今日は歌舞伎役者・松本幸四郎丈の69歳の誕生日。僕は四年前の04年8月27日、
赤坂・東京全日空ホテルあかつきの間で催された彼の記者懇話会に出席した。
同年10月20日、談話をまとめ名古屋の新聞折込紙で取材記事として発表した。
本日は以下に同記事を再録し、松本幸四郎丈への誕生日の祝福と致します☆
新たなる旅立ちです
この秋、役者・松本幸四郎が北海道から
沖縄まで日本全国を縦断する旅に出る。
歌舞伎の名作「勧進帳」を携えて、
待ち焦がれる観客の元を訪れる。
演じる当たり役「弁慶」は、
逃亡の旅を強いられた「負けない強さ」の男。
この旅の途中、愛知県芸術劇場で、
遍歴の旅を繰り返す幸四郎に、出逢う…
絵ハガキをきっかけに旅に出る
11月に全国20都市で巡業公演を行う松本幸四郎さん。きっかけは
彼の「勧進帳」を観た女子大生が、沖縄に引きこもった父にぜひ
見せてやりたいと綴った一枚の絵ハガキだった。「便りをくれた彼女
のような、観たい、見せたい、という方の元に出向いて歌舞伎を披露
するのも、歌舞伎役者の大事な務めです。地方のお客様は役者の演技
を見逃さないぞと、食い入るようにご覧になる。役者も熱がこもります。
私も役者を50年以上もやっていると、自分が何のために役者を
やっているのか、分からなくなることがある。そんな思いを特に
新たにさせてくれるのが巡業公演です。今回の全国巡演は、役者
松本幸四郎の新たなる旅立ちのスタートなのです」
ドン・キホーテ、弁慶と旅人を演じ続けてきた
幸四郎さんが「勧進帳」で演じる弁慶は、今回の巡演で通算750回
以上を数える当たり役中の当たり役。20代にアメリカで英語で主演
したこともあるミュージカル「ラ・マンチャの男」では、スペイン
の英雄ドン・キホーテを1000回以上も演じた幸四郎さんだけに、
弁慶の1000回にも期待がかかる。「不思議なもので、遍歴の旅を
繰り返すドン・キホーテを演じ続ける私が、逃亡の旅を続ける弁慶を
演じ重ねている。これが役者・幸四郎の遍歴の旅だと実感します。
キホーテを1000回やったのだから、弁慶を1000回やらなければ、
それは幸四郎ではない。体の続く限り弁慶を演じ続け、ひとつの夢
として抱き続けていたい。幸四郎の新たな旅は始まったばかりです」
親から子へ受け継ぐ、役者の旅
今にも飛び出そうな勢いの写真の弁慶は、勧進帳の終幕で飛び六法
で花道を引っ込む一瞬のもの。歌舞伎の屈指の旅立ちのシーンだ。
満身の力を込めて花道を駆け抜けていく。
「私の祖父・七代目松本幸四郎は、生涯に弁慶を1600回以上も勤めて、
家の芸として『高麗屋の弁慶』を築きあげた人です。晩年に心臓を
患っていた時も、『初めて俺の弁慶を見るお客様もいるんだ』と、
幕が閉まるまで常に全力投球でした。また父の白鸚の弁慶は、ご覧に
なったお客様が『弁慶はこんな人だったのかも』と、役の存在感を
評価されたものでした。そして私の弁慶は、歌舞伎の型と心理描写を
より融合させ、現代の観客に感動を与えるように演じたい。
それが平成の歌舞伎役者幸四郎の仕事であり、
次の世代への自分のメッセージだと思います。
手にかけた我が子の活躍には目をみはるものがある。
息子の市川染五郎は歌舞伎座で徳川綱豊役を演じ切った。
娘の松たか子はミュージカル「ミス・サイゴン」で堂々と歌っている。
長女の紀保もシアターナインスを継いでくれる。
