東京に着くと水のある処に行きたくなり、一日を上野発にすることにした。
不忍池の周りを散歩し、マイナスイオンを浴びて身も心もリフレッシュ!
水面を覆う蓮の緑と、沿道に咲くアジサイの青と桃と紫が映え実に綺麗。

アジサイといえば、大学生時分の恩師が「紫陽花色の~」と題した著書を
出版されたことがある。ご専門のスペインの日常風景を、花の題に託して
普段着感覚で綴ったエッセイです。その執筆時、ゼミ生の僕が先生の研究
室を訪ねて「紫陽花は女性を寝床に誘う時に贈る花です。『しようか』と
読めるでしょ」と伝えたのを思い出した。先生がご自身の講演でそのネタ
を話してくれたのが嬉しかった。その当時なら岡村靖幸ちゃん、今ならば
SMAPあたりが『しようか』という歌を出すのもありかもしれない…☆

上野公園に行くと多くの若人が鈴なりになっていた。何かしらと近づくと
『井上雄彦 最後のマンガ展』を出展中の上野の森美術館だ。なるほど。
最新号のBRUTUSが井上雄彦特集なのはこのためか。合点がいった。
僕はこの方の作品は読んだことは無いが、特集された雑誌SWITCHを
買った事がある。市川新之助丈(現・海老蔵)が宮本武蔵を演じた流れで
購入したのだろうが、読まず終いで行方不明になってしまったのが残念…
館員さんに尋ねると図録「満月篇」が会期後に書店販売されるとの事で、
情報入手のためのメールアドレスを頂戴した。BRUTUSを観てみよ!

やはり歌舞伎座は爽快だ。幸四郎夫人の紀子サンもいらして至極、華やか。
新派も国立も流して、素直に歌舞伎座に一日おこもりさんにしたのはね、
通し狂言「新薄雪物語」を目に留めておこうと思ったから。大顔合わせの
大歌舞伎で、京・清水の花見景色、御殿の緊迫した詮議、腹を切った苦痛
をこらえ幸四郎丈と吉右衛門丈が笑いあう場面と、見所たっぷり。とくに
素敵だったのは奥方に扮した中村芝翫丈。「奥方びっくり~」の義太夫に
乗った驚きぶりが何とも可愛く、かつ愛情に満ちた女性を演じてました。

夜の部は、幸四郎・染五郎親子ががっぷり組んだ「生きている小平次」が
面白かった。中村福助丈演じる女房をめぐり、友人役の染五郎丈が幸四郎
丈に「奥さんを譲ってはくれまいか」と迫る心理劇だ。冒頭のうら寂しい
沼に浮かべた小舟で、ふたりが腹をさぐり合いながら己の欲望を果たそう
とする様が息を呑む流れで、目が離せませんでした。恋敵を沼に沈める時
の気味悪さも手伝って、一種の怪談噺を夏に先駆けて観た感じでもある。
CMで観るお茶目なふたりもいいが、やはり舞台で散らす火花がいいね!
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終演後に乗車便までの間に、新橋から「ゆりかもめ」に飛び乗りました。
先頭の座席に陣取り、宵闇のジェットコースター気取りの極小旅行です。
ビル群の夜景の美しさもさながら「東京って、こんなに海が近いんだ!」
とあらためて感じました。そういえばレインボーブリッジを通るのがお初
でして、通ったといっても橋下をくぐり抜けたのですが、お登りさん気分
の旅行モードで、江戸の一日を水したたりで締め括ることができました。