ドラゴンズカラーの空のもと相方と御園座に歌舞伎デートと洒落込んだ。
名古屋観光ホテルでスパニッシュオムレツとクロワッサンのブランチを
楽しみ、カッコー襲名披露の口上をしたのち二階最後列上手側に陣取り。
何故か定式幕でない緞帳が上がり、二代目中村錦之助襲名披露が幕開く。
松嶋屋一門の長兄、片岡我冨丈の出し物「天満宮菜種御供~時平の七笑」。
「三好屋!」と隣席の大向こうに驚き相方が腰を浮かす。僕も負けじと
片岡市蔵丈がおバカ貴族の拵えで登場すると「松嶋屋!」の喉を聞かせる。
大向こうとして「松嶋屋!」一番乗りし、片岡浩司としての役割を果たす。
片岡進之介の左腕の正方形の凧のような装着物に、相方が興味を示した。
あれは戦の場で矢に狙われた時に防御する盾と得心させたが、平安時代
の話と気付いたが笑い草で済ます。菅原道真公が烏帽子を払い落される
のを侮蔑の表現と捉え、後で相方の帽子を宙に舞わせると、ほくそ笑む。
我冨丈のお弟子さんの片岡冨十郎丈が粘着たっぷりの台詞を聞かせ場を
引き締めたのち我冨丈登場。先般参加した安田文吉南山大学教授の講義
で「時平公が笑うだけの話なのに面白い」とお墨付きを頂戴したので、
笑いっぷりに気を集中させる。本当に七種も表現するかと耳をダンボに
したが、「七種の笑いが題の菜種の由来か」と自論を思い付いて耳が留守
になった。定式幕が閉まったあとの名残の高笑いが、最も笑顔を誘った。
「笑」「笑」「笑」「笑」「笑」「笑」「笑」…何とか「笑」の字を七種、盛り込んだぞ。
二幕目は坂田藤十郎丈喜寿記念の舞踊「京鹿子娘道成寺」。聞いたか坊主の
鈴なりに圧倒されつつ、美しい着物姿の山城屋が登場すると「藤娘だ!」
と相方がポツリ。「チミチミあれは白拍子花子であって藤娘ではないぞ。
次男が演るから夜に出直してさっしゃい」とたしなめたが聞くと、幼少
のおり節句で買ってもらった日本人形が「藤娘」だったとのことで、以来
綺麗に和服をお召しの女性を観ると「藤娘」を思い出すらしい。日本の伝統
文化の正しき継承であると妙に納得した。来月に滋賀に出かけようと思う
ので、一緒に大津絵の店なぞのぞいてみようかしらと、心も留守になる。
「花のほかには松ばかり♪」の長唄囃子に乗り舞台背景に目をやると、
紀州の満開の桜の鮮やかなピンクに、所々の松の深緑が生える。山城屋が
深紅の着物から引き抜かれると淡い薄緑に早変わりし、相方も関心しきり。
いそいそと毬つきする振りは、からくり人形の茶運び坊主の早回しの様だ。
長男が押し戻しで登場し野太い声を聞かせるまで、見応え充分に満喫した。
本日の大詰め「祇園祭礼信仰記~金閣寺」。義太夫狂言をバシッと楽しむ
のが好きな僕は前のめり。色彩感覚に生きる相方は腕組んで高見の見物。
「愛太夫!」の隣席の大向こうに相方が再び宙に浮く。「黒ひげ危機一髪は
後にしてくれたまへ、チミ~!」とピシャリ。夫の面目が立つというもの。
三津五郎丈の国崩し、松永大膳が、大きくて実にいい。発声に異物が無
い方ゆえ、野太い声の迫力がいっそう増す。碁をさす様も、碁石を放り
投げるようなふてぶてしさで、厭味たらしさを出している。弟鬼藤太の
亀鶴との相性もいい。べりべりした台詞術に、動静を上手に分けた形の
良さなど、ややもすれば、大和屋と八幡屋の合体すらあってもいい位だ。
御簾が上がり半透明の襖が開いて、時蔵丈の雪姫のお目見得。双眼鏡で
覗く相方は「鼻筋の通った綺麗な方ね」と好評価だ。僕の実家の三件隣り
の某ステーキ屋で、裏メニューのネギの丸焼きがお気に入りと裏話をす
ると「素材の味を感じ取れる品の良さが、演技の上質さに出ている」と
もろ手を挙げての称賛で、少しヤケる位だ。萬屋兄貴のクドキに入ると
下座が琴の独奏になった。まるで少女漫画で主人公がときめくと背景に
薔薇が咲き乱れるかのような雰囲気である。金閣寺の雪姫を見せるのは、
「三姫」のひとりを観ておくことで、歌舞伎座の「本朝廿四孝」で玉三郎丈
の八重垣姫をより満喫して欲しいから。一階三列目の一等席を用意した。
襲名披露の中村錦之助丈の此下東吉は颯爽とした雰囲気がいい。敵方の
硬質さに対し、和事のごとき柔らかみて堂々と渡り合っている。叔父の
中村錦之介の映画をBSで観たが、品の良さを受け継いでいると思う。
ロビーで襲名披露記念Tシャツが売られていたが、胸にプリントされた
「錦 no SUKE」の文字が「錦三丁目のスケベ」に見えて、おもだか
屋参加時代の「ヤマトタケル」の名台詞「大和のオンナを食べたいのだ~」
を錦三のネオン街で叫ぶおイタはしないでねと、釘を刺したくなったぞ。
愛しの片岡秀太郎丈が狩野之助直信ひと役のみなのが物足りない。
後手に縛られ「しょんぼり」して引っ込んだだけだ。絶品の「しょんぼり」ぶり
を吸収したので、相方に叱られたたら見事に「しょんぼり」してやろう!
