八月納涼大歌舞伎を観に歌舞伎座に籠ってきました。数ある出し物の中
で気を曳いたのは三津五郎丈の台詞が胸に響いた二作。一部の「らくだ」
二部の「つばくろは帰る」の、滑舌巧みで情感こもった名台詞の夏雨に
しとどに濡れて、ちったぁ水もしたたるイイ男になれたかしらんと錯覚

強くクッキリと描いたという、ベリベリした台詞廻しの「らくだ」も良い
ですが、眼目は川口松太郎作の「つばくろは帰る」。第一回直木賞を獲得
した「鶴八鶴次郎」を、純粋な新派ではなく勘九郎と水谷八重子さんで
観ており、その会話のやりとりにシビれていたので期待して拝見すると
淡々としながらも滋味のある語調に感じ入りました。渋く温かい舞台。

(栗売りの声に反応して)丹波の焼き栗か、京の秋だなぁ(大和屋!)
(手のひらをスッと出して)情ってもんが、あるんじゃないのかい?
(芸妓君香の手を取り離さず)俺ぁこの手を離すのが、嫌になった…
(ためらう気持ちを振り払い力強く)俺と夫婦に、なってくれないか

四番目の台詞の時は、涙がにじんでしまいました。格好いいなぁ畜生…

三津五郎丈は世話物で今いちばん格好いい歌舞伎役者じゃないだろうか。
好みですが、端正で渋くて、そして熱い。楷書の芝居で感情を揺さぶる。
10月11月は河竹黙阿弥の「河内山」「魚屋宗五郎」で世話の気を吐く。
9月歌舞伎座の吉右衛門丈の「河内山」に魅了された方は、翌月名古屋
の御園座の三津五郎河内山も是非、観に来て欲しい。当初、市川團十郎
の出演が告知されてたのが変わり、三津五郎丈が登場したので、昼の部
の「金閣寺」の松永大膳も合わせて「代役だ」と囁く人が、ミクシィ上
にも見かけたけど、きっぱりと言わせてもらうが「代役でなく本役だ!」
代役というのは、海老蔵襲名時に白血病で倒れた父君に代わり、宗五郎
の熱演を前に弁慶を急遽に代わって演りおおせる、三津五郎丈命がけの
「代役」であって、もし御園座が「代役」なぞ言おうものなら抗議する。
御園座さんは、そんなこと言いませんよ、筆が過ぎました、猿又失敬!

さて最後に「河内山」の名台詞で、北島康介選手の金メダル獲得を祝う
「とんたとこまで北島康介!」を三津五郎丈のナレーションで聞きたひ☆

自分で言及するが、歌舞伎は特にスノビズムが付きまとい鬱陶しいね…

「スノビズム」Snobbismとは…
~俗物根性。社会的地位や財産などのステイタスを崇拝し、教養があるよう
に上品ぶって振る舞おうとする態度。学問や知識を鼻にかける気取る態度。


僕は野比のび太のように、のびのびと「ノビノビズム」で歌舞伎ます!
スノビズムは中村あゆみ嬢の「ぼくのスノビズム」だけで結構なんだ☆

君は寝床で野比のび太の様に秒殺で眠る「スヤスヤズム」ね(By 相方)