☆ 伝令 リボ 核酸 、と、 タンパク質ら
☆ 三石巌 理論 ;
第3章 ~タンパク質の科学~
分子生物学からみたタンパク質の生合成 ;
☆ 【 タンパク質の四次の構造 】;
第一構造= アミノ酸の順序 ;
夕食の食膳に、 豆腐がでたとしよう。
豆腐の主成分は、タンパク質である。
我々が、それを、 タンパク質を、
摂取する目的で食ったにせよ、
何も考えずに食ったにせよ、
それは、 小腸で、
消化・吸収され、
結局は、 体タンパクに変貌する。
小腸で、 ほとんど残らず、
アミノ酸にまで分解し、
その壁を通過して、 血液にはいり、
しかるべき組織らに、 はこばれ、
そこで、 組織に同化する、
ということだ。
アミノ酸を材料として、
新しいタンパク質が合成された訳である。
夕食に食った豆腐は、 翌朝には、
血となり、 骨となり、 筋肉となり、
脳となり、 肝臓となり、
腎臓 、 となっているだろう。
これらの器官らは、
不断の異化のために、
豆腐のような、
タンパク質の供給を待っているのだ。
このように考えてくると、
タンパク質の生合成は、
いかなるメカニズムによって実現するか、が、 問題になる。
まず、 アミノ酸が、
ペプチド結合によって、つながれた形の、
化合物ポリペプチド、 いや、
タンパク質の具体例をとってみよう。
血液を赤く染める色素を 、
「 ヘモグロビン 」 、 という。
これは、 血色素 、 と訳される、
“複合タンパク” 、 であって、
赤血球におさまっている。
複合タンパク 、とは、
アミノ酸以外の、 原子、 もしくは、
原子団 、 を、ふくむ化学物質であって、
ヘモグロビンの場合には、
鉄化合物な、 ヘム 、 を、 もっている。
この事実は、 ただちに、
タンパク質があっても、
鉄がなければ、
ヘモグロビンの合成ができない、
ことを示しているはずだ。
ところで、 ヘモグロビンは、
ポリ・ペプチドの鎖の4本が、
結合した形の化合物で、
その1本1本に、
1個のヘムがくっついている。
その鎖がまた、 アルファ、 ベータ、
ガンマ、 デルタ 、 の、 4種である。
この鎖を構成する、 アミノ酸の数は、
アルファ 、 が、 141 、
あとの3つが、 146 、 である。
我々な、 成人の、 ヘモグロビン 、 には、
2種があって、
1つは、 アルファ 、と、 ベータが組み、
1つは、 アルファとデルタが組んでいる。
☆ 胎児のヘモグロビンは、 これと違い、
アルファ 、と、 ガンマ 、が組んでいる。
アルファ・ヘモグロビン 、 の、
ポリペプチド鎖を見ると、
アミノ酸の順序は、 次のようだ。
バリン 、 ロイシン 、 セリン 、
プロリン 、 アラニン 、
アスパラギン酸 、 リジン 、
トレオニン 、 アスパラギン・・・。
こうして、 141 、の、 アミノ酸が、
つづくわけだが、
そのうちの1つが違っても、
ヘモグロビンの酸素を運搬する能力に、
多少の狂いが生じる。
このアミノ酸の順序は、
タンパク質にとっても、 何よりも、
大切なものだ。
そこで、 これを、
「 タンパク質の第一構造 、 または 、
一次構造 」 、 という。
第一構造とは、
アミノ酸の順序から見た、
構造のことである。
タンパク質の生合成の焦点は、
アミノ酸を一定の順序にならべて、
つなぐ作業になければならないわけだ。
● “合成組立工場”な、 リボゾーム ;
このアミノ酸を順序にしたがって、
つなぐ作業をする工場は、わかっている。
それは、 細胞のなかにある小器官
―「 リボゾーム 」 、 である。
このものは、 細胞の中心にある、
核につながった、 ミクロゾーム 、
または、 小胞体 、
という名の、 小器官の表面に、
“ごま” 、 を、 まぶしたようなぐあいに、
ちらばっている。
リボゾーム 、は、
雪だるまのような形をした顆粒である。
小胞体には、
リボゾームをまぶしたものと、
そうでないものとの、 2種がある。
前者を、 「 粗面小胞体 」 、
後者を、 「 滑面小胞体 」 、 という。
粗面小胞体は、 ごまがついて、
粗面になっているのだ。
ポリ・ペプチドの鎖は、
粗面小胞体上のリボゾームによって、
合成される。
では、 タンパク質の第一構造とよばれる、 アミノ酸の順序は、何がきめるのだろうか。
リボゾーム 、 には、
その順序を、
暗号で書きこんだ、
テープのようなものが、 送られてくる。
テープ・レコーダーには、
録音テープの音を再生する役目の、
“ヘッド”があるが、
リボゾーム 、 は、
ヘッドのような役割をする。
テープは、 ヘッドにすいよせられて、
用がすめば、 去る。
生体の場合、
録音テープに相当するものを 、
「 メッセンジャー RNA 」 、という。
RNA 、は、
「 リボ 核酸 」 、への異名である。
メッセンジャー RNA 、は、
タンパク質の第一構造のメッセージを、
たずさえて、 小胞体までやってくる。
メッセンジャー RNA 、のことを、
「 mRNA 」 、 と記す、
約束になっている。
mRNA 、の、 テープ 、は、
リボゾーム 、を、 1通過しただけで、
ちぎられてしまう事もあるが、
何回も繰り返して、使われることもある。
☆ ヘモグロビンの場合は、
何日も、 使われる。
