メーク落としや敏感肌の洗顔に日本手ぬぐいの実用性が見直されている。近年、土産物や壁掛けなど、おしゃれな雑貨として注目されてきたが、今春発行の「手ぬぐい洗顔」を紹介する実用書の売れ行きが好調だ。産地からは「若い人に日用品として使ってほしい」と期待する声も聞かれる。(寺田理恵)
◆若い世代にも
クレンジング剤を使わず、せっけんと手ぬぐいでメークを落とす方法を紹介した実用書『美肌の習慣 手ぬぐい洗顔』(日本文芸社)はこれまでに6万部を発行。監修した手ぬぐい美容家の高辺しおりさんは「最近は加齢臭や水虫対策などとして中高年の男性ファンが増えています。人気の要因はシンプルな洗顔法というところ。肌がデリケートな方やアトピーで悩んでいる方にも好評です」。
もともと肌が弱かった高辺さんが祖母から教わり、実践してきた。請われてセミナーなどで教えているうちに広がり、出版後はインターネット上の口コミで「毛穴が小さくなった」など評判が評判を呼んだ。
高辺さんは「手ぬぐいは切りっ放しなので雑菌がたまりにくく、乾きやすい。布巾に最適で、吸水性や速乾性に優れているのでハンカチ代わりにも。飾りや土産ばかりでなく、本来の在り方を知っていただければ」と実用性を強調する。
「肌を傷めにくいので良いという人が確実に増えている」と話すのは、手ぬぐいの素材となる小幅木綿の和晒(わざらし)(脂分や不純物を除去して漂白した布)の製造や染色業者が加入している「協同組合オリセン」(大阪市中央区)の担当者。用途の幅広さを20、30代に知ってもらおうと、染める前の白い和晒のネット販売を予定している。
同組合によると、和晒は昭和30年代までは浴衣や寝間着、おむつに使われ、最盛期の40年にはメーカーが全国で109軒を数えた。釜でたく和晒は機械を使う洋晒に比べて手間がかかり、今では11軒と激減。ほとんどが堺市で製造され、用途はもっぱら手ぬぐいか妊婦の腹帯という。
担当者は「手ぬぐいは10年ほど前から関東中心に売れているが、実用というより愛好家が壁に掛けたり場面で柄を使い分けたりするのに何枚も買う。昔は体を洗い、包帯にもなる必需品だった。若い世代に和晒を使ってもらわないと続かない」と危機感を募らせる。
◆作って売る人を
仲介製造業「東京和晒」(東京都葛飾区)は手ぬぐいの作り手育成に力を入れる。市場の拡大が目的で、「作って売る人を増やさないと手ぬぐいが廃れてしまう」と滝沢一郎社長。
8年前に始めた注染(型染め)の教室は受講者が途切れず、ネットショップを始める人もいる。自前のデザインを持ち込めば型紙代を含め、100枚5万~7万円で製造できるので、作り手のリスクは小さい。
「従来の業者以外から製造の注文が増えた。受講者は20代後半から30代。クリエイターとなってマーケットを広げてくれる」。手ぬぐい作りの参考書制作にも着手。来秋はイベントを展開する計画だ。
■手ぬぐい洗顔
【用意するもの】長さ30センチに切った豆手ぬぐい▽白い固形せっけん
(1)化粧をしたままの状態で、ぬるま湯で顔をぬらす。クレンジングは必要ない
(2)お湯でぬらして絞った豆手ぬぐいを、まぶたの上から下に向けて動かし、アイメークを落とす
(3)豆手ぬぐいに固形せっけんをつけ、丁寧に泡立てる
(4)おでこから洗う。力を入れず、円を描くように豆手ぬぐいを動かす
(5)強くこすらないように顔全体を洗う。細かい部分は豆手ぬぐいを指先に巻いて洗う
(6)洗い終えたら、ぬるま湯で丁寧にすすぐ
(『美肌の習慣 手ぬぐい洗顔』から)
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