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☆ 百人一首を現代語に訳していくやで~【前編】
2016/ 9/16 18:30
1: \(^o^)/ 2016/ 9/16
秋の田の かりほの庵 イオ の
苫 トマ をあらみ わが衣手は
露にぬれつつ
秋に、 田んぼから刈り取った、
稲穂を貯蔵する倉の、 屋根の目が、粗いので、
穂らが、 露に濡れてしまっている。
それと同じように、
私の衣も、民を哀れに思って、
しっとりと、 涙で濡れていることだ。
2: 春過ぎて 夏来にけらし 白妙の
衣干すてふ 天の香具山
春が過ぎて、夏が来たようだわ。
夏になれば、 真っ白な衣を干す、 という、
天の香久山に、 白い衣が干してあるのですもの
≒ 白い雲らが、 棚引いてもある様か ❓ 。
3: あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
長々し夜を ひとりかも寝む
ヤマドリの垂れ下がった尾のように、
長い長い夜を、 一人で寝る事だよ。
4: 田子の浦に うち出でて見れば 白妙の
富士の高嶺に 雪は降りつつ
田子の浦に出て来てみたらば、
白く美しい 富士の山の高峰に、
雪が降り続けていることだ。
5: 奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の
声聞く時ぞ 秋は悲しき
奥深い山に散った、 もみじの葉っぱを
踏みしだきながら、 鳴く鹿の声を聴くと、
なおさらに、 秋は、 悲しい、 と思われる事だ。
6: 鵲 カササギ の 渡せる橋に 置く霜の
白きを見れば 夜ぞ更けにける
かささぎの止まっている橋の上に、
降りている霜が、 真っ白な様を見ると、
夜も更けたのだなと、 感ぜられることよ。
9: 天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも
大空の原っぱと、 ふるさとの事とを、
振り返って見れば、 月が見える。
その月は、 奈良の三笠の山にのぼる月と、
同じ月なのだ。
@ >>9
これ、 すき
10: 我が庵は 都の辰巳 タツミ
しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり
私の庵 イオリ は、
京都の南東にあり、
そこに、 こうして暮らしている。
世を捨てた人の住む、 宇治山と、
人々は、 うわさしている事よ。
12: 花の色は 移りにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに
長雨にうたれて、 花が空しくも色あせるように、
私の美貌も失われてしまった事だわ。
私の身に降りかかる、
あれこれを気にかけている間に。
13: これやこの 行くも帰るも 別れては
知るも知らぬも あふ坂の関
これだよ、これ。 行く人も帰る人も、
別れていき、
知っている人も、知らない間柄の人も、
会ってゆく。 これぞ、 逢坂の関だよ。
15: わたの原 八十島 ヤソジマ かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ
海人 アマ の釣船
私が乗った船は、 海原に点在する、
多くの島らを目指して、 こぎ出していったと、
あの人に伝えておくれ、
釣り船に乗っている漁師さん。
17: 天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ
乙女の姿 しばしとどめむ
空を吹き抜ける風よ、
雲の通り道を封じておくれ。
美しい舞姫たちの姿を、しばらくの間、
そのままで、 見ていたいのだ。
18: 筑波嶺 ツクバネ の 峰より落つる
みなの川 恋ぞ積もりて 淵となりぬる
筑波山の峰から、こぼれ落ちる水滴らが、
やがて、 川になるように、
私の恋は、 思いが、 積もりに積もって、
深い淵となることだ。
@ >>17と>>18
ホント好き
19: 陸奥 ミチノク の しのぶもぢずり
たれゆえに 乱れそめにし われならなくに
東北の織物ではないが、
私の恋心は、 誰のせいで、 織物のように、
乱れていることか。
私のせいでは、 断じてないのだよ。
22: 君がため 春の野に出でて 若菜摘む
わが衣手 コロモデ に 雪は降りつつ
あなたのために、 春の野に出て、
若芽の萌えた山菜を摘む、 私の衣に、
雪は、降り続けている事よ。
23: 立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば 今帰り来む
あなたとは、 ここで、お別れだが、
稲葉山の峰に生えている松ではないが、
あなたが、 待つ、 と、 おっしゃってくれれば、
いつでも、帰るつもりだ。
24: ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは
太古の神々が居られた時代の事としても、
聞かぬことだ。
もみじらが散って、 川にたまり、
竜田川を、真っ赤に染め上げるとは。
25: 住の江の 岸に寄る波 よるさへや
夢の通ひ路 人目よ くらむ
住吉の河の岸辺による波のように、
夜に見る夢での、 逢引の道ですら、
私は、 人目を避けている事よ、 なにゆえに?
