生きていく上で欠かすことのできない塩。一定量を取らなければならない食品だけに、表示のことも知っておきたいものです。
1997年に塩の専売制度が廃止されて以来、さまざまな商品を手にできるようになりました。それでも、大きく分けると「岩塩」「天日塩」「せんごう塩」の3つなのです。
「岩塩」は地中深くから掘り出したもので、ほぼ外国産。「天日塩」は塩田で海水を蒸発させて作った塩で、こちらもほぼ輸入品です。「せんごう塩」は釜で炊いて作った塩のことで、国産のほぼ全てがこれ。海水を煮詰めて作ります。
もっとも、塩分濃度が3%程度の海水だけでは効率が悪いので、輸入品の安い天日塩を日本の海水に溶かし、泥や砂を取り除いた上で再結晶させる商品もあります。この製法は有害とはいえませんが、日本の地名を冠したブランド塩でも、原材料はメキシコやオーストラリアの格安の天日塩というケースがあるわけです。
商品名に地名を入れる場合、原産地から最終加工地が同一でなければなりません。ただ、カッコ書きで原産地を記入すれば、最終加工地の名前を使えます。原材料の表示を確認し、値段と照らし合わせた上で納得して買いたいものです。
2010年には、食用塩公正取引協議会が表示ルールを導入しました。自主ルールではありますが、「ミネラルたっぷり」など「健康や美容によいことをイメージさせる言葉」や「古代塩」といった表示を禁じています。消費者に馴染みの「天然塩」「自然塩」の表記も、明確な定義がないために禁止されています。ルールに従っている塩には公正マークがつけられているので、これを目安にするのもいいかもしれません。
■「塩味控えめ」は「うす塩」ではない
生活習慣病の予防で、塩分摂取を気にしているサラリーマンは多いと思います。ただし、「うす塩味」「塩味控えめ」と表示されていても、塩分が少ないとは限りません。あくまでも「塩味が抑えられている」という“味覚”に関する表示。ナトリウムが少ない場合は、「うす塩」「減塩」「塩分控えめ」と記載されています。これらは健康増進法栄養表示基準によって基準値が決められていて、成分量を表示する義務があります。混同しないようにしたいですね。
最近の消費者は、低塩志向と酸っぱいものを嫌う嗜好が強まっています。そのため、市販の梅干しも塩分濃度の低いものが主流。「はちみつ梅干し」「かつお梅干し」などマイルドで食べやすい梅干しが増えています。これらはJAS法で「調味梅干し」と定義され、そのように表示されています。
本来の梅干しは、梅の重さの20%程度の食塩で漬け込んだ「梅漬け」を干して作ります。塩分の低い梅干しは、これを水洗いして塩抜きしています。洗うことによって風味や成分も失われてしまうので、それを補うために、糖類や各種調味料を含んだ調味液に漬け込むのです。酸味料や化学調味料、着色料、保存料などの添加物も加えます。
塩分濃度が20%以上なら100年持つといわれますが、20%を切ると極端に日持ちが短くなる。塩分カットの代償として、たくさんの添加物を取ってしまうことになるわけです。
振り出し容器に入った塩にも、長期間サラサラを保つために炭酸マグネシウムや炭酸カルシウム、無水ケイ酸が添加してある可能性があります。グルタミン酸ナトリウムなどのうま味調味料が入っている場合もあり、気になる人は表示をチェックしてください。
ちなみに、葬祭で使う「清め塩」にはシリカゲルなどの乾燥剤が入っていることがあります。食用としないことが基本です。
(料理研究家・山中裕美)
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