昨日神保町シアター
生誕115年記念 映画監督 小津安二郎「をんな」たちのいる情景
最終回、
ミッチーこと桑野道子の代表作
「淑女は何を忘れたか」を鑑賞。
ビデオ鑑賞しかしてなかった作品で、
毎度見逃していたのですがやっとこさ参上。
スラリと長身で着こなすロングコート姿が
思わず声をあげてしまう程良く似合う。
長身の斎藤達夫や佐野周二と並んで歩いても
めちゃくちゃかっこよくて、
何で今までスクリーンで観なかったんだよと
自分にダメ出し。
昭和12年作品の音声が途中ザラザラ凄まじいのだが、
だんだん気にならなくなる程、
ミッチーの声が魅力的。
あけすけで自由奔放な関西女子。
煙草スパスパで洋酒をショットグラスでぐいぐい呑んで
ゲップする姿すら愛くるしい。
弁士になってあれこれ
無声映画や周辺作品を観まくっていた頃に
この作品をビデオで観た。
実際の彼女は妻子ある男性と子を成して
二人目の子を子宮外妊娠して撮影中倒れて亡くなるという、
あまりにもショッキングな最期を遂げる。
そんな現実は
この映画を観ている最中に思い出すことは無い。
ミッチーの天真爛漫かつ小悪魔な女性像は、
世界大戦に初めて敗北する前の
自信に溢れた日本の姿にも見える。
※写真はWikipediaからお借りしました。
戦前のブロマイドで淑女・・・のミッチーにはあらず。

こちらはミドルエッジから
お借りしました。
ミッチー演ずる節子の叔父で
医者の斎藤達夫がハマリ役。
スナフキンとムーミンパパとスノークを足して三で割ると
斎藤達夫になる(何やそれは!!)
栗島すみ子は「麗人」から七年しか経っていないのに、
斎藤達夫を尻に引く恐妻がピタリとハマって凄い。
栗島すみ子
飯田蝶子
吉川満子は
未だ三人とも四十前後なのに
この時代だとすっかり年増設定。
三人の井戸端会議も見処のひとつ。
小津さんの「かかあ天下礼賛」の思想というか、
小津さんの映画の「専業主婦」は皆
ご主人と対等な立場で描かれていて凄い。
襖の柄が微妙に違っていたり、
と炬燵布団の柄とも素敵なコーデネィトで、
栗島さんの着物の柄とかも本当にお洒落。
細部まで萌えまくれます(人´∀`*).。:*+゜゜+*:.。.*:+☆
神保町は映画館へ向かう道のりも
駅へ戻る道のりも
名画座がある場所に相応しい風情。
古本屋や文具店や洋食屋に
昭和初期レトロ感が残っていて、
これ以上変わらないでねといつも思う。



