四谷怪談を観るか否か、心の中で会談する。誰がだ?「Me」と「I」だ。
「Me」とは君が知る「You know me」の「Me」。余所行きの顔だ。
「I」とは自分が知る「I know myself」の「I」。仮面の奥の顔だ。
 
Me:四谷怪談を観てブログにドロップするのが僕の務めだ。
I :九月一日は僕の誕生日で、初日ならば是非に観たいのだが、
   当日は仕事を休めず、京都くんだりまで出向くことはできない。
Me:ならば九月二日が初日なら、仕事を休務にして、観ちゃいなよ。
I :僕は以前に、坂東竹三郎丈がご本人の会で「東海道四谷怪談」を
   掛けられて、十五代目仁左衛門丈が伊右衛門を務められた際に
   是非に観たいと思ったが、大阪まで観に行く気力を得られなかった。
Me:だから何だ?観たいものを観る、それが歌舞伎と、君は書いてる。
I :そう書いたかな?判らない。ただ、観ないのも、歌舞伎である。
 
四谷怪談を観ない方の「I」が強いようだ。
 
なぜ観ないか。仕事優先は無論、南座ひいては松竹の姿勢が目に、突くのだ。
まず、チラシを悪戯にか、赤くしてるのが良くない。血汐、噴き出させたいのか。
この九月花形公演は、師走吉例顔見世につながる好配役の舞台である。
三代目市川猿之助丈、いまの二代目猿翁丈が若手の頃、南座で六月に
奮闘公演をした際、冬の顔見世に対して「緑の顔見世」と銘打った。
せっかくに中車丈が出るのだから、ここは英断で市川中車丈主演にしろ。
 
普通に考えた配役だと、
伊右衛門:愛之助
お 岩 :七之助
与茂七 :七之助
小 平 :七之助

直 助 :中 車

 
だと思う。それで良い。だがしかし物足りない。何故か。彼らの出番。
 
Me:愛之助丈が勤める伊右衛門を観たい女性は多い。大入り儲かるぜ。
I :まぁ、そうだが、松嶋屋は、バイプレイヤーとして好演すべきだ。
Me:上方演出の東海道四谷怪談を、愛之助丈が手掛けるのは、意味がある。
I :しかし郷に入らずんば郷に従えだ。四谷怪談は、ほぼほぼ江戸のもの。
   十八代目中村勘三郎丈が勘九郎時代に、三津五郎丈、橋之助丈との
   「夏の大三角形」としてキラめく星のごとく客席を沸かせた夏物語、
   それが基本の「キ」だ。中村屋が高麗屋、松本幸四郎丈の助力を得て、
   大阪・中座で初演した際も、上方演出ではなく、十七代目の通りの筈だ。
Me:君は話が長い。いったい何を言いたいんだ?
I :今回の九月花形公演は、八月納涼を京都に配達する形で上演すべきだ。
   納涼色を出すために、納涼組の役者を加えるべきだ。坂東彌十郎丈だ。
Me:チラシに載ってないだけで、大和屋は宅悦で出るんじゃないのか。
I :そこがキャスティングディレクターとしての、チミの「甘さ」だっつーの。
   勘三郎丈が襲名を経て、シアターコクーンで手掛けた「北番/南番」だ。
   分かりやすく配役を以下に書いてやる。目ん玉かっぽじいて、よく見ろ!
 
【東版】
伊右衛門:愛之助
お 岩 :七之助
与茂七 :七之助
小 平 :七之助

直 助 :中 車

宅 悦 :彌十郎

 
【西版】
伊右衛門:愛之助
お 岩 :七之助
与茂七 :七之助
小 平 :七之助

直 助 :彌十郎

宅 悦 :中 車

 

【全公演】残暑見舞いご挨拶(上演前):愛之助

愛之助丈は正装で「とざいと~ざい」と、観客に毎回、あいさつする。

その後、伊右衛門の扮装に迅速に取り掛かり、極めて涼しげに舞台に上がる。

 

つまり、京都南座・九月花形歌舞伎は、直助と宅悦を魅せる四谷怪談として、

市川中車丈に大奮闘してもらうという「隠し味」を込めるべきなのである。

愛之助丈贔屓の婦女子は「ラブリン、東と西で、どう違うのかしらん?」と

東西を一回ずつは観てくれるはずだ。中村屋贔屓もそうだろう。だがしかし、

四谷在住の夫婦は、いささかツンデレで、そうは問屋が卸さぬのが、京の商い。

 

Me:なるほど、よく分かった。市川中車丈の「第一回 緑の顔見世」だね。

I :そうだ。おっと、師走吉例顔見世につなげるのを忘れるところだった。

   素直に愛之助・七之助・中車の「冬の大三角形」で、寒々しい冬を描こう。

   昼の部、序幕で宇野信夫作・演出の「吹雪峠」を三人で掛けるのが良い。

   

