暗闇で誰かが手招きをしていた。
フードで顔は見えない。
「誰だ?」
と僕は聞いた。
「便座の神だ。お前に力を授ける。近くに来るのだ」と声がした。
恐る恐る近づくと突然地面に組み伏せられた。
必死に抵抗する内にフードが払われ、相手の顔が露わになった。
高田延彦だ。
格闘技のプロ相手に敵うはずもなく、地面に押さえつけられたまま、大量の牛乳を飲まされた。
このままでは呼吸困難で死んでしまうのではないか。
命の危機を感じ始めたあたりで目が覚めた。
夢だったのだ。
だが、何か様子がおかしい。
床は大きく陥没し、家具が粉微塵に壊れている。
漏らしてしまったのだ。
賞金は全て大家への弁償で消えそうだ。