四谷怪談の日の翌日だ。4月28日の数を「よン・ツ~・やァ!」と読みな。
昨日に書いた文が、お岩様の呪い宜しくで尻切れトンボで終わっては、

「南総里見八犬伝」芳流閣の場で立師をされ、満面の笑みの愛之助丈を

囲んだ集合写真を提供(僕が勝手にコピペ)下さった中村橋吾丈に心から

申し訳がたたないので、昨日の文を再録し、続きを綴ることに致します。

 

四谷怪談を観るか否か、心の中で会談する。誰がだ?「Me」と「I」だ。
「Me」とは君が知る「You know me」の「Me」。余所行きの顔だ。
「I」とは自分が知る「I know myself」の「I」。仮面の奥の顔だ。
 
Me:四谷怪談を観てブログにドロップするのが僕の務めだ。
I :九月一日は僕の誕生日で、初日ならば是非に観たいのだが、
   当日は仕事を休めず、京都くんだりまで出向くことはできない。
Me:ならば九月二日が初日なら、仕事を休務にして、観ちゃいなよ。
I :僕は以前に、坂東竹三郎丈がご本人の会で「東海道四谷怪談」を
   掛けられて、十五代目仁左衛門丈が伊右衛門を務められた際に
   是非に観たいと思ったが、大阪まで観に行く気力を得られなかった。
Me:だから何だ?観たいものを観る、それが歌舞伎と、君は書いてる。
I :そう書いたかな?判らない。ただ、観ないのも、歌舞伎である。
 
四谷怪談を観ない方の「I」が強いようだ。
 
なぜ観ないか。仕事優先は無論、南座ひいては松竹の姿勢が目に、突くのだ。
まず、チラシを悪戯にか、赤くしてるのが良くない。血汐、噴き出させたいのか。
この九月花形公演は、師走吉例顔見世につながる好配役の舞台である。
三代目市川猿之助丈、いまの二代目猿翁丈が若手の頃、南座で六月に
奮闘公演をした際、冬の顔見世に対して「緑の顔見世」と銘打った。
せっかくに中車丈が出るのだから、ここは英断で市川中車丈主演にしろ。
 
普通に考えた配役だと、
伊右衛門:愛之助
お 岩 :七之助
与茂七 :七之助
小 平 :七之助

直 助 :中 車

 
だと思う。それで良い。だがしかし物足りない。何故か。彼らの出番。
 
Me:愛之助丈が勤める伊右衛門を観たい女性は多い。大入り儲かるぜ。
I :まぁ、そうだが、松嶋屋は、バイプレイヤーとして好演すべきだ。
Me:上方演出の東海道四谷怪談を、愛之助丈が手掛けるのは、意味がある。
I :しかし郷に入らずんば郷に従えだ。四谷怪談は、ほぼほぼ江戸のもの。
   十八代目中村勘三郎丈が勘九郎時代に、三津五郎丈、橋之助丈との
   「夏の大三角形」としてキラめく星のごとく客席を沸かせた夏物語、
   それが基本の「キ」だ。中村屋が高麗屋、松本幸四郎丈の助力を得て、
   大阪・中座で初演した際も、上方演出ではなく、十七代目の通りの筈だ。
Me:君は話が長い。いったい何を言いたいんだ?
I :今回の九月花形公演は、八月納涼を京都に配達する形で上演すべきだ。
   納涼色を出すために、納涼組の役者を加えるべきだ。坂東彌十郎丈だ。
Me:チラシに載ってないだけで、大和屋は宅悦で出るんじゃないのか。
I :そこがキャスティングディレクターとしての、チミの「甘さ」だっつーの。
   勘三郎丈が襲名を経て、シアターコクーンで手掛けた「北番/南番」だ。
   分かりやすく配役を以下に書いてやる。目ん玉かっぽじいて、よく見ろ!
 
【東版】
伊右衛門:愛之助
お 岩 :七之助
与茂七 :七之助
小 平 :七之助

直 助 :中 車

宅 悦 :彌十郎

 
【西版】
伊右衛門:愛之助
お 岩 :七之助
与茂七 :七之助
小 平 :七之助

直 助 :彌十郎

宅 悦 :中 車

 

【全公演】残暑見舞いご挨拶(上演前):愛之助

愛之助丈は正装で「とざいと~ざい」と、観客に毎回、あいさつする。

その後、伊右衛門の扮装に迅速に取り掛かり、極めて涼しげに舞台に上がる。

 

画的に弱いといけないので、愛之助丈のご挨拶の参考に尾上松也丈を出した。

 

つまり、京都南座・九月花形歌舞伎は、直助と宅悦を魅せる四谷怪談として、

市川中車丈に大奮闘してもらうという「隠し味」を込めるべきなのである。

愛之助丈贔屓の婦女子は「ラブリン、東と西で、どう違うのかしらん?」と

東西を一回ずつは観てくれるはずだ。中村屋贔屓もそうだろう。だがしかし、

四谷在住の夫婦は、いささかツンデレで、そうは問屋が卸さぬのが、京の商い。

 

Me:なるほど、よく分かった。市川中車丈の「第一回 緑の顔見世」だね。

I :そうだ。おっと、師走吉例顔見世につなげるのを忘れるところだった。

   素直に愛之助・七之助・中車の「冬の大三角形」で、寒々しい冬を描こう。

   昼の部、序幕で宇野信夫作・演出の「吹雪峠」を三人で掛けるのが良い。

   

  【東版】

   直 吉 :愛之助

   おえん :七之助

   助 蔵 :中 車

 

  【西版】

   直 吉 :中 車

   おえん :七之助

   助 蔵 :愛之助

 

  もちろん、愛之助丈の年始ご挨拶は、鬼が笑うから、絶対してはならないぞ。

Me:なるほど、よく分かった。では夜の部の序幕は、どうするのさ。

I :松竹制作陣の心の動きを考えろ!六月歌舞伎座で仁左衛門丈の「封印切」、

   十月に演目発表はまだだが御園座で何かしら観るだろ、すると心は自然に、

 

  恋飛脚大和往来「封印切」を掛けたくなる。いや、観客は観たくなる。コレだ。

 

  【東版】

   忠兵衛  :仁左衛門

   梅 川  :雀右衛門

   孫右衛門 : 梅 玉

 

  【西版】

   忠兵衛  : 梅 玉

   梅 川  :孝 太 郎

   孫右衛門 :仁左衛門

 

   御園座は錦秋吉例顔見世でコレは出さない。季節感を鑑みる制作陣だからだ。

         南座は季節感と地元感を重視する。ゆえに昨年は新口村を坂田藤十郎丈親子、

   忠兵衛  :藤 十 郎

   梅 川  : 扇  雀

   孫右衛門 :雁 治 郎

   …で出したばかりだが、昼の部の切だ。来冬は夜の部の序幕ゆえ、体温が違う。

 

Me:なるほど、よく分かった。御園座と南座はスゴイと、君は言いたいのだな?

I :やっと分かったか。しかし書きくだびれた。FMではXの「紅」のライブ版が

   流れており、僕は大音量で聴いて泣きたい。歌舞伎は明日の朝に描こう!

   妻を起こす時間だ。ここで筆を置くことにする。では愛之助丈!また明日…