  」 、と、 「 相関関係 」 、
 との、  違い、 を明らかにしている。
 
   「  因果関係  」  、  とは、
  「    2つの事柄らのうちの、
  どちらかが、  原因で、  
  どちらかが、  結果である   」   、   状態、
   「   相関関係  」  、 とは、
  「   2つの事柄らに関係があるものの、
  その、 2つは、  原因と結果の関係に、
   無い 、   もの  」  、  の事だ。

   この、 「 因果関係 」、と 、 「 相関関係 」、
  とを、 混同してしまうと、
  誤った判断をしてしまう事になる。

    例えば、
  「    メタボ健診を受けていれば、
  長生きできるのか   」   、という問いかけ。
  メタボ健診で、 自分の健康状態を知り、
   生活習慣病を予防したり、
 隠れた病気を発見できれば、  長生きになる、  と、思っている人は、 多いだろう。
    しかし、
 「   メタボ健診を受けているから、
  長生きできる   」  (  因果関係   ) 、
   のではなく、
 「    メタボ健診を受けるぐらいに、
  健康に対する意識が高い人だから、
   長生きできる   」  (   相関関係  )  、
   という、  考え方もできるだろう。

     それでは、 「  因果関係  」 、  
  を証明するためには、  何が必要か。
    それが、 「  反事実  」  、  であると、
   著者たちは、 言う。

       反事実とは、
  「   仮に、   ○○をしなかったら、
  どうなっていたか    」   、 という、
   実際には、 起こらなかった、
   「  たら・れば  」 、 のシナリオのこと。

        メタボ健診の例で言えば、
   「   仮に、 メタボ健診を受けなかったら、
   どうだったか   」 、 という、  問いかけだ。

    確かに、「  メタボ健診を受けなかったら、
   長生きできなかった   」   、  という、
   「 反事実 」 、は、  検証できないだろう。

        こうした考え方は、
  臨床疫学の大きな要素の一つだ。
     近年に、医療の中で強調されている 、
   「    EBM   
  (   エビデンス・ベースド・メディシン   」、
     「    EBP   
 (エビデンス・ベースド・プラクティス   」、     の、   “エビデンス”       ≒       
    証拠      、     とは、
 「   因果関係を示唆する、  根拠   」  、
    のことだから、 だ。

      この本では、      日常生活の中で、
    あるいは、  日常の臨床の場で、
  「  因果関係  」 、と、  「  相関関係  」 、
  との、  違いを理解し、
  「   本当に、  因果関係があるのか   」 、
   を考える、  トレーニングをしておけば、
     思い込みや、  根拠のない通説に、
   より、 とらわれる事をなく、
   正しい判断ができる、 と、 強調している。

      医療の現場は、   まさに、
   臨床判断の積み重ねで成り立っている。
   こうした、  ロジカルな思考方法が、
  最も求められる場、  とも、言えるだろう。

     
      ☆     ウィキペディア ;

      相関関係があるだけでは、
    因果関係があるとは、  断定できず、
     因果関係への前提に過ぎない。
  「  相関関係は、  因果関係を含意しない    
   (   Correlation does not imply causation   」、  は、 
    科学や統計学で使われる語句で、
   2つの変数らの相関性が、  自動的に、
   一方が、 もう一方への、  原因  、  
   である事を意味する訳では、 ない、
   ことを強調したものだ
 
   (     そのような関係がある場合を、
    完全に否定するものでは、ない    )  。 

       全く逆の言葉である、
 「  相関関係は、 因果関係を証明する
     (   correlation   proves   causation    」  、 
は、   誤謬    ゴビュウ       ≒
    あやまり     、     であり、
    同時に発生した、  2つの事象らに、
   因果関係のある事を主張するものだ。

     このような誤謬は、
   虚偽の原因の誤謬
  (   英:   false   cause  )  、    と呼ばれる

      前後即因果の誤謬  、  は、
   2つの事象らに順序関係があることが、
   前提であり、
  「  虚偽の原因の誤謬  」 、 の一種だ。

     広く研究された例として、
   ホルモンを補充する療法     (   HRT  )     、
   を行っている、  女性らでの、
    冠状動脈性  心臓病     (   CHD   )    、
   の発生率が低い、  ことから、
    HRT   、 が、   CHD  、 への予防に、
   効果がある、   という、  提案がなされた、
   ことがある。
    しかし、   対照試験を行ってみると、
    HRT  、 によって、   CHD 、  への、
   リスクが、 若干ではあるが、   明らかに、
   有意な増加を示した。