見どころの桜吹雪舞い散るなかの、雪姫の桜絵画だ。降りしきった桜の
花びらを足で寄せ集め、爪先で描こうとしているので、ネズミの本物が
出るほどに描けるのかと注視した。ミッキーマウスの様な形状と察して、
白目の中に眼球を爪先でチョンと描き足すことは、ハッキリと分かった。
歌舞伎デートの締めくくりは美味しいデザート。本日より紫芋使用に
切り替えたという「芋きんつば」はバラ売りが無くなり「しょんぼり」したが、
気持ちを切り替えて、御園座名物「手づくりアイス最中」の「おぐら味」に
舌鼓を打つ。まねき上げの写真は、込み合うので幕間に撮影会しました☆
そうですね。僕は野太い義太夫と三味線に乗った役者の台詞術や、体を
使った所作や型の見事さを楽しむ「金閣寺」が見応えあったけど、貴女
は音楽や美術の感性に富むひとだから「道成寺」がお気に召したのかな。
歌舞伎の舞台は色彩豊かだし、役者さんが身に付ける衣装も同様です。
だから美しい錦画を観るように楽しむのもひとつだと思います。また
役者の演技を間近で感じる、フィジカルに観る歌舞伎も楽しんでくださいね☆
名古屋観光ホテルでスパニッシュオムレツとクロワッサンのブランチを
楽しみ、カッコー襲名披露の口上をしたのち二階最後列上手側に陣取り。
何故か定式幕でない緞帳が上がり、二代目中村錦之助襲名披露が幕開く。
松嶋屋一門の長兄、片岡我冨丈の出し物「天満宮菜種御供~時平の七笑」。
「三好屋!」と隣席の大向こうに驚き相方が腰を浮かす。僕も負けじと
片岡市蔵丈がおバカ貴族の拵えで登場すると「松嶋屋!」の喉を聞かせる。
大向こうとして「松嶋屋!」一番乗りし、片岡浩司としての役割を果たす。
片岡進之介の左腕の正方形の凧のような装着物に、相方が興味を示した。
あれは戦の場で矢に狙われた時に防御する盾と得心させたが、平安時代
の話と気付いたが笑い草で済ます。菅原道真公が烏帽子を払い落される
のを侮蔑の表現と捉え、後で相方の帽子を宙に舞わせると、ほくそ笑む。
我冨丈のお弟子さんの片岡冨十郎丈が粘着たっぷりの台詞を聞かせ場を
引き締めたのち我冨丈登場。先般参加した安田文吉南山大学教授の講義
で「時平公が笑うだけの話なのに面白い」とお墨付きを頂戴したので、
笑いっぷりに気を集中させる。本当に七種も表現するかと耳をダンボに
したが、「七種の笑いが題の菜種の由来か」と自論を思い付いて耳が留守
になった。定式幕が閉まったあとの名残の高笑いが、最も笑顔を誘った。
「笑」「笑」「笑」「笑」「笑」「笑」「笑」…何とか「笑」の字を七種、盛り込んだぞ。
二幕目は坂田藤十郎丈喜寿記念の舞踊「京鹿子娘道成寺」。聞いたか坊主の
鈴なりに圧倒されつつ、美しい着物姿の山城屋が登場すると「藤娘だ!」
と相方がポツリ。「チミチミあれは白拍子花子であって藤娘ではないぞ。
次男が演るから夜に出直してさっしゃい」とたしなめたが聞くと、幼少
のおり節句で買ってもらった日本人形が「藤娘」だったとのことで、以来
綺麗に和服をお召しの女性を観ると「藤娘」を思い出すらしい。日本の伝統
文化の正しき継承であると妙に納得した。来月に滋賀に出かけようと思う
ので、一緒に大津絵の店なぞのぞいてみようかしらと、心も留守になる。
「花のほかには松ばかり♪」の長唄囃子に乗り舞台背景に目をやると、
紀州の満開の桜の鮮やかなピンクに、所々の松の深緑が生える。山城屋が
深紅の着物から引き抜かれると淡い薄緑に早変わりし、相方も関心しきり。
