翌日。

優一は上川、井村両刑事とともに、さいたま市内にある閑静な住宅街を訪れていた。刈谷氏の自宅は、そんな高級住宅街の中でも、とりわけ大きなたたずまいであった。外からの来客を寄せ付けないような大きな門が固く閉ざされ、なかの気配はまったくといっていいほど外には漏れてこない。

上川がインターフォンを押す。すると、若い女性の声で応答がある。

『はい・・。』

「あ、警視庁の上川といいます。ちょっと恵美子さんにお話をおうかがいしたいことがありまして。」

上川は、インターフォンに警察手帳をかざしながら答えた。

『警察・・・ですか?わかりました。お待ちください。』

インターフォンの向こう側でそう女性が答えたあとで、ゆっくりと自動で門が開き始めた。三人はゆっくっりと二三歩あとずさりをする。

「さすがですね・・・。」

井村が感心するように言った。

「ああ。おれたちにはわからない世界だな。・・・行くぞ!」

上川が井村を促すと、井村が上川に続いて敷地内に入っていく。優一も続いた。

玄関口までは、長い石畳を歩いてようやくたどり着くことができた。上川は改めて入口のベルを押した。

しばらくすると、長い髪の若い女性が顔を出した。色白の美人である。どうやらこの人物が刈谷恵美子本人のようだ。

「警視庁の上川です。ちょっとお話をお聞きしたいと・・。」

「どうぞ。」

抑揚のない声で恵美子が三人を招き入れた。

玄関は思いのほか広く、おとな二人が両手を広げてもぶつからないくらいの間口がある。その玄関には大きな魚の魚拓と、使い込まれたいかにも高そうなつりざおが飾られている。

三人は靴を脱いでスリッパに履き替えると、奥の居間へと通された。今のソファーの前には一枚板で作られた大きなテーブルが据えられている。居間の広さは20畳以上ありそうだ。

「少々おまちください。いまお茶を入れますから・・。」

恵美子はそう言って、ダイニングの方へと向かった。

「なんか、こんなすごい家だと緊張しますね・・・。」

井村が落ち着かない様子でもじもじしている。

優一は、そんななかでも落ち着いて部屋の中を見回していた。

~つづく~