本日昼公演のあと、明日は原智彦さん一座のハポン劇場「草枕」の千秋楽だ。

千秋楽は芝居など興行の最後の日。「千秋楽」という記述では「秋」に「火」と
いう字が入っており、劇場での「火」は御法度のため忌み嫌い、代わりに「亀」
にして「穐」という字を使うことが多いが、この芝居には「火」が相応しい。

一歩足を踏み入れる濃密な舞台空間は、幕が閉じた後には、観た者だけの
秘密にしたくなり、すっかり炎で焼き尽くしたくなる様な親密性に溢れる。

誰にも言っちゃダメだよと、そっと耳打ちする様に、勧めたくなる芝居だ。

もしかしたら本日は立ち見なら観られるのかもしれない。幕が開く昼間は
僕は歯科医でがんじがらめにされドリルで責め立てられるので行かれない。

原智彦さんの身体が美しく形をつくる。登場する寝そべる姿から暗転する
寝入るさままで、一切の無駄をそぎ落としたような端正な躍動に、魅入る。

衝撃は旅籠の女将を演じた伊達みづめ丈。台詞が麗しく、例えは無礼かも
しれぬが、元・文学座の二宮さよ子さんや文学座の平淑恵さんが歌舞伎を
演ったら似る感じかもと思う台詞まわしで、もはや声の楽器として琴線を
グリッサンドされるような刺激を受けた。単純に言うと、君の声が好きだ。

彼女はスーパー一座の座員だったとかで、僕が師走歌舞伎を見始めたのが
16~18年前なので、彼女の舞台姿に間に合わなかったのが悔やまれたが、
劇評のブログを覗くうち、あの一座の役者さんだと知り、嬉しくなった。

漱石役の西島一洋さんは、重厚かつ温かみのある台詞で、例えるなら昨夜
に聴いたクラリネットのような感じの音色だ。夏目漱石らしいと思った。

荒くれ男を演ると日本一である野畑幸治さんの迫力が凄かった。ダブル
キャストの運のことだが、彼が演じる馬子を見られなかったのが残念だ。

鶏として存在した女性ふたりが良かった。帰りにイオンで焼き鳥を食べた☆


いえいえ、明日が千秋楽という文にしていますよ。書き出しの題材として
「千秋楽」を使ったので、紛らわしくなりましたが。様子から察するに明日
に観に出かけるようですね。日記に書かれるのを楽しみにしております☆

馬の軽やかなステップは、重い道具をいかに重くなく軽々と軽快に操るの
が必須なのでしょうから、かなりの御苦労と察します。さらに脇山さんで
すが、ほどよく「ベリベリ」した台詞まわしが元スーパー一座の羽田野さん
を思わせる気持ち良さで、岩田先生の薫陶が生きているのだなと嬉しくな
りました。そういえばその羽田野さん率いるルナティックダックスの痛快
娯楽劇(?)「狂ダク西遊記演義」が6月13日に名古屋市北文化小劇場で上
演されるので、草枕に酔った方は小劇場に暴れに行って欲しいものです☆
http://luna-duc.net/

「北斎とお栄」のときの様に市民ギャラリー矢田で舞台製作の裏側を伝える
写真展をやってほしいと思います。その時あった原さんの姿の切り絵(?)
が衝撃的で、どの姿形をとってみても原さんらしいと感じました。やはり
独特の身体表現をお持ちの稀有な役者さんだと、改めて感心した次第です☆