      データを再検討してみると、
   HRT 、 を受けていた女性らは、
   上流階級の婦人が多く、
   ダイエット 、や、  エクササイズ 、
  を、 よく行っていた事が、  わかった。

     つまり、    HRT  、を受ける事と、
   CHD  、 の発症率が低い、  事とは、
  共通の原因の事らからの、 結果な事であり、
    両者には、   提案されたような、
   原因と結果の関係は、 存在しない。

      数学的には、
   "Correlation  does not  imply  causation"
  (    相関は、  因果を含意しない    )   、
 は、  正しい。

     論理学では、  "  imply  "   、 は、
    論理包含  、   を意味する。

     しかし、   "  imply  "  、   という言葉は、
    通常は、   「  示唆   シサ   する  」  、  
    という、 意味でも使われる。

       相関と因果とに、  何らかの関係がある、
    というのは、   正しく、
    因果関係を証明する際には、
    相関関係の存在が、 必要となる。

   統計学者な、  エドワード・タフティ氏は、   Microsoft   PowerPoint    による、
   プレゼンテーションの簡潔さへ宛てた、
   批評の中で、   
   "Correlation   is not     causation"
  (   相関は、  因果ではない   )  、 の様な 、       "  is  "  、 の用いようを、    不正確で、
   不完全だ、  と、 批判している。

      確かに、  相関関係は、
    因果関係では、 ないが、
   それらが、   等価でないことを、
    単に述べると、  両者の関係についての、
    情報が欠落する。
    タフティ氏は、
   相関関係と因果関係について述べるには、
    最低でも、  以下の様にすべきではないか、
   と、 示唆した。

 「    経験的に観察された、  共変動は、
    因果関係への、   必要条件だが、
    十分条件では、  ない   」    、  
  あるいは、 
 「    相関関係は、  
   因果関係と、 同じでは、 ない。
   相関関係は、
   因果関係の、 単なる必要条件の1つだ   」。

   ☆     虚偽因誤謬 、  は、
  次のように表現できる。

    A 、  の発生は、    B 、  と相関している。
  従って、   A 、が、 B、への原因だ。

    この種の論理的誤謬では、
   2つか、 それ以上の、  要因らの間での、
   相関関係を観測しただけで、
   それらの因果関係について、
   早まった結論に飛びつく。

    一般に、   一つの要因   (A) 、   が、
   もう一つの要因   (B)    、  と、
   相関している事が、  観測された時に、
    それだけをもって、
    A 、  が、  B 、への原因だとする。
     しかし、   他に、   以下のような、
    4つの可能性らがある。

    @    B 、が、 A 、への原因かもしれない。

    @      未知の、   第3の要因な、
   C  、  があり、    実際には、
   A、 へも、  B、  へも、   
    C 、    が、  原因かもしれない。

      その、 「関係」は、   単なる偶然か、
   事実上、  偶然といってもいいような、
   複雑で、  迂遠なものかもしれない。

     すなわち、
   2つの事象らは、  同時に発生したが、
   直接の関係は、 なく、  単に、
   同時に起こっただけで、 あり得る。

    @     B  、が、   A 、 への原因である、
   と同時に、
   A 、が、  B 、への原因である事が、
    あり得る。

     ☆     例  2  ;
    明かりをつけたまま眠る若者は、
  その後に、 近視になる可能性が、 高い。

    これは、   ペンシルベニア大学
  医療センターが、  研究の例で、
   その研究は、    1999年5月13日に、
  発行の、  ネイチャー誌で発表され、
   一般的なメディアでも、  大きく、
  取り上げられた。
   しかし、   後に、
   オハイオ州立大学が行った研究では、
   赤ちゃんを、  明かりをつけたまま、
    寝かせることと、   近視に関係がある、
   という、  結果は、 得られなかった。

