先般の日記を「海老蔵の石川五右衛門の配役に疑問」と銘打ったため、
いささか海老蔵さん批判めいた内容に捉えられがちとなり、僕の本意
では無くなった。批判のための批判は良くないので、肯定する部分を
綴る日記とする。そこで本日のお題。海老蔵さんを活かす歌舞伎は何?

大枠を捉えて「江戸の荒事でしょ」とまとめる気も無い。歌舞伎は左程
簡単ではない。興行のひとつひとつが丹精込められたものであるのは
間違いない。ただ、そこにもう一工夫加えると、さらに精彩を放つ。

ひと手間かけるべきは、9月のモナコ公国公演。市川團十郎丈を中心
に中村時蔵丈、海老蔵さんらで組む一座で西欧にお目見えする。演目
は海老蔵さんが舞う「鏡獅子」と、團十郎・時蔵両丈の「鳴神」。構成は、
海老蔵さんが女形でしっとり踊った後に勇壮な獅子と化し激しい毛振
を魅せる一幕と、修行僧の團十郎丈を麗しき女性の時蔵丈がだまくら
かして高僧が怒り心頭で花道を引っ込む一幕の二幕で、ご機嫌を伺う。

つまり、両演目とも概ね怒り顔で幕となり、「鳴神」に至っては、女性
に騙されただけの「お子様坊主」がキレるだけの「キレ芸」かしらと捉え
られる懸念があり、いずれにしてもモナコの高貴と思われる観客達が
気持ちよく劇場を後にできるだろうか。演目を決めるのであろう松竹
さんは、打ち出した客の心の動きに配慮下さってるのか、甚だ疑問だ。

そこで、海老蔵さんが株をあげ、モナコの客が心地よく酔える歌舞伎を
提案する。今年5月歌舞伎座の團菊祭(?)で披露された清元「夕立」だ。
イケメン小猿七之助が美しい女性を色っぽく手篭めにしてしまう舞踊
と記憶している。大衆演劇の松井誠丈がレビューに組み込んだ一場面
を見ただけだが。訪欧の歌舞伎にて海老蔵さんの小猿七之助と時蔵丈
のコマされる美人でセクシィに見せれば、モナコのセレブ達の感想は
「日本のEBIZOというドンファンがゲイシャとメイクラヴする話ネ!」
と大喜びで、艶っぽい心持ちになるに違いない。妻をベッドに誘える
歌舞伎の誕生で、それを先導するのは我らが色男・市川海老蔵である☆