29 難波潟 ナニワガタ 短き蘆の ふしの間も 逢はで この世を 過ぐしてよ とや
難波の干潟に生える葦の節のように、
短い時間ですら、
あなたと会う事もなく、
この世を生きろとおっしゃるのですか? 酷い事。
32: わびぬれば 今 はた おなじ 難波なる
みをつくしても 逢はむとぞ思ふ
このように、 悲しい思いをしているのであれば、
今会うのも、同じことだ。
難波の澪標 ミオツクシ のように、
身をつくして、
あなたに会いたいと思う事だよ。
34: 今来むと いひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな
「 今行きますわ 」 と言ったのを信じて、
あなたを待っていたら、
有明に、月が浮かぶまでに、
長い間を待ち続けた事よ。
37: 吹くからに 秋の草木の しをるれば
むべ 山風を あらしといふらむ
吹いては、 秋の草が、しおれ、
吹いては、 秋の木は、たわむ。
なるほど、 山に吹く風を、
嵐とは、 よく言ったものだ。
38: 月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど
月を見れば、 心は、散り散りとなり、
悲しい事だ。
私一人のために用意された、
秋ではない、というのに。
40: このたびは 幣 ヌ も取りあへず
手向 タムケ 山 紅葉の錦 神のまにまに
せっかくいらして下さったのに、
何も、おもてなしをできなくて、
申し訳ない事です。
せめて、手向山に散るもみじが、
錦のように美しくある様を、 神の思いのままに、
お受け取り下さい。
41: 名にし負はば 逢う坂山の さねかずら
人に知られで 来るよしもがな
その名を背負っているのならば、
逢坂の関に生える、 さねかずらよ、
他人に知られずに、 あの人の元へ行く方法を
教えてほしいものだよ。
42: 小倉山 峰の紅葉葉 心あらば
いまひとたびの みゆき待たなむ
帝が、行幸 ミユキ をなさる。
小倉山の峰に生える、 もみじの葉達よ、
お前たちに、思いやる心があるのなら、 散らずに、 もう一度、 陛下を待っていて欲しい事よ。
43: みかの原 わきて流るる いづみ川
いつ見きとてか 恋しかるらむ
みかの原から湧き、 流れとなる、
いづみ川ではないが、
その川のように、 いつ見たからといって、
こんなに、恋しい気持ちになるのだろうか。
45: 山里は 冬ぞ寂しさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば
冬の山里は、寂しさが一層つのることだ。
草も枯れ、 尋ねに来る人も遠ざかった事よ、と、
思うと。
46: 心あてに 折らばや折らむ 初霜の
置きまどはせる 白菊の花
心のままに、 折ってみようか。
今年の初めての霜が降りて、
雪と区別のつかなくなっている、 白い菊の花を。
47: 有明の つれなく見えし 別れより
暁ばかり 憂きものはなし
有明の月に照らされて、
私は、 あなたに振られました。
それ以来、 朝より、 心憂いものはないのですよ。
48: 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに
吉野の里に 降れる白雪
まだ、 明けきらぬ朝に、 まるで、
有明にのぼる月のように、
吉野に、 雪が降り積もり、 輝いている事よ。
☆ 山川に 風のかけたる しがらみは
流れもあへぬ 紅葉なりけり
山といわず、川と言わず、
風がかけていった、 柵 シガラミ は、
川の流れをものともしない、
紅葉であることなのだなあ。
50: ひさかたの 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ
ひさしぶりに 光が、 のどかに差している
春の日に、 どうして、 桜の花は、
落ち着いた心が無い様に、散っていくのだろう。
52: 誰をかも 知る人にせむ 高砂
タカサゴ の 松も昔の 友ならなくに
みんな逝ってしまった。
誰を友としようか、
高砂に生える松ですら、 昔ながらの友ではない、
というのに。
54: 人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香に匂ひける
人の心というものは、 本当に、
うつろいやすいものです。
ただ、 ふるさとにおいてだけは、
花が、 昔と同じように、 香っていることですね。
55: 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
雲のいずこに 月宿るらむ
夏に、 まだ、 夜中だと思っていたのに、
もう、 夜が明けてしまった。
