3月24日に閉幕した米女子ゴルフツアーの起亜クラシック
(米カリフォルニア州カールズバッド、アビアラGC=パー72)で、
日本勢5選手が顔をそろえたが、宮里美香、有村智恵が予選落ち。
決勝ラウンドに進んだ宮里藍はグリーンに手こずり一度も上位に浮上できずの
24位に終わった。
最終日にショットの正
確性を示すパーオン率は88%だったように
シーズン初めからの好調を持続していたものの、パット数は34と4日間で最多をたたいた。
西海岸特有の芝に翻弄される結果となり
「踏んだり蹴ったり」と苦笑混じりに振り返ったほどだ。
一方、競技とは別に、昨季覇者で前週に世界ランキング1位から転落した
ヤニ・ツェン(台湾)が寝坊でプロアマを欠場したことで、
本大会に出場できなくなる珍事があった。
■パットの名手がグリーンで苦戦
前週、最終日にステーシー・ルイス(米国)の猛追で今季の初優勝を逃した宮里藍。
それでも2位に
「感触は上々です。パッティングも本当に好調ですし、私自身のコントロールもできました」
と心技体で充実していることをうかがわせていた。
それだけに、起亜クラシックのプレーぶれが注目された。
しかし、初日のスタートホールの1番(パー4)から3パットと、
グリーンに苦戦させられる予兆を感じさせた。
グリーンは西海岸特有のポアナ芝。ベント芝に比べて根が深く、密集していて、
グリーンの速さ、方向とも一定になりにくく、ベント芝に比べて数段難しいといわれる。
ただ宮里は「もう米ツアー8年目。すっかり慣れた」と初めは気にしていなかった。
宮里の最近3年の平均パット数は、2010年1・730で1位、11年1・756で2位、
12年1・767で5位と安定した結果を残してきた。
今年もステーシー・ルイスが宮里のパッティングの素晴らしさを評価したほど、
選手間にも認識されている。
初日終了後
「やっとパットのフィーリングもつかめた。
グリーンの読みは難しいけど、もう少し攻めていきたい」
と前向きな言葉が出ていた。
ところが、2日目は30パット。
「ショットは安定していた。グリーンが難しいけど、かみ合えばスコアは出る」
と、まだ修正できる範囲との認識を持っていた。
しかし、3日目。
3バーディー、3ボギーのパープレーにもパット数は31だった。
「独特の転がりで、カップ周辺の切れ方が一定していない」。
3日間プ
レーしても芝目の傾向を捉えきれず、いらつく思いが伝わってくる。
ついには
「このグリーンで入る、入らないは自分でコントロールできない」とぼやくほどだ。
「我慢強くいく」とメンタル面でカバーするしかないと決意をのぞかせた。
だが、最終日も「我慢強く」も実らない。
スタート2ホール目でバーディーを奪う幸先の良さだったが、
4番では
「返し(のパット)は通ったライン通りに打ったのに、今度は切れなかった」
とボギーに。
5番では5メートル、7、8番では3メートルのパットがカップをかすめていき、
無情にもカップは遠い。
「チャンスを生かせず残念」は正直な感想だ。
やっと15番で6メートル、16番で4メートルを決めてバーディーを奪ったことで、
少しは溜飲を下げたのではないか。
「バーディーチャンスはたくさんあったのに、グリーン上で苦戦した。
もう少しチャンスを生かせればよかった」
としつつも
「ポジティブに考えると、ショットの調子はいい。
このショットの調子が維持できて気持ちをコントロールできれば結果はついてくる」
と言葉通りに前向きに状態を捉える。
4月4日に開幕する今季のメジャー第1戦となるクラフト・ナビスコ選手権を見据えれば、
逆にこのパットの苦戦が生きることを期待したい。
■世界NO1はつらいよ
一方、本戦を前にして伝えられたヤニ・ツェンの欠場。
何があったのといぶかったが、寝坊によるプロアマの欠場とは…。
ヤニは
「お恥ずかしい話ですが、昨晩体調がすぐれず、うっかり寝過ごしてしまい、
今朝のプロアマ大会のティータイムを欠席しました。
今大会で2連覇を果たすことで世界女王の座奪還に努めることに意欲を持っていました。
残念ながら自分の過ち。
来年戻ってくることを楽しみにしています」
とコメントを出した。
昨年、2戦目で優勝すると、4、5戦と連勝。
クラフト・ナビスコを3位とし、調子のよさをアピールしていたヤニだったが、
徐々にスイングを崩すと勝利から遠ざかり、中盤には2戦連続予選落ちと
“女王”らしさを失っていた。
腕にテービングを施していたシーンも見た。
「クラブを思い切り振りすぎていることが
不振の要因」
という声も聞こえた。
ただ終盤にはハナバンク選手権で3位になると、3、4位と続け、復調をうかがわせた。
そして、今季。
開幕戦で2位に入ると、続くホンダLPGAタイで3位と好スタートを切るかに見えた。
しかし、HSBC女子チャンピオンズでは28位、RRドネリー・ファウンダーズは59位に
終わり、ステーシー・ルイスに世界ランキング1位を奪われた。
1位を守ろうとする無理が心技体に負荷をかけているのかと思っていると、
宮里藍がこんなことを語っていた。
「世界NO1の座は確かに大きなプレッシャー
がかかります。
ですから、ヤニの言っていること(「世界NO1の座はプレッシャーが大きい」)は
よく分かります。
同じ世界NO1でもヤニと私の立場は少し違っていました。
ロレーナ・オチョアが引退した直後、5人のトッププレーヤーがNO1になるチャンスがあり、
私はその1人に過ぎなかった。
ヤニの場合は数年間、NO1の座についていて、しかも年齢が若いでしょ。
彼女は一生懸命やっていますが、今はちょっと本調子ではないようなので、
大変だと思います」。
良いプレーをしなければと、自意識過剰になると宮里もいう。
そのプレッシャーに耐えて、聖人君子を演じ続けてNO1でいたタイガー・ウッズも
どこかで精神の平衡を失い、数年前のスキャンダルの根源に知らずに至ったのではと
おもんぱかってしまった。
【産経新聞】