「それは・・・。」
恵美子は口ごもりながら言った。やはり、自分の主人が殺されたことを思い出したくはないのだろう。それでなくても暗い口調がなおさら重たくなる。
「主人は人から恨みを買うような人間ではないですが、事業の関係では恨みを買っていたかもしれません。そもそも、殺されるようなことがあるなんて想像もしていなかったですから・・。」
「それは、殺された理由が怨恨である可能性もあるということですか?」
言葉じりを取るように優一が言った。恵美子はうつむいたまま首を振った。
「・・・いいえ。」
恵美子はそう答えるのが精一杯のようだった。優一が続ける。
「すくなくとも、青柳という人物がここに無言電話をかけてきたことは事実です。あなたのほうには心当たりはないですか?」
「いいえ・・・思い当たる様なことは・・・。」
恵美子の言葉数はますます少なくなる。上川がとりなすようにたずねる。
「どんな小さなことでもかまわないんです。なにか思い出せるようなことはないですか?」
「・・・・いまのところ、何も・・・。」
上川がその答えにため息をつく。これ以上聞いても今日のところは何も出てきそうになかった。上川は井村と顔を合わせて頷くと、名刺を取り出しテーブルに置いた。
「何か思い出されたら、ここに電話してください。」
そう言うと上川と井村が立ち上がった。そしてゆっくりと部屋の出口へと向かう。優一もあとに続いて出ていこうとしたが、出口近くでふと足を止めて恵美子に尋ねた。
「そういえば、玄関に釣り道具と立派な魚拓がありましたが、ご主人は釣りの趣味があったんですか?」
「はい。よく釣りには行っていました。私も時々は一緒に・・・。」
恵美子が戸惑いながら答えた。優一は何度かうなづくとゆっくりと部屋を出て行った。
~つづく~
恵美子は口ごもりながら言った。やはり、自分の主人が殺されたことを思い出したくはないのだろう。それでなくても暗い口調がなおさら重たくなる。
「主人は人から恨みを買うような人間ではないですが、事業の関係では恨みを買っていたかもしれません。そもそも、殺されるようなことがあるなんて想像もしていなかったですから・・。」
「それは、殺された理由が怨恨である可能性もあるということですか?」
言葉じりを取るように優一が言った。恵美子はうつむいたまま首を振った。
「・・・いいえ。」
恵美子はそう答えるのが精一杯のようだった。優一が続ける。
「すくなくとも、青柳という人物がここに無言電話をかけてきたことは事実です。あなたのほうには心当たりはないですか?」
「いいえ・・・思い当たる様なことは・・・。」
恵美子の言葉数はますます少なくなる。上川がとりなすようにたずねる。
「どんな小さなことでもかまわないんです。なにか思い出せるようなことはないですか?」
「・・・・いまのところ、何も・・・。」
上川がその答えにため息をつく。これ以上聞いても今日のところは何も出てきそうになかった。上川は井村と顔を合わせて頷くと、名刺を取り出しテーブルに置いた。
「何か思い出されたら、ここに電話してください。」
そう言うと上川と井村が立ち上がった。そしてゆっくりと部屋の出口へと向かう。優一もあとに続いて出ていこうとしたが、出口近くでふと足を止めて恵美子に尋ねた。
「そういえば、玄関に釣り道具と立派な魚拓がありましたが、ご主人は釣りの趣味があったんですか?」
「はい。よく釣りには行っていました。私も時々は一緒に・・・。」
恵美子が戸惑いながら答えた。優一は何度かうなづくとゆっくりと部屋を出て行った。
~つづく~