月よ、 お前は、 雲のどこに隠れているのだろうね。
56: 白露に 風の吹きしく 秋の野は
つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける
秋の野に、風が、 白い露たちを飛ばしながら
吹き付けている。
まるで、 玉らを貫いて止めていた、
ひもが切れた首飾りの、
玉らが、こぼれて、 散ってあるかの様な、
白露らだ。
57: 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし
人の命の 惜しくもあるかな
あなたに忘れられた、
この私の事は、どうでもよいのです。
私と固く誓った、 あなたの命が長くない事が、
惜しいのですわ。
59: 浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど
あまりて などか、 人の恋しき
浅茅生の小野の篠原ではないが、
じっと耐えているのに、
思いがあふれ、 なぜ、 こんなにも、
人が恋しくてたまらぬのだろう。
60: だいたいが、 現代語のが長くなるんやな
61: 忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は
ものや思ふと 人の問ふまで
じっと耐えているのに、 私の恋心は、
どうやら、 顔色に出てしまったようだ。
物思いでもしているのか、と、
人々が問うようになるまでに。
62: 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり
人知れずこそ 思ひそめしか
どうやら、 恋しているらしい、 と、
私は、 うわさになっているらしい。
人には、 知られぬように、
あの人への思いを密かにしていたのに。
64: 契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波越さじとは
涙を含んだ袖をしぼりながら、
約束しましたよね。
行く末に待っている事として、
松山を、 波が越さぬように、
他の人へ、思いを移さぬようにと。
66: 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば
昔はものを 思はざりけり
恋が成就した後の、 乱れる思いと比べると、
昔は、 何の物思いもせずにいたことよ。
68: 逢ふことの 絶えてしなくは
なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
この世に恋と言うものがなければ、
人を恨むことも、 自分を責める事も
なかったであろうに。
70: あはれとも いふべき人は 思ほえで
身のいたずらに なりぬべきかな
私を愛してくれる人などいない。
私は、 こうして、寂しく死んでいくのでしょうよ。
72: 由良の門 ト を 渡る舟人 かぢを絶え
ゆくへも知らぬ 恋のみちかな
由良の門を渡る漁師が、 舵を失って、
まごつくかのように、
行き先も分からない、
それが、 恋と言うものなのだなあ。
74: 八重むぐら 茂れる宿の 寂しきに
人こそ見えね 秋は来にけり
八重むぐらが生い茂る宿が、
八重むぐらが、賑 ニギ わしてくれているがゆえに、 かえって、 いかにも、 寂しい事よ。
訪ねてくれる人もいないが、
秋だけは、 来てくれたのだなあ。
76: 風をいたみ 岩打つ波の おのれのみ
くだけてものを 思ふころかな
激しい風のために、 波が、 岩を打っていく。
そのように、 自らの心を砕いて、
愛しい人を思う、 我が身であることよ。
77: 御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え
昼は消えつつ ものをこそ思へ
衛兵の焚火のように、 夜は燃え、
昼になると消え、 物思いに悩む、私の恋心よ。
79: 君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな
惜しくないと思っていた命だというのに、
あなたのために、 長くあってほしい、 と、
思うようになったことよ。
☆ 百人一首を現代語に訳していくやで~【前編】
2016/ 9/16 18:30
1: \(^o^)/ 2016/ 9/16
秋の田の かりほの庵 イオ の
苫 トマ をあらみ わが衣手は
露にぬれつつ
秋に、 田んぼから刈り取った、
稲穂を貯蔵する倉の、 屋根の目が、粗いので、
穂らが、 露に濡れてしまっている。
それと同じように、
私の衣も、民を哀れに思って、
しっとりと、 涙で濡れていることだ。
2: 春過ぎて 夏来にけらし 白妙の
