イノシトール

ビタミン様物質で、リン脂質の構成物質。
ビタミンB 群の仲間として、分類されることもある。
脂肪の流れを良くして、体の中に脂肪が溜まらないようにする働きがあることから、
「抗脂肪肝ビタミン」とも呼ばれる。
この成分が欠乏すると、肝機能の低下を招き、抜け毛の原因となる。
ビタミンB群の1種とも言われており、ヒトの場合、糖尿病などが原因で、体内でイノシトールが不足すると、神経症状が起こるなどの悪影響が知られている。
  イノシトールは、無色の結晶であり、これを口にすると、ヒトには甘く感じられる。
  イノシトールは、地球上の生物の生体成分の1つとして、グルコースを原料として生合成される。
 このため、例えば、穀物の糠や豆類や果物といった植物にも含まれるし、動物の肉や魚などにも含まれるなど、地球上の多くの生物の体内に含有されている。
また、多くの植物の種子などに含まれることが、知られている、フィチン酸は、イノシトールの持つ、 6個のヒドロキシ基の、全てが、 リン酸エステルとなった構造をしており、これは、 植物の組織内での、リン酸の貯蔵形態として知られている。
この他では、 ヒトのグリア細胞や神経細胞は、細胞の浸透圧の調整に、イノシトールも、オスモライトとして利用されていることが、知られている。
もしも、 数日以上を続く、細胞外液の浸透圧の上昇があれば、それに対抗するために、細胞内に、イノシトールを蓄積させて、細胞内の浸透圧を上げることで、細胞内の水分を保持しようとする。
このグリア細胞や神経細胞における、イノシトールの濃度の変化には、数日を要するために、長く続いた細胞外液の浸透圧が高い状態を、もしも、急激に補正するようなことをしてしまうと、すぐには、蓄積させたイノシトールを細胞外に捨てることができないゆえに、細胞内に水が流入して、脳浮腫を起こす可能性があることも知られているので、この補正は、時間をかけて行わなければならない。
逆に、 数日以上を続く細胞外液の浸透圧の低下があれば、細胞内のイノシトールを減らして、浸透圧を下げて、細胞内への水分の流入を阻止しようとする、など、全く逆のことが起こるので、
やはり、 補正には、 時間をかけなくなてはならない。
なお、脂肪肝や高脂血症の治療に用いられる。
また、セロトニン異常に起因する、
うつ病、パニック障害、強迫性障害への治療に役立つとする、研究報告もある❗。
 イノシトールには、ヒドロキシ基の位置により、  9種類の異性体が存在する。
最も一般的なものは、myo-イノシトール (  ミオ・イノシトール  ) である。
myo-イノシトール(ミオイノシトール)は、自然界の各種の食品に含まれている。
ただし、名前が挙げられた食品でも、体内に吸収され利用され得る、
レシチン
(  ホスファチジルイノシトールや、ホスホイノシタイドなど   )    、の形態と、
穀物に含まれているが、 利用不可能な、
フィチン酸とを、 必ずしも常に区別していない。
イノシトールは、 通常は、腎臓の、糸球体より排泄され、 尿細管で再吸収されるが、高血糖状態においては、 ブドウ糖、な、 グルコース 、 と競合するために、再吸収されず、尿中への排泄量が増加する。
その結果において、体内のイノシトール量が低下し、ポリオール代謝異常によって、糖尿病性の神経の障害を成し得る。
  イノシトールは、パニック障害や強迫性障害の患者が服用することで、その症状を緩和する作用が報告されている。特に、不安感の発生頻度とその程度を、顕著に低下させる効果があるとされる。
二重盲検試験によると、18gのイノシトール摂取によってパニック障害及び、強迫性障害の症状が軽減したと報告されている。 
また、フルボキサミンより症状の軽減に効果があったとする論文報告もある。
イノシトールのうつ病に対する効果も検証されており、12gのイノシトールへの摂取によって、うつ病の症状が改善した、との臨床結果も報告されている。毒性は、比ぶるに低い、と考えられている。