いそいそと毬つきする振りは、からくり人形の茶運び坊主の早回しの様だ。
長男が押し戻しで登場し野太い声を聞かせるまで、見応え充分に満喫した。
本日の大詰め「祇園祭礼信仰記~金閣寺」。義太夫狂言をバシッと楽しむ
のが好きな僕は前のめり。色彩感覚に生きる相方は腕組んで高見の見物。
「愛太夫!」の隣席の大向こうに相方が再び宙に浮く。「黒ひげ危機一髪は
後にしてくれたまへ、チミ~!」とピシャリ。夫の面目が立つというもの。
三津五郎丈の国崩し、松永大膳が、大きくて実にいい。発声に異物が無
い方ゆえ、野太い声の迫力がいっそう増す。碁をさす様も、碁石を放り
投げるようなふてぶてしさで、厭味たらしさを出している。弟鬼藤太の
亀鶴との相性もいい。べりべりした台詞術に、動静を上手に分けた形の
良さなど、ややもすれば、大和屋と八幡屋の合体すらあってもいい位だ。
御簾が上がり半透明の襖が開いて、時蔵丈の雪姫のお目見得。双眼鏡で
覗く相方は「鼻筋の通った綺麗な方ね」と好評価だ。僕の実家の三件隣り
の某ステーキ屋で、裏メニューのネギの丸焼きがお気に入りと裏話をす
ると「素材の味を感じ取れる品の良さが、演技の上質さに出ている」と
もろ手を挙げての称賛で、少しヤケる位だ。萬屋兄貴のクドキに入ると
下座が琴の独奏になった。まるで少女漫画で主人公がときめくと背景に
薔薇が咲き乱れるかのような雰囲気である。金閣寺の雪姫を見せるのは、
「三姫」のひとりを観ておくことで、歌舞伎座の「本朝廿四孝」で玉三郎丈
の八重垣姫をより満喫して欲しいから。一階三列目の一等席を用意した。
襲名披露の中村錦之助丈の此下東吉は颯爽とした雰囲気がいい。敵方の
硬質さに対し、和事のごとき柔らかみて堂々と渡り合っている。叔父の
中村錦之介の映画をBSで観たが、品の良さを受け継いでいると思う。
ロビーで襲名披露記念Tシャツが売られていたが、胸にプリントされた
「錦 no SUKE」の文字が「錦三丁目のスケベ」に見えて、おもだか
屋参加時代の「ヤマトタケル」の名台詞「大和のオンナを食べたいのだ~」
を錦三のネオン街で叫ぶおイタはしないでねと、釘を刺したくなったぞ。
愛しの片岡秀太郎丈が狩野之助直信ひと役のみなのが物足りない。
後手に縛られ「しょんぼり」して引っ込んだだけだ。絶品の「しょんぼり」ぶり
を吸収したので、相方に叱られたたら見事に「しょんぼり」してやろう!
見どころの桜吹雪舞い散るなかの、雪姫の桜絵画だ。降りしきった桜の
花びらを足で寄せ集め、爪先で描こうとしているので、ネズミの本物が
出るほどに描けるのかと注視した。ミッキーマウスの様な形状と察して、
白目の中に眼球を爪先でチョンと描き足すことは、ハッキリと分かった。
歌舞伎デートの締めくくりは美味しいデザート。本日より紫芋使用に
切り替えたという「芋きんつば」はバラ売りが無くなり「しょんぼり」したが、
気持ちを切り替えて、御園座名物「手づくりアイス最中」の「おぐら味」に
舌鼓を打つ。まねき上げの写真は、込み合うので幕間に撮影会しました☆
そうですね。僕は野太い義太夫と三味線に乗った役者の台詞術や、体を
使った所作や型の見事さを楽しむ「金閣寺」が見応えあったけど、貴女
は音楽や美術の感性に富むひとだから「道成寺」がお気に召したのかな。
歌舞伎の舞台は色彩豊かだし、役者さんが身に付ける衣装も同様です。
だから美しい錦画を観るように楽しむのもひとつだと思います。また
役者の演技を間近で感じる、フィジカルに観る歌舞伎も楽しんでくださいね☆