● DNAの遺伝情報 ;
では、 mRNA 、 のもつ、
メッセージの発信者は、
どこにいるのだろうか。
それは、 細胞の中にある、
核のなかの染色体にかくれている、
「 DNA 」 、 という、 分子だ。
DNA 、は、「 デオキシリボ核酸 」 、 への略称である。
DNA 、は、
タンパク質の服をきて、
染色体におさまっている、
二重らせん形の、 長い長い分子である。
ここに、 タンパク質の第一構造の、
暗号文があって、
mRNAは、 それを写しとり、
粗面小胞体をとおって、
リボゾームにたどりついたのだ。
我々の血が、赤いのは、
ヘモグロビンがあるためである。
われわれの両親の血も赤い。
我々は、 ヘモグロビンのそのものを、
親から、もらったのではなく、
その製法を、親から教えてもらったのだ。
親は、 その製法を、 暗号で 、
DNA 、 に刻みつけて、
それを、 子に伝えたのである。
生体に備わる、 すべての要素、ら、
すなわち、 体形から、
生理機能にいたるまでの、
すべての要素らは、
多少の変化はあるにしても、
親ゆずりである。
遺伝である。
そして、 遺伝情報の担い手を 、
「 遺伝子 」 、 という。
遺伝子は、 DNA分子上にあったのだ。
このことを発見したのは 、
アメリカの生物学者な、 ワトソンと、
イギリスの物理学者な、クリックとである。
2人の20歳代の科学者の協力によって、
この20世紀で、 最大の発見が、
なされたのであった。
DNA分子は、 ひじょうに長い。
その長い分子のなかに、
多くの遺伝情報らが、こめられている。
1つのDNA分子のなかに、
いくつもの遺伝情報の暗号文らが、
つながって、おさめられているわけだ。
ヘモグロビンをつくらなければ、
ならなくなると、
DNA分子のなかの、
ヘモグロビンの製法を記した部分の暗号が、 転写される。
mRNAは、 転写暗号をたずさえ、
核をでて、
リボゾームへゆく段取りとなる。
リボゾームには、
アミノ酸を、 1個ずつを、かついだ、
運び屋がいる。
リボゾームに、たとえば、
バリンの暗号部が吸着した状態になると、
バリンをかついだ運び屋が、 そこへきて、 バリンをおいてゆく。
運び屋のことを 、
「 トランスファー RNA 」 、 といい、
これを、 「 tRNA 」 、 と記す。
tRNA 、 は、 アミノ酸と結合した、
RNA分子である。
バリンの次に、
リボゾームに吸い寄いよせられる暗号が、
ロイシン 、 だったとしよう。
すると、 ロイシン 、 をかついだ 、
tRNA 、が、
リボゾームのところにきて、
すでに、かつぎこまれてある、
バリン 、に接して、 ロイシン 、 をおく。
これで、 バリンに、 ロイシンが、
つながるのである。
このようにして、
バリン、ロイシンのつぎに、 セリン 、が、
そして、 プロリンが、
という順序につながれば、
アルファ・ヘモグロビン 、が、
できあがってゆくわけだ。
以上の事実からして、
タンパク質の第一構造を記憶した遺伝子、 すなわち、 「 構造遺伝子 」 、の、
存在が、想像される。
ヘモグロビン 、 についていえば、
成人の場合、
それを構成する、 ペプチド鎖は、
アルファ、ベータ、デルタ 、の、
3種もなければならないが、
それぞれに、 第一構造、 すなわち、
アミノ酸の順序が違うのであるから、
構造遺伝子 、も、 3種が、あるはずだ。
この3つの暗号らは、 たぶん、
1本のテープへ一緒に入っているだろう。
そのテープの名は、 mRNA 、だが、
1つの、 mRNA 、に、
20も30も、 暗号文らが記録される、
ことがある。
☆ ヘモグロビンの場合、
3つのペプチド鎖たちが、 同時に、
必要なのだから、
これらを、 1連の暗号文として、
つなぐほうが、 好都合だろう。
しかし、 現実の要求からすると、
アルファ 、が、 50 % 、
ベータ 、が、 47.5 % 、
デルタ 、が、 2.5 % 、で、
なければ、ならないから、
事情は、 あまり単純ではない。
これと比べると、
毛髪のようなものは、 単純だ。
その構造を見ると、
表皮、 中質、 髄の、 3つの部分があり、
そこに、 色素メラニン 、がある。
それらが、 同時に、つくられなければ、
黒い毛は、伸びないわけだ。
すると、 少なくとも、
これらに対応する、 4つの構造遺伝子らが、 つながって、
1つの 、 mRNA 、に、
おさまっていなければならないだろう。
毛髪を構成する、 4つの物質らを見ると、
表皮、中質、 髄の3者は、
タンパク質であるが、
メラニンは、 タンパク質ではない。
したがって、
リボゾームでつくられるものは、
メラニンではなく、
それを合成する、 酵素 コウソ
、 でなければならない。
ビードル・テータムの法則では、
1遺伝子で、 1酵素とするが、
厳密にいえば、
1遺伝子で、 1タンパクのほうが、
正しいだろう。
ここに示した例では 、
遺伝子は、 構造タンパクと、
酵素タンパク 、とへの暗号を担っている。
【 三石巌 高タンパク健康法(絶版)
P80~P88より抜粋 】
元記事は、 こちら
https://www.facebook.com/tokumi.fujikawa/posts/1444454465670873