衣干すてふ 天の香具山
春が過ぎて、夏が来たようだわ。
夏になれば、 真っ白な衣を干す、 という、
天の香久山に、 白い衣が干してあるのですもの
≒ 白い雲らが、 棚引いてもある様か ❓ 。
3: あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
長々し夜を ひとりかも寝む
ヤマドリの垂れ下がった尾のように、
長い長い夜を、 一人で寝る事だよ。
4: 田子の浦に うち出でて見れば 白妙の
富士の高嶺に 雪は降りつつ
田子の浦に出て来てみたらば、
白く美しい 富士の山の高峰に、
雪が降り続けていることだ。
5: 奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の
声聞く時ぞ 秋は悲しき
奥深い山に散った、 もみじの葉っぱを
踏みしだきながら、 鳴く鹿の声を聴くと、
なおさらに、 秋は、 悲しい、 と思われる事だ。
6: 鵲 カササギ の 渡せる橋に 置く霜の
白きを見れば 夜ぞ更けにける
かささぎの止まっている橋の上に、
降りている霜が、 真っ白な様を見ると、
夜も更けたのだなと、 感ぜられることよ。
9: 天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも
大空の原っぱと、 ふるさとの事とを、
振り返って見れば、 月が見える。
その月は、 奈良の三笠の山にのぼる月と、
同じ月なのだ。
@ >>9
これ、 すき
10: 我が庵は 都の辰巳 タツミ
しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり
私の庵 イオリ は、
京都の南東にあり、
そこに、 こうして暮らしている。
世を捨てた人の住む、 宇治山と、
人々は、 うわさしている事よ。
12: 花の色は 移りにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに
長雨にうたれて、 花が空しくも色あせるように、
私の美貌も失われてしまった事だわ。
私の身に降りかかる、
あれこれを気にかけている間に。
13: これやこの 行くも帰るも 別れては
知るも知らぬも あふ坂の関
これだよ、これ。 行く人も帰る人も、
別れていき、
知っている人も、知らない間柄の人も、
会ってゆく。 これぞ、 逢坂の関だよ。
15: わたの原 八十島 ヤソジマ かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ
海人 アマ の釣船
私が乗った船は、 海原に点在する、
多くの島らを目指して、 こぎ出していったと、
あの人に伝えておくれ、
釣り船に乗っている漁師さん。
17: 天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ
乙女の姿 しばしとどめむ
空を吹き抜ける風よ、
雲の通り道を封じておくれ。
美しい舞姫たちの姿を、しばらくの間、
そのままで、 見ていたいのだ。
18: 筑波嶺 ツクバネ の 峰より落つる
みなの川 恋ぞ積もりて 淵となりぬる
筑波山の峰から、こぼれ落ちる水滴らが、
やがて、 川になるように、
私の恋は、 思いが、 積もりに積もって、
深い淵となることだ。
@ >>17と>>18
ホント好き
19: 陸奥 ミチノク の しのぶもぢずり
たれゆえに 乱れそめにし われならなくに
東北の織物ではないが、
私の恋心は、 誰のせいで、 織物のように、
乱れていることか。
私のせいでは、 断じてないのだよ。
22: 君がため 春の野に出でて 若菜摘む
わが衣手 コロモデ に 雪は降りつつ
あなたのために、 春の野に出て、
若芽の萌えた山菜を摘む、 私の衣に、
雪は、降り続けている事よ。
23: 立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば 今帰り来む
あなたとは、 ここで、お別れだが、
稲葉山の峰に生えている松ではないが、
あなたが、 待つ、 と、 おっしゃってくれれば、
いつでも、帰るつもりだ。
24: ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは
太古の神々が居られた時代の事としても、
聞かぬことだ。
もみじらが散って、 川にたまり、
竜田川を、真っ赤に染め上げるとは。
25: 住の江の 岸に寄る波 よるさへや
夢の通ひ路 人目よ くらむ
住吉の河の岸辺による波のように、
夜に見る夢での、 逢引の道ですら、
私は、 人目を避けている事よ、 なにゆえに?