  【東版】

   直 吉 :愛之助

   おえん :七之助

   助 蔵 :中 車

 

  【西版】

   直 吉 :中 車

   おえん :七之助

   助 蔵 :愛之助

 

  もちろん、愛之助丈の年始ご挨拶は、鬼が笑うから、絶対してはならないぞ。

Me:なるほど、よく分かった。では夜の部の序幕は、どうするのさ。

I :松竹制作陣の心の動きを考えろ!六月歌舞伎座で仁左衛門丈の「封印切」、

   十月に演目発表はまだだが御園座で何かしら観るだろ、すると心は自然に、

 

  恋飛脚大和往来「封印切」を掛けたくなる。いや、観客は観たくなる。コレだ。

 

  【東版】

   忠兵衛  :仁左衛門

   梅 川  :雀右衛門

   孫右衛門 : 梅 玉

 

  【西版】

   忠兵衛  : 梅 玉

   梅 川  :孝 太 郎

   孫右衛門 :仁左衛門

 

   御園座は錦秋吉例顔見世でコレは出さない。季節感を鑑みる制作陣だからだ。

         南座は季節感と地元感を重視する。ゆえに昨年は新口村を坂田藤十郎丈親子、

   忠兵衛  :藤 十 郎

   梅 川  : 扇  雀

   孫右衛門 :雁 治 郎

   …で出したばかりだが、昼の部の切。来冬は夜の部の序幕ゆえ、体温が違う。

 

Me:なるほど、よく分かった。御園座と南座はスゴイと、君は言いたいのだな?

I :やっと分かったか。しかし書きくだびれた。FMではXの「紅」のライブ版が

   流れており、僕は大音量で聴いて泣きたい。歌舞伎は明日の朝に描こう!

   妻を起こす時間だ。ここで筆を置くことにする。では愛之助丈!また明日…

 

しかし僕もしつこいが、四谷怪談との決着は平成のうちに、てな訳で、

今朝は二本、書くことを約束し、もう少し四谷怪談について、書こう。

 

現段階で発表の九月花形歌舞伎は、配役が少し残念なのだ。僕にはだが。

大人の事情でそうなのろうが、僕が望むのは以下のキャスティングなのだ。

 

伊右衛門:愛之助

  お 岩  :菊之助

与 茂 七 :菊之助

 小 平 : 菊之助

  直 助 : 中 車

 

こうである。尾上菊之助丈は、岳父・中村吉右衛門丈の「秀山祭」で九月は

歌舞伎座に出勤するのが愛娘・瓔子さんとの結婚後の通例とされる故に、

実現できぬ座組だ。僕は愛之助丈と七之助丈の組合せは、疑問に思うのだ。

 

いや、むしろ愛之助丈が役割を自身で捉えている「歌舞伎の発信」には、

僕のキャスティングの方が有利に働くはずだ。この三人を眺めると、判るよね?

 

そうです。『半沢直樹』と『下町ロケット』です。同じTBS系列「日曜劇場」です。

 

原作者:池井戸潤

 脚 本 :八津弘幸

 演 出 :福澤克雄

…の三つ巴で挑んだ現代ドラマの傑作!そこに梨園の役者が侵入した罠で、

ドラマファンを歌舞伎にゴッソリ捕まえてくる趣向にすべきなのです。でも秀山祭。

フジ(中村屋)、日テレ(海老蔵)、BSフジ(愛之助)、BS朝日(菊之助)と揃った、

歌舞伎役者密着連続ドキュメント番組に、地上波TBSにも果敢に参戦して頂き、

襲名時に地上波NHKが一度きり過程を捉えられた中車丈を、カメラで捉える

内容に仕上げて、香川照之と市川中車はTBSが「い・た・だ・き~!」にしよう。

 

もうひとつ言おう。そもそもこの企画は、八月納涼で演るべき四谷怪談をだね、

無理くり九月にもってくるのが間違っている。「四」を二倍にすると「八」だよね。

 

つまり、鶴屋南北の四谷怪談を南番と北番の二倍(ダブルキャスト)で演る、

それが、大南北とお岩様が浮かばれる演り方なのは、誰の目から見ても明白だ。

 

【南番】

伊右衛門:獅 童

  お 岩  :七之助

与 茂 七 :七之助

 小 平 : 七之助

  直 助 : 勘九郎

 

【北番】

伊右衛門:七之助

  お 岩  :勘九郎

与 茂 七 :勘九郎

 小 平 : 勘九郎

  直 助 : 獅 童

 

…こうするのが、望ましい。何やら尊大めいだ書き方になってるが、理由がある。

僕が最も好きな四谷怪談は、大衆演劇の松井誠丈が手掛けた「新・四谷怪談」だ。

 

伊右衛門:松井誠

  お 岩  :松井誠

2006年8月東京・明治座で、歌舞伎座納涼夜の部「南総里見八犬伝」を

向こうにまわし、伊右衛門とお岩の両方を同じ舞台で演っちゃう役者が居るのだ。

 

大歌舞伎で伊右衛門とお岩を同時に演じ分ける未来は来るだろうか?