    それとは別に、  両親が、  近視の子供は、
   近視になる確率が、 高い、   という、
   結果が得られ、
   近視の両親が、   子供を、
   明かりをつけた寝室で、  寝かせる、
   事が、  多い、  という、 傾向性があった。
    つまり、   この場合の交絡変数は、
    両親の近視 、  と、考えられる。

    ☆   例  3 ;
   アイスクリームの売り上げが伸びると、
  水死者数も、 確実に増える。
   従って、  アイスが、 水死への原因だ。
  
     アイスが、 よく売れるのは、 夏であり、
   水死が増えるのも、 夏だ。
   従って、  夏の暑さが、
  両方の事象への、 共通する原因だ。

   ☆     偶然の一致  ;

     海賊の数が減るにつれて、 同時に、
   地球温暖化が大きな問題となってきた。
    従って、   地球温暖化は、
   海賊の減少が、 原因だ。

  ☆     互いに、一方が、 もう一方の原因  ;

  (   気体は  )  、    圧力が高まるに連れて、
   温度が上昇する。
    従って、    圧力によって、
   温度が高くなっている。
      理想気体の状態方程式
     PV     =     nRT    、    は、
    圧力と温度との関係を示したもので、
   両者には、 相関関係がある。

      質量が変わらない場合には、
    圧力を高くすると、  温度が上がり、
   温度を高くすると、  圧力が上がる。

     この場合において、
  両者は、  独立しておらず、
  直接的な、 比例関係にある。


        ☆   因果関係への判定   ;

    デイヴィッド・ヒューム氏は、
   因果関係は、  経験に基づくとし、
   同様に、 経験は、  未来が、 過去にならう、
   という、  仮定に基づくとし、
   その仮定も、 経験に基づくとした。

      これは、 一種の循環論法だ。
    彼は、  
  「  因果関係は、  
   具体的推論に、 基づかない   」  、 
   と、 結論付け、    観測できる宛ては、
   相関関係だけだとした。

    直観的に、   因果関係には、
   相関関係だけでなく、
   反事実的依存関係
    (   counterfactual   dependence  )   、 も、
   必要 、  と、 思われる。

    例えば、   ある学生の試験の成績が悪く、
   その原因が、  勉強しなかったためだ、
   としよう。
     これを証明するには、
   反事実    (    counterfactual   )   、  として、
   同じ学生が、 同じ環境で、
   同じ試験を受けるが、
    勉強は、 しっかりしてきた場合を想定する。

     実際には、  時間を巻戻して、
    やり直す事は、 できないので、
  その、  因果関係については、 
   正確に知る事は、 できず、
  推測する事しか、 できない。
   
   これを、 「   因果的推論の根本問題   Fundamental Problem of Causal Inference 」、    と呼ぶ。

     科学的実験と統計的手法は、
   世界の、  反事実的状態 、を、
   可能な限りで、  近似することを、
    主な目標の一つ、 としている。

     例えば、   一貫して、   試験で、
   同じ成績をとる、  一卵性双生児 、
   を対象として、  実験を行うとする。

     一方を、   6時間を勉強させ、
   もう一方は、  遊園地で、  遊ばせる。
    その後の試験で、  成績が、
   大きく異なれば、      勉強
  (   あるいは、  遊園地に行く事   )  、が、    
    試験の成績に、   因果的効果をもたらす、
   強い証拠になる。
   このような実験を経れば、
   勉強と、試験の成績の間には、
  因果関係がある、と、  ほぼ確実に言える。

     統計学的手法は、
   個人の等価性の代わりに、
   集団の等価性を用いる。

     そのために、    2つ以上の集団らから、
   無作為に、  標本らを抽出する。

     完全なシステムではないが、
    被験者を無作為に抽出して、
   実際の治療を行う集団と、
   偽薬を与える集団に置き、
   それらな、集団らが、  なるべく、
   あらゆる面で、 等質性を成し合う様にする。

       これによって、
   その治療法と、 偽薬の効果に、
   大きな違いが、 現れれば、
   その治療法には、  その疾病を治療する、
   因果的効果がある、  と、
   結論付けることができる。

     実験結果の有意性を定量化したものを、
  統計用語で、   P値  、   と呼ぶ。