29 難波潟 ナニワガタ 短き蘆の ふしの間も 逢はで この世を 過ぐしてよ とや
難波の干潟に生える葦の節のように、
短い時間ですら、
あなたと会う事もなく、
この世を生きろとおっしゃるのですか? 酷い事。
32: わびぬれば 今 はた おなじ 難波なる
みをつくしても 逢はむとぞ思ふ
このように、 悲しい思いをしているのであれば、
今会うのも、同じことだ。
難波の澪標 ミオツクシ のように、
身をつくして、
あなたに会いたいと思う事だよ。
34: 今来むと いひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな
「 今行きますわ 」 と言ったのを信じて、
あなたを待っていたら、
有明に、月が浮かぶまでに、
長い間を待ち続けた事よ。
37: 吹くからに 秋の草木の しをるれば
むべ 山風を あらしといふらむ
吹いては、 秋の草が、しおれ、
吹いては、 秋の木は、たわむ。
なるほど、 山に吹く風を、
嵐とは、 よく言ったものだ。
38: 月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど
月を見れば、 心は、散り散りとなり、
悲しい事だ。
私一人のために用意された、
秋ではない、というのに。
40: このたびは 幣 ヌ も取りあへず
手向 タムケ 山 紅葉の錦 神のまにまに
せっかくいらして下さったのに、
何も、おもてなしをできなくて、
申し訳ない事です。
せめて、手向山に散るもみじが、
錦のように美しくある様を、 神の思いのままに、
お受け取り下さい。
41: 名にし負はば 逢う坂山の さねかずら
人に知られで 来るよしもがな
その名を背負っているのならば、
逢坂の関に生える、 さねかずらよ、
他人に知られずに、 あの人の元へ行く方法を
教えてほしいものだよ。
42: 小倉山 峰の紅葉葉 心あらば
いまひとたびの みゆき待たなむ
帝が、行幸 ミユキ をなさる。
小倉山の峰に生える、 もみじの葉達よ、
お前たちに、思いやる心があるのなら、 散らずに、 もう一度、 陛下を待っていて欲しい事よ。
43: みかの原 わきて流るる いづみ川
いつ見きとてか 恋しかるらむ
みかの原から湧き、 流れとなる、
いづみ川ではないが、
その川のように、 いつ見たからといって、
こんなに、恋しい気持ちになるのだろうか。
45: 山里は 冬ぞ寂しさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば
冬の山里は、寂しさが一層つのることだ。
草も枯れ、 尋ねに来る人も遠ざかった事よ、と、
思うと。
46: 心あてに 折らばや折らむ 初霜の
置きまどはせる 白菊の花
心のままに、 折ってみようか。
今年の初めての霜が降りて、
雪と区別のつかなくなっている、 白い菊の花を。
47: 有明の つれなく見えし 別れより
暁ばかり 憂きものはなし
有明の月に照らされて、
私は、 あなたに振られました。
それ以来、 朝より、 心憂いものはないのですよ。
48: 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに
吉野の里に 降れる白雪
まだ、 明けきらぬ朝に、 まるで、
有明にのぼる月のように、
吉野に、 雪が降り積もり、 輝いている事よ。
☆ 山川に 風のかけたる しがらみは
流れもあへぬ 紅葉なりけり
山といわず、川と言わず、
風がかけていった、 柵 シガラミ は、
川の流れをものともしない、
紅葉であることなのだなあ。
50: ひさかたの 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ
ひさしぶりに 光が、 のどかに差している
春の日に、 どうして、 桜の花は、
落ち着いた心が無い様に、散っていくのだろう。
52: 誰をかも 知る人にせむ 高砂
タカサゴ の 松も昔の 友ならなくに
みんな逝ってしまった。
誰を友としようか、
高砂に生える松ですら、 昔ながらの友ではない、
というのに。
54: 人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香に匂ひける
人の心というものは、 本当に、
うつろいやすいものです。
ただ、 ふるさとにおいてだけは、
花が、 昔と同じように、 香っていることですね。
