唇寒くない秋の空のもと、リップサービス大出血の松本幸四郎丈の出演。
若き日の徹子さんが仲間との談笑で、気になる存在を挙げた時、やはり
若き日の市川染五郎(現・幸四郎)を推した頃からの付き合いだそうで、
弟の萬之助(現・中村吉右衛門)と芸術座でスタンダール作品に出ていた
という思い出話から開幕した対談は、実に見応えある充実の内容でした。

孫の齊(いつき)君の二歳の初お目見えが、当初は「頑張るぞ!」の掛け声
だったのが、弁慶の飛び六法の引っ込みに昇華したという話は、高麗屋
の将来を明るくしますね。舞台で「孫は本気で弁慶を演ってますが、役
としてお見せするのにあと二~三十年かかるから、皆さま長生きしてお
待ち下さい」というリップサービスをしたのは、実に幸四郎さんらしい。

幸四郎の名を継いだ高麗屋三代襲名が三十九歳の時とあらためて知って、
今の僕の年齢で大名跡の責を負ったのかと、幸四郎さんの大きさと覚悟
に感じ入りました。その当時に三人の出演映像で、現・染五郎丈が弁慶
を演りたいと言っていましたが、今はどうなのでしょうか。考えが変わ
ることもアリだと思うし、弁慶でなく富樫を極めるかという方向転換も
理解できるので、染五郎丈が高麗屋と如何に向かいあうのかは、今後の
興味が尽きない処です。驚愕の出来事が起こっても僕は驚きませんよ!

次女の松たか子嬢の結婚話にふれ、佐野元春and The Hobo King Bandの
佐橋佳幸氏のことを結婚相手として「人間的に素晴らしい」と称賛して
いるところが、幸四郎さんの素晴らしさだと思いました。たか子さんが
あるとき立派なマーティンのギターを手渡してきて、ついつい爪弾かさ
れたのが娘の策略だったのかと茶化すのも、気の利いたフリだなと思う。

幸四郎さんの相変わらずさは爆裂で、いつもの話題を繰り返すことも忘
れません。しかし、父君・白鸚丈が麻酔無しで手術した時の忍耐につい
て、辛抱を身につけた役柄として井伊大老を挙げたのは、弟の吉右衛門
丈がいま国立劇場で上演中の「大老」につながるのは、もちろん無意識
だろうと思いますが、そこで突っ込み入れる高麗屋贔屓は居ましたか?
http://www.ntj.jac.go.jp/performance/2075.html

さて僕は、松本幸四郎丈の弁慶役の勧進帳千回上演達成を奈良東大寺に
観に行きますが、思いっきり泣いてきます。というより既に泣いてます。
素晴らしい番組が全国放送されるので、ぜひご覧頂けたらと思います☆
http://www.satv.co.jp/bangumi/30th/



ありがとうございます。染五郎丈の弁慶は僕も楽しみです。ただ蛇足で
すが、幸四郎丈や松竹から「もう演ってもいいだろう」と上から与えら
れる感じではなく、若手の誰かと組んで「俺が弁慶を演るから君が富樫
を演ってくれ。松竹に直談判しようぜ」という意気込みで演って欲しい
なと思います。富樫は誰ぞや?と性急な思いの歌舞伎馬鹿でありんす☆


いろんな考え、好みはありますが、僕にとって弁慶は幸四郎さんです。
幸四郎さんは、決して手を抜くことのない、完全燃焼の役者さんです!

10月15日は奈良東大寺で幸四郎さんの雄姿に、思いっきり泣いて来ます☆

ありがとうございます。歌舞伎の世界の子供たちの多くが、自然に歌舞
伎を好きになるのが多いようなのが、実に嬉しいところです。歌舞伎に
限らず、日本の伝統文化のもつ、大きな力のひとつかもしれませんね☆

ありがとうございます。松本幸四郎丈は発言もきちんとしているので、
聴き逃せない存在のひとりです。師走の感想を楽しみにしています☆