さてはて、そんな未来は、必要あるのだろうか?それを考えるのが、歌舞伎である。

 

東海道四谷怪談を観るか否か、心の中で再び会談する。「Me」と「I」が。
「Me」とは君が知る「You know me」の「Me」。余所行きの顔さ。
「I」とは自分が知る「I know myself」の「I」。仮面の奥の顔さ。
 
Me:十連休ゆっくり休んだ後で、東海道四谷怪談とは、チミもしつこいね。
I :東海道四谷怪談と銘打つからには、京都の興行のみでは、起点だけだ。
Me:ならば終点が在ればいいのか?翌十月に御園座で掛けろと騒ぐのか?
   もしくは十月国立劇場で高麗屋に、四年ぶりの再演を望むのか?
   白鸚丈はミュージカル「ラ・マンチャの男」で、帝国劇場に出勤中だぞ。
I :四谷怪談をに掛けると、千楽を迎えられない。季節感無視はご法度だ。
   高麗屋は、背筋も凍るに敢えて掛けたから、無事に年越しが出来たのだ。
   四谷怪談は「夏の大三角形」を星座群を、打ち出した客に見せ付けるもの。
Me:だから何だ?夏に誰かが自身の会か何かで掛けやがれと、騒きたいのかな?
I :ボキを「騒ぎたい騒ぎたい」と騒々しくするなよ。基本の「キ」に戻ろう。
   
収拾が付かない。基本に戻る為、今回の論点の起点を十八代目中村勘三郎丈とする。
宅悦を笹野高史さんが勤めているところに、東海道四谷怪談の凄みがある、と思う。
 
 
十八代目中村勘三郎丈は、父君・十七世勘三郎丈が当たり役とした「お岩」を
ご自身の手で進化させようとされた、と僕は思う。その出発点は、大阪・中座だ。
その後、歌舞伎座⇒コクーン⇒納涼の定番⇒様々な座組での進化、と駒を進めた。
 
 
Me:わかった、起点が大阪⇒終点が東京だから、「北番/南番」の逆説の理論で、
   逆にして、起点を東京⇒終点を京都にすれば、具合が良さそうだ。
I :やっとわかっだようだ。基本の「キ」に戻って、初演的な中座を再演する。
   もちろん、四谷怪談の巣窟、歌舞伎座の八月納涼歌舞伎の夜、第三部でだ。
Me:お岩&伊右衛門夫婦は配役の想像がつく。しかし、直助と宅悦は判らない。
I :えェィ面倒くせェ!脂っこいこと、この上ねェ!配役を書いてやる。

 

【歌舞伎座・八月納涼歌舞伎】

 

伊右衛門 :幸四郎

  お 岩  :勘九郎

与 茂 七  :勘九郎

 小 平 :勘九郎

   直 助 :巳之助

 宅 悦 :八島智人

 

    十八代目勘三郎丈の初演を、その息子世代で再演することを基本にする。

    そして中村屋の完成形の納涼版から、直助を、やはり息子の巳之助に配する。

    既に発表されたが、10・11月の新橋演舞場スーパー歌舞伎Ⅱ「オグリ」で、

    中村隼人丈が大抜擢されてるから、同じ「NARUTO」の巳之助は納涼で、だ。

Me:しかし宅悦に八島智人とは…。なるほど、コクーンの要素も混ぜる趣向だね。
I :十八代目の遺志を貫き通す為、六代目勘九郎が立ち上げた企画と思えるのだ。
Me:なるほど、そうだ九月・南座花形歌舞伎の予想配役も、改めて書いておこう。
 
【南座・九月花形歌舞伎】

 

伊右衛門:愛之助

  お 岩   :七之助

与 茂 七 :七之助

 小 平  :七之助

   直 助  :中 車

   宅 悦  :彌十郎

 

I :これで全て明らかになっただろう。今回の東海道四谷怪談は、

 

大阪発の四谷怪談を江戸で花咲かせ

江戸発の京都帰りで故郷に錦を飾り

勘九郎&七之助で「お岩」を競わせ

十八代目勘三郎丈が十七世に捧げる

鶴屋西南北の筆による歌舞伎だ!

なんで、お岩が伊右衛門に!?

 

   …つまり、東西を股にかけた東海道行脚の東海道四谷怪談なのだ!

Me:なるほど、納涼ありきの南座で、南座がラインナップ先出ししてるだけで、

   片岡愛之助丈の主演公演では無く、中村七之助丈が主役の公演なのですね。

 

愛之助丈はバイプレイヤーだ!

https://www.youtube.com/watch?v=rxjKJ_2T9DY(※ヒトリノケンカイノセカイ)