55: 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
雲のいずこに 月宿るらむ
夏に、 まだ、 夜中だと思っていたのに、
もう、 夜が明けてしまった。
月よ、 お前は、 雲のどこに隠れているのだろうね。
56: 白露に 風の吹きしく 秋の野は
つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける
秋の野に、風が、 白い露たちを飛ばしながら
吹き付けている。
まるで、 玉らを貫いて止めていた、
ひもが切れた首飾りの、
玉らが、こぼれて、 散ってあるかの様な、
白露らだ。
57: 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし
人の命の 惜しくもあるかな
あなたに忘れられた、
この私の事は、どうでもよいのです。
私と固く誓った、 あなたの命が長くない事が、
惜しいのですわ。
59: 浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど
あまりて などか、 人の恋しき
浅茅生の小野の篠原ではないが、
じっと耐えているのに、
思いがあふれ、 なぜ、 こんなにも、
人が恋しくてたまらぬのだろう。
60: だいたいが、 現代語のが長くなるんやな
61: 忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は
ものや思ふと 人の問ふまで
じっと耐えているのに、 私の恋心は、
どうやら、 顔色に出てしまったようだ。
物思いでもしているのか、と、
人々が問うようになるまでに。
62: 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり
人知れずこそ 思ひそめしか
どうやら、 恋しているらしい、 と、
私は、 うわさになっているらしい。
人には、 知られぬように、
あの人への思いを密かにしていたのに。
64: 契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波越さじとは
涙を含んだ袖をしぼりながら、
約束しましたよね。
行く末に待っている事として、
松山を、 波が越さぬように、
他の人へ、思いを移さぬようにと。
66: 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば
昔はものを 思はざりけり
恋が成就した後の、 乱れる思いと比べると、
昔は、 何の物思いもせずにいたことよ。
68: 逢ふことの 絶えてしなくは
なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
この世に恋と言うものがなければ、
人を恨むことも、 自分を責める事も
なかったであろうに。
70: あはれとも いふべき人は 思ほえで
身のいたずらに なりぬべきかな
私を愛してくれる人などいない。
私は、 こうして、寂しく死んでいくのでしょうよ。
72: 由良の門 ト を 渡る舟人 かぢを絶え
ゆくへも知らぬ 恋のみちかな
由良の門を渡る漁師が、 舵を失って、
まごつくかのように、
行き先も分からない、
それが、 恋と言うものなのだなあ。
74: 八重むぐら 茂れる宿の 寂しきに
人こそ見えね 秋は来にけり
八重むぐらが生い茂る宿が、
八重むぐらが、賑 ニギ わしてくれているがゆえに、 かえって、 いかにも、 寂しい事よ。
訪ねてくれる人もいないが、
秋だけは、 来てくれたのだなあ。
76: 風をいたみ 岩打つ波の おのれのみ
くだけてものを 思ふころかな
激しい風のために、 波が、 岩を打っていく。
そのように、 自らの心を砕いて、
愛しい人を思う、 我が身であることよ。
77: 御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え
昼は消えつつ ものをこそ思へ
衛兵の焚火のように、 夜は燃え、
昼になると消え、 物思いに悩む、私の恋心よ。
79: 君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな
惜しくないと思っていた命だというのに、
あなたのために、 長くあってほしい、 と、
思うようになったことよ。