皆、私と同じ旅路を辿っているのかと思うと、感無量です。
赤坂・東京全日空ホテルあかつきの間で催された彼の記者懇話会に出席した。
同年10月20日、談話をまとめ名古屋の新聞折込紙で取材記事として発表した。
本日は以下に同記事を再録し、松本幸四郎丈への誕生日の祝福と致します☆
新たなる旅立ちです
この秋、役者・松本幸四郎が北海道から
沖縄まで日本全国を縦断する旅に出る。
歌舞伎の名作「勧進帳」を携えて、
待ち焦がれる観客の元を訪れる。
演じる当たり役「弁慶」は、
逃亡の旅を強いられた「負けない強さ」の男。
この旅の途中、愛知県芸術劇場で、
遍歴の旅を繰り返す幸四郎に、出逢う…
絵ハガキをきっかけに旅に出る
11月に全国20都市で巡業公演を行う松本幸四郎さん。きっかけは
彼の「勧進帳」を観た女子大生が、沖縄に引きこもった父にぜひ
見せてやりたいと綴った一枚の絵ハガキだった。「便りをくれた彼女
のような、観たい、見せたい、という方の元に出向いて歌舞伎を披露
するのも、歌舞伎役者の大事な務めです。地方のお客様は役者の演技
を見逃さないぞと、食い入るようにご覧になる。役者も熱がこもります。
私も役者を50年以上もやっていると、自分が何のために役者を
やっているのか、分からなくなることがある。そんな思いを特に
新たにさせてくれるのが巡業公演です。今回の全国巡演は、役者
松本幸四郎の新たなる旅立ちのスタートなのです」
ドン・キホーテ、弁慶と旅人を演じ続けてきた
幸四郎さんが「勧進帳」で演じる弁慶は、今回の巡演で通算750回
以上を数える当たり役中の当たり役。20代にアメリカで英語で主演
したこともあるミュージカル「ラ・マンチャの男」では、スペイン
の英雄ドン・キホーテを1000回以上も演じた幸四郎さんだけに、
弁慶の1000回にも期待がかかる。「不思議なもので、遍歴の旅を
繰り返すドン・キホーテを演じ続ける私が、逃亡の旅を続ける弁慶を
演じ重ねている。これが役者・幸四郎の遍歴の旅だと実感します。
キホーテを1000回やったのだから、弁慶を1000回やらなければ、
それは幸四郎ではない。体の続く限り弁慶を演じ続け、ひとつの夢
として抱き続けていたい。幸四郎の新たな旅は始まったばかりです」
親から子へ受け継ぐ、役者の旅
今にも飛び出そうな勢いの写真の弁慶は、勧進帳の終幕で飛び六法
で花道を引っ込む一瞬のもの。歌舞伎の屈指の旅立ちのシーンだ。
満身の力を込めて花道を駆け抜けていく。
「私の祖父・七代目松本幸四郎は、生涯に弁慶を1600回以上も勤めて、
家の芸として『高麗屋の弁慶』を築きあげた人です。晩年に心臓を
患っていた時も、『初めて俺の弁慶を見るお客様もいるんだ』と、
幕が閉まるまで常に全力投球でした。また父の白鸚の弁慶は、ご覧に
なったお客様が『弁慶はこんな人だったのかも』と、役の存在感を
評価されたものでした。そして私の弁慶は、歌舞伎の型と心理描写を
より融合させ、現代の観客に感動を与えるように演じたい。
それが平成の歌舞伎役者幸四郎の仕事であり、
次の世代への自分のメッセージだと思います。
手にかけた我が子の活躍には目をみはるものがある。
息子の市川染五郎は歌舞伎座で徳川綱豊役を演じ切った。
娘の松たか子はミュージカル「ミス・サイゴン」で堂々と歌っている。
長女の紀保もシアターナインスを継いでくれる。
皆、私と同じ旅路を辿っているのかと思